見出し画像

【言語心理学】「例えば~」

この言葉をよく使う人シリーズ、今回は「例えば~」をみていきます。


■「例えば~」を多用する人


物事の例えや、例をよく使いたがる人です。

「例えば、昔の人に○○という人がいて~」
「例えば、そういう時君ならどうする?」
「私が新人の時は~」

など、「例えば~」と同時に自分の経験や、最近のニュースなど
「例えば」という前置きなしに話す場合もあります。


■「例えば~」を多用する人の心理


この言葉は、往々にして話がわかりやすくなり、
コミュニケーションを円滑にする効果があります。

というのは、人は自分の言葉で話されること、
自分の経験したことで話しを進められると
理解を促進する傾向にありますが、
相手の世界や、ワールドで話をされると理解できない(しにくい)
という傾向もあるからです。

例文というのは、誰もが共通して理解できる話で進める、という前提です。
つまり、相手の言葉でもあり、自分の言葉でもある話で進めるわけです。

例をよく使うケースは主に2つに分かれます。

●ひとつ目「心から相手の理解を考えるタイプ」

相手の理解や、心理をよく把握しているカウンセラーなどの
人の話を聴く仕事につく人、
教師など人に教えることを仕事にしている人などに
よく見られます。

このタイプは、心理的に他人の受け方を非常に気にする傾向にあります。
相手に伝わること、相手を理解することに脅迫的なまでに気を遣います。
相手を理解できるように、自分を持っていかなくては
自分の存在価値に疑問が生じ、
人としての自分が無価値に感じてしまう心理が根底にあります。

一言で言えば「周囲を気にする」心理です。
だから、相手に理解してもらうために一生懸命話し方を考え、「例えば~」を多用するのです。
「例えば~」のほかにも、理解の確認作業が多い傾向があったり、
一般的に聞き上手であるという傾向があります。

●ふたつ目:「自分を認めて欲しいタイプ」

ひとつ目と全く逆のタイプです。

このタイプは、自分の能力を誇示する傾向にあります。
しかし、少し頭のいい人なら

「自分のやりたいように振舞って力を誇示するだけでは認めてもらえない」

ということを知っています。

そこで「例えば~」という言葉を使うことによって

「自分は、人にこんなにわかりやすく物事を説明できる力がある」

ということを開示しているわけです。
結果的に、そのような話ができる自分に満足する一方で、
そのような簡単な説明がないと理解できない相手を、心のどこかでバカにしています

「例えば~」を使う前提に自分の特別視、

「私は頭がいいんだ(力があるんだ)」

ということを示したい心理があるので、
相手を「理解力が劣る」として下げることで、自己満足を喚起できるからです。


■「例えば~」を多用する人の傾向


●心から相手の理解を考えるタイプの場合

人の話をよく聞きます。
たとええ自分を曲げても、意見に賛同できなくても聞くという行為をする傾向にあります。
しかし「例えば~」というのは、こちらから意思表示をし説明をする言葉で、
この言葉をよく使うということは、自分の理解して欲しいこともしっかりと言う(言わなければならない状況)という傾向にあります。

提案するときにも

「例えば、こうしてみたらどう?」

などと、相手を気遣った表現で「例えば~」を使います。

このタイプで「例えば~」を多用する人は、
物事を平均化して考えるクセがついていますので、
自分に対してはフラストレーションを抱えていることが多いものです。

なぜなら人は、本当は、自分は自分らしくありたいのに
人目を気にし、人に平均化したアドバイスや提案をすることで
自分もその枠の範囲を超えることができないと自己説得しているからです。

また、人には気を遣い、また気を遣うだけではなく
実際に「例えば~」などの言葉を使って行動で示しているのに、
逆に自分が相談なり、話しをする機会には誰も自分ほどうまく気持ちを汲み取れないことから、人間関係で孤独感を感じたり、イライラしたりすることもあります。
しかし、もともと相手の気持ちや反応を気にするタイプなので、
そういうことを感じても声に出して指摘したりすることはありません。

お酒を飲むと態度が変わったり、家族など身近な人に対する態度が激変することがあります。

●自分を認めて欲しいタイプの場合

人の気持ちがよくわからず、わかろうともしない人が多い傾向にあります。
もともと、自分の言いたいことを言い、
知ってほしいことを知ってほしいから
話をするわけであって
そういう人に人の気持ちを考える余裕はありません。

自己中心的な人が多いです。

しかし「例えば~」を自分の価値を高く見せるために使うということは、
ただ単に自分の言いたいことを言うだけでは人に認めてもらえないし、
人に認めてもらえないということは自分の価値上げに失敗するということは理解しているわけです。
つまり、自分の認知に関する人の気持ちには敏感です。

こういう部分だけ敏感な人には、

「自分は人に貢献するために何かを行うんだ」

と、信じていたり、行動していたりしている人も多いのが事実です。

なぜなら、
「人のために何かを行っている人」というのは、
一般的に素晴らしいことをしている、高評価の人という位置にあります。
そして、この前提がある上で人に話をする場合に
「例えば~」
を使うことで、「人への貢献」を証明でき、
人から認められ、自分が賢いということを認識することで全ての満足を得ることができるからです。

こういうタイプの人は、たとえ貢献する内容が本物であっても
周囲にはおべっか使いや、自分の頭では考えることができない人、
または、同じタイプの人が集まる傾向にあります。


■「例えば~」を多用する人との付き合い方


●心から相手の理解を考えるタイプの場合

このタイプは、俗に言う「いい人」ですから
いい友人関係、遊び仲間、恋人、夫婦になれる可能性が高いです。

ただし、このタイプと付き合うあなたに人の気持ちを洞察する能力が
著しく欠ける場合は、深い関係にはならないほうがお互いのためです。
あなたは相手の気遣いが気に入り、相手はあなたのおおらかさに魅かれるかもしれませんが、
いずれ、あなたは相手の細かさに、相手はあなたのいい加減さに疲れることになるでしょう。

友人など、いい距離の関係でつきあう場合は
相手の気持ちをたまに吐き出させてあげる気遣いがあると、よりいい関係になれるでしょう。
このタイプは、自分の本心はなかなか話しませんが、
あなたが

「言いたくなったらちゃんと言ってね」

という態度で接すると安心してくれます。

このタイプの人が、全く逆のタイプの異性に惹かれることはよくありますが、
しっかりと見守ってあげた方がいいでしょう。
その場合に頭ごなしに反対しても受け入れてもらえません。
良くも悪くもこのタイプの人は、自分が人の気持ちを考えることができることを自覚しています。
自分よりその能力に劣る(と感じている)あなたが、その異性との付き合いを反対しても
このタイプの人は「私のほうが彼(彼女)をよく理解している」という理由で受け入れてはもらえません。

対応は限りなく難しいですが、見守ってあげる中でどういった行動を取るかをその都度考えるようにしてください。

●自分を認めて欲しいタイプの場合

このタイプの人と付き合うのなら、距離感が最も大切です。
このタイプはおだて、褒めることであなたに好意を抱きます。
おだて、褒められることに慣れている人の場合は、共感し、言っていることを理解していると伝えれば味方だと思ってくれます。
ですので、何かしら知識を出して欲しい場合や、商売上避けることのできない関係であれば、このような方法もいいでしょう。

ただし、その密接さに比例してその後のコミュニケーションも求められる傾向にあります。
(そう求めるか求めないかは別として)
知識を出して欲しい、商売上スキルが必要という場合にも
この方法を取った場合は、その後も同じ密度の関係を続けないと
「能力だけ使われて利用された」と勝手に傷つく傾向があります。

個人の関係であれば、疲れない程度に距離感を保って付き合った方がいいでしょう。
「俺(私)は凄い」と言われてうれしい人はいません。
「例えば~」を自己主張で使うこのタイプも同様です。
最初は「お、なんだか凄い人だな」と思っても、「例えば~」を多用している場合はよく見て、聞いて判断した方がいいでしょう。

しかし、人を傷つけたり、攻撃的な性格ではない場合が多く
自分を認めてくれる自分より下の人をひたすら探す傾向が強いので
自分の方が明らかに上であるとか、
しかし、子分になるような感じでなければ友達でもいいかなと思います。


■「例えば~」の多用を変える


他の言葉と同じく、この言葉を意識して止めることが近道です。

人の気持ちを考えすぎる人は、他に人の話を聞きすぎたり、母性本能が強すぎるという傾向が強いので、

先に結論から話す

ということを意識した方がいいでしょう。
しかも結論は

自分の知識と共に感情をストレートに

言う、ということがポイントになります。
知識(経験)だけを話すと、「例えば~」を使った控えめの表現になり
せっかく結論を先に言っても結局は回りくどくなります。
感情は、自分の気持ちなので自分の気持ちをストレートに伝えることで
自分にフラストレーションを溜めないと共に、
必要以上に相手を尊重しすぎず、強さを持って知識を伝えることができます。

自分を認めて欲しいタイプの人は結論というよりも、心構えです。
もともと人の気持ちを考えることに劣り、自分中心なわけですから
「例えば~」を使わなくなっても、
自分を認めてもらうための別の方法を考えるでしょう。

このタイプは自分が9割話し、
残りの1割も、自分に有利な意見を引き出す質問の答えを聞く、
という傾向がありますから
「聞く」と「話す」の割合を逆転させることが第一歩です。
そして、話をする前に

どのような結果になっても相手の答えを尊重しよう

と決めてから話をするといいでしょう。
心理的にかなり困難が伴いますが、この方法が最も効果的です。
効果的とはいえ、「例えば~」の言葉の多用を変えることに効果的であって、その根本の性格を変えるにはまた別の努力が必要でしょう。



🔹提供サービス一覧

🔹応援資金寄付サービス


フォローやシェアをしていただけると嬉しいです。 よかったら下記ボタンからサポートもお願いします。 いただいたサポートは大切に松原靖樹の《心の栄養》に使わせていただきます!