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就労移行支援事業所に通うメリット・デメリット!自分に合った選択をしましょう

障害者雇用枠での就職・転職を考えているけれども、お一人で進めていくことに不安を感じている方が利用できる支援先の1つが「就労移行支援事業所」です。

名前は聞いたことあるけれど、実際どんな支援を受けられるのか、自分に合っているのか、分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、就労移行支援事業所がどんなところなのか、利用するメリット・デメリットやポイントを解説していきます。

是非最後までご覧ください。

1.そもそも就労移行支援事業所って何?

まず初めに「就労移行支援事業」とは、障害者総合支援法という法律に基づき、障害を抱える方が一般企業への就職を目指すために必要な支援を行う、原則通所型の障害福祉サービスです。

地方自治体から指定を受け、障害福祉サービスを提供する機関を「就労移行支援事業所」と呼びます。

全国に約3,300ヵ所を超える就労移行支援事業所があり、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響から、在宅でも利用可能になった事業所もあります。


①サービスの内容

初めは働くために必要なスキルを学ぶことができる職業訓練、その後就職先の相談や履歴書等の添削、面接対策といった就職・転職活動の支援、就職後も定着支援として入社後定期的な連絡や相談、企業への働きかけを実施しています。

就職・転職活動を始める前から終わった後、その職場で安定して仕事ができるようになるまで、専門の職員が一貫した支援をしてくれます。


②利用できる方

以下の4つを全て満たす方のみ、利用することができます。

(1)18歳以上満65歳未満

(2)身体障害、精神障害、知的障害、難病を抱えている

※障害者手帳未所持の場合、医師の診断書や意見書、自治体の判断等によっては利用できることもあります。

(3)一般企業での就労を目指している

(4)離職中である


③利用料金

世帯の収入状況によって利用料金は異なります。

生活保護受給世帯、住民税非課税世帯は無料。

住民税課税世帯の内、所得割16万未満は月額9,300円で、その他の世帯は月額37,200円です。

一概にこの通りとも限りませんので、まずは住んでいる市区町村の障害者支援の担当課か、就労移行支援事業所へ問い合わせてみましょう。


④利用期間

原則最長2年間とされており、その期間は利用開始日~就職決定日の期間が対象です。

この期間内であれば、就労移行支援事業所の変更は可能です。

もし利用期間が2年を経過してしまったが継続して利用したい場合は、一度市区町村の障害者支援の担当課と就労移行支援事業所へ相談し、状況によっては延長できることもあります。


2.メリット

①自己管理能力の取得

障害者雇用において最も大事なことは継続して働くことができるということです。

そして企業側も障害者雇用では一番気がかりな点でもあります。

就労移行支援事業所では、様々な訓練やプログラムを通して、健康管理方法や抱える障害との向き合い方と対処方法、生活リズムの見直しといった自己管理能力を取得することができます。


②職務上必要なスキルの取得

①自己管理能力の取得と同様に、様々な訓練やプログラムを通して、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルといった社会人としての必須スキルの他、希望の職種に合わせたスキルを身につけることができます。

同じ目標を持った人達が集まる場でもあるので、グループワークなどを通して、能力を高め合うこともできるでしょう。


③生活リズムの定着

障害を抱えていると生活リズムが乱れがちとなり、就職に繋がらないということも多々あります。

そこであなたの障害に合った一定のペースで就労移行支援事業所へ通うことで、生活リズムを整えたり、「働く」という習慣も身につきます。

不安ことがあれば、すぐに生活面やメンタル面のアドバイスやサポートを受けることもできます。


④就職・転職活動に関する一貫したサポートを受けられる

1.そもそも就労移行支援事業所って何?の①でも述べた通り、就職・転職活動に関して、一貫したサポートを受けることができます。

上記のメリットだけではなく、職場探しや応募書類の添削、模擬面接なども支援してくれるので、これだけでも通う価値があります。


⑤職歴になる

障害を抱えながら就職・転職活動をされる方には、未就労期間やブランクがあることも少なくありません。

そんな時、就労移行支援事業所に通所していた期間を職歴とすることができます。

これがあることで、社会人として必要なスキルは所持しており、就労も安定して行えると判断できるためです。


3.デメリット

①利用期間中は基本的に働けない

就労移行支援事業所は就業をするための準備をするための機関であり、それに専念することを前提としているため、基本的にアルバイト等の就労をすることはできません。

自治体や特段の事由によってはアルバイトができる事業所もあるため、一度市区町村の障害者支援の担当課か、就労移行支援事業所へ確認してみましょう。


②利用料が発生する場合がある

1.そもそも就労移行支援事業所って何?の③でも述べた通り、世帯収入に応じて利用料が発生する場合があります。

就労によってお金を稼ぐことができないため、単純に金銭面の負担となります。


③就労までには時間がかかる

基本的にスキルや障害特性と向き合って就労を目指していくという障害福祉サービスであるため、就労に辿り着くまでには時間がかかります。

早く働かないといけない、すぐにお金が必要という方にはおススメできません。

このような方は人材紹介会社やエージェントの利用が合っていると思いますので、詳しくはこちらをご覧ください。


④事業所によって合う、合わないがある

基本的に障害者雇用枠での就労を目指す事業所がほとんどのため、一般就労枠を目指す方にとっては合わないことがあります。

また3,300を超える事業者があるため、中には雰囲気や人間関係などで合わない場合もあるでしょう。

そんなときは利用期間内であれば、事業所の変更は可能ですので、別の事業所を探しましょう。


4.事業所の探し方

①市区町村の障害者支援担当課へ問い合わせる

基本的に管轄内の就労移行支援事業所であれば内容を把握しているため、あなたに合った障害福祉サービスを提供している事業所を紹介してくれます。


②専門の機関へ相談する

抱えている障害の主治医や通っている病院、ハローワークや就労支援センターといった就労を専門とした機関にも相談することができます。


③インターネットで検索する

インターネット上には就労移行支援事業所専門の検索サイトがいくつも存在します。

条件を入力すれば、あなたの希望にあった事業所を探すことができます。


5.利用までの流れ

①利用する就労移行支援事業所を決める

まず候補となる事業所が見つかったら、一度連絡を取り疑問点など不安なことは解消しておきましょう。

必要に応じて事業所の見学や、通所体験をしてみて、あなたに一番合った事業所を選びましょう。


②就労移行支援事業所受給者証の発行

お住まいの市区町村の障害者支援担当課にて就労移行支援事業所受給者証の申請手続きを行います。

基本的には、申請をするとまず認定調査員が訪問調査にやってきて、最近の生活状況等について面談が実施されます。

面談の内容によって障害福祉サービス提供の可否が決定し、可となれば受給者証が発行されます。


③利用開始と個別プランの策定

受給者証が発行されれば事業所を利用することができます。

まずは事業所と相談をしながら、あなたに合った個別のプランを策定します。

プランは状況に応じて、定期的に見直されるので、不安なく就労を目指すことができるでしょう。


6.「就労移行支援」と「就労継続支援」の違い

本記事で紹介をしている「就労移行支援」と同じような名前で、「就労継続支援」というものがあります。

こちらも障害福祉サービスの1つではありますが、内容は全く別物です。

一番大きな違いは「一般就労が2年以内にできるようになるか」です。

前述した通り、就労移行支援事業所は原則2年間の利用期間が定められており、それを超えると利用できなくなります。

それに対して就労継続支援事業所は期間の定めがなく、障害により2年間は一般就労が難しい方に就労機会と職業訓練を実施する障害福祉サービスです。

時間はかかっても支援を受けながら安定した就労ができるようになるところ目指す事業所になります。

更に就労継続支援は、A型とB型の2種類に分かれています。


①就労継続支援A型

18歳~65歳の方が対象で、障害福祉サービスの利用にあたり雇用契約を締結します。

そのため実際に行った業務に対して、賃金を受け取ることができます。

ここも就労移行支援事業所と異なる点です。

最終的に一般就労が可能なレベルに達したら、一般就労を目指していくというサービスです。


②就労継続支援B型

①就労継続支援A型でも難しい障害を抱えている方が利用するサービスで、対象年齢はA型と異なり制限がありません。

また雇用契約は締結せず、工賃という形で対価を受け取ることができます。

就労可能レベルが高くなれば、就労継続支援A型や、一足飛びに一般就労への移行を目指していくこともあります。


7.チェックポイント

そもそも就労移行支援事業所は自分に合っているのか分からない、という方もいらっしゃると思います。

そこで障害者雇用において必要な項目をチェックポイントとして挙げてみました。

この中で自分に足りていないポイントや不安だと感じているポイントがあれば、一度就労移行支援事業所を検討してみると良いでしょう。

・一般就労が体力的に可能である

・通院や服薬の状況が安定している

・抱える障害をある程度コントロールできる

・障害が悪化した時、突発的な症状に対する対処方法がある

・ストレスを感じた時の対処方法がある

・自らを客観的に判断することができる

・働く意欲がある


8.まとめ

ここまで就労移行支援事業所について紹介してきました。

働きたいとは思っていても、いきなり一般就労をするのは難しいという方の助けになるサービスであることは、理解できたかと思います。

就労移行支援事業所では、就労に必要なスキルを沢山学ぶことができます。

上手に利用して、障害者雇用枠での就労を目指していきましょう!