お坊さんが読んだ「鬼滅の刃」で学ぶはじめての仏教の感想
何やら今流行りの「鬼滅の刃」を仏教の切り口で説明している本があると言うことで、早速買って読んでみたので、その感想をまとめ書こうかと。
90-120分くらいで完読。
そこで大きなミスに気づく。
僕、鬼滅の刃のアニメしか見てないや…
本書では特に後半は鬼滅の刃と浄土教の教えの話になっていったのだが、
浄土教の知識が少ない僕にとって、両方とも未知の話だったので正直頭がこんがらがってしまった。そして一部壮大なネタバレ!笑
そんなショックな出来事があったものの、全体的に面白く読ませて頂き、かつ勉強させていだだきました🙏
こんな人におすすめ😁
・鬼滅の刃が好きで仏教に興味がある!
・仏教に興味なくても鬼滅の刃好きで考察系が好き!
→上記2つが当てはまるなら絶対買って損はない!
こんな人はおすすめできない😅
・鬼滅の刃まだ全部見てない(アニメしか見てない)
・鬼滅の刃知らない
→読みたかったらまずは漫画を予習しましょう。
内容まとめ
本の内容を書くのもあれなので、大枠だけ紹介。
本書では
「鬼滅の刃」と仏教の構造に共通点が見られると書いて、その共通点から仏教の本質を学んでいく構造になっている。
確かに鬼滅の刃は明らかに仏教の思想を意識した漫画であることは間違いないと思う。
でも本書ほど細かく共通点があるなんて全く想像もしなかった。
読みながらなるほど!おぉ!確かに!
という感じでどんどん類似点が湧き上がってくる。
そして、それぞれの共通点を仏教の知識も踏まえながら分かりやすく、時にユーモアに語ってくれている。
お釈迦様の初転法輪(悟って初めて弟子さんたちに法話をしたこと)をお釈迦様のデビュー戦と言っちゃうところがこの本のユニークさで、見てる人を飽きさせない要素だと思う。
僕も全然違う切り口だけど鬼滅の刃の宗教性に関しては思った事がある。
炭治郎の優しさがわかるシーンで僕は好き(アニメしか見てないけど)
読んでいて僧侶視点で思ったこと
何より仏教を説明するのは難しい作業だなと思った。
作者さんは相当練り込んで、知識をわかりやすく説明する工夫をしてると思う。
(ストレスで禿げませんように。)
何が難しいか考えてたんだけど。
仏教って基本伝言ゲームみたいな感じで伝わってきてるから、人によって解釈が違ったり、同じようなことを違う感じで言っていたりすること。
例えば
『鳥が2羽飛んでいて、1羽が逃げて、1羽が捕まった。』
という物語を伝えていく中で
2パターンの広がりを見せていくと思う。
パターン①そもそも言葉が違って伝わる。
A:鳥が2羽飛んでいて、1羽が逃げて、1羽が捕まった。
B:ハトが2羽飛んでいて、1羽が逃げて、1羽が捕まった。
C:ハトが庭で飛んでいて、1羽が飛んできて、1羽が捕まった。
というふうに伝聞される中でニュアンスが少し変わってきているパターン。
パターン②言葉に解釈が加わり伝わる。
A:鳥が2羽飛んでいて、1羽が逃げて、1羽が捕まった。
B:鳥が2羽飛んでいる。この2羽は善と悪の象徴で、善の鳩は逃げる事ができるが、1羽の鳩が捕まってしまった。だから善の行いが必要なのだ。
C:この鳥は2羽とも同一の鳥を指している。1羽が逃げるというのは鳩の身体的側面、2羽が逃げるのは鳩の精神的側面。
というふうに様々な広がりを見せる。パターン①とパターン②が合わさってくるとなかなか難しい。
さらに本書にも紹介されているが、お釈迦様は当時、お弟子さん達の状況や能力に合わせて伝え方を変えていたという。
悟りは「知識」ではなく「体感」というところがポイントだと思う。
「体感」を得るには人によって方法がバラバラなのだ。
例えば、「達成感」を体感させたいとする。
知識では何か物事を成し遂げた時に得られる喜びや感動のこと。努力をした分だけ、得られる達成感も大きくなる。
と教えたとしても、実際に達成感を感じたことがない人にとったら。
「なるほど」
この4文字で終わってしまう。
だから
達成感を得るために学校のテストで80点を採るように勉強しよう!
と教えるとする。
Aさんは正直頭があまり良くなくて、普段から40点しか取ってない人。
そんなAさんが勉強を頑張って80点とったら、、それは達成感すごいはず。
Bさんは記憶力が良くて、普段から75点くらい採ってる人だとする。
その人が80点採っても正直達成感はない。
つまり「体感」は人によって得るまでのプロセスが違う。
ここが仏教の大きなポイントなのだともう。
これを知っててお釈迦様は「お弟子さん達の状況や能力に合わせて伝え方を変えていた」ようで、相当凄い人だとわかる。
以上が僕が仏教を説明するのが難しいと感じる点。
では仏教は学べないのか?学ぶ必要はないのか?
というとそれも違う。
いろんな教えの中に一貫して言われている要素はある。
さらに、先人たちが幾度となく、それこそ文字通り命をかけて「正しく」理解しようと努力した軌跡もある。
その中で大切な要素を時代とともに咀嚼していくことが重要なのだ。
そのためには、まずは知識を知る。ことから始める必要があるのだ。
でも勉強するには難しい本が多い。
そう、何が言いたいかというと、
仏門に入るためのフリーパスがこの書籍「鬼滅の刃」で学ぶ初めての仏教
なのである。
合掌
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