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志望校選びについて

志望校選びの視点について


まずは各ご家庭が小学校受験を選択する理由について考えてみましょう。

最もよく耳にするのは、教育、セキュリティや設備の点で公立小学校よりも保護者が安心して通わせることができる環境を求めて小学校受験を選択する、というものです。

それに加えて、ますます過酷になる中学校受験を望まない、小学校から高校あるいは大学までの一貫教育を希望するといったご家庭も多いのではないでしょうか。

一貫教育と中学受験の有無は志望校選びに大きく影響します。

志望の学校を選ぶ視点としては、①中学校以降の進学先(一貫校かどうか)、②共学か男子校/女子校か、③学校の教育方針や校風が自分の子ども・家庭に合っているか、④国立か私立か、⑤自宅からの距離といったものがあげられるでしょう。

1 中学校以降の進学先

(1)進学先の小学校が中学受験ありvs 中学受験なし

高校や大学までの一貫校であれば、中学受験は必要なく、よほどのことがない限り同じ学校法人の中学校(注:学校によっては「附属」という言い方をとても嫌うので附属という表現をあえて避けています)に進学できるという学校が多いです。

低学年から受験勉強に時間を拘束されるのではなく、運動や音楽、絵画などの習い事、自分のやりたいことに力を入れて伸び伸びと小学校生活を送ることができる。こういう教育を希望するご家庭もあるでしょう。

ただ、国立の小学校のように、内部試験の結果によって中学校や高校までの進学が決められ、進学が保証されない学校もあることには注意が必要です(内部試験を経て80%程度のみが中学校に進学できるというデータがある)。

これに対し、中学受験が必須(小学校のみが共学で、中高女子校/男子校の場合など)で、有名中学校への進学実績を売りにしている小学校もあります。

有名中学校に入学して東京大学や医学部に進学するという道を目指す、しかし公立の環境が不安であるというご家庭であれば、中学受験に実績ある小学校を選ぶこともおすすめです。

そういった学校ではホームページやパンフレットに進学実績が載っていることが多いですので、確認してみるとよいでしょう。中学受験を経験した先輩の情報を共有したり、学校に受験相談用の部屋を設けたりするなど学校が受験サポートにとても熱心に取り組んでおられる洗足学園小学校のような学校もあります。

(2)一貫校 大学受験あり vs 大学受験なし

一貫校の中でも、大学まで進学できるのか、あるいは大学受験をして他校へ進学するのか。

受験なく大学に進学できる学校であれば、人並みの成績を取っていれば大学まで進学は可能なため、こういった環境を希望するご家庭も多いでしょう。

しかし、大学まで進学できる環境がゆえに勉強への意欲が薄れることを懸念するご家庭も多いように思います。

また「その学校の大学までは進学したくないから大学受験をさせたい。しかし、クラスメートがほとんど受験せずに進学する環境で(*学校によって異なります)、子どもが大学受験をする気にならないと困る」と考える家庭もいらっしゃるはずです。

東大に進学させたい、医学部に進学させたい(慶應には医学部があるので必ずしも大学受験が必須というわけではないですが)家庭では、大学への進学という点はあまり重視されないかもしれません。

大学まで進学できる学校として、
早稲田実業学校初等部、慶應義塾幼稚舎、慶應義塾横浜初等部、青山学院初等部、学習院初等科、成蹊小学校、立教小学校・立教女学院小学校、聖心女子学院初等科、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部など

(高校まで一貫校で)大学がない(受験が必要な)学校として、
雙葉小学校、暁星小学校、国立の小学校、森村学園小学校など


2 共学か、女子校/男子校か

小学校が共学かどうかという点は個人的には大きなウェイトを占めると感じています。

小学校が女子校または男子校であれば、高校まで女子あるいは男子のみの環境で過ごすことになりますので、共学の環境とどちらが子どもの成長にとってよいのか、志望校選びの肝になりそうです。

ちなみに、女子校の小学校は多数存在しますが、男子校小学校は日本に3校しかありません。そのうち精道三川台小学校は長崎県なので、首都圏の男子校は暁星小学校と立教小学校のみです。

3 教育方針や校風が合っているか

学校説明会や公開授業など学校が用意している公開のイベント、もしあれば学校の先生とお話しする機会などに家庭・子どもと学校の方針や校風があっているのか、確認しましょう。

「うちの子には一貫校の伸び伸びとした校風が合っているな」とか「小学生がこんなに長文の文章を書けるのは立派だな、さすが中学受験の学校だな」など気づく点が多くあるはずです。

そのほか在校生の保護者や卒業生、幼児教室からどういう学校なのかを可能な限りリサーチするとよいです。

厳しい指導を標榜していて、親の干渉を好まない学校(トラブルがあっても親は口を挟まず学校に対応を任せてほしいという方針)であったり、通学に距離があっても携帯電話の持ち込みを厳しく禁じている学校など、家庭の考え方と合う・合わないがわかることもあります。

4 国立か私立か

国立の小学校の場合、授業料が無償であり、かかる費用は教材費や給食費、入学時の制服や衣類等に限られるという点で、経済的に保護者に非常にやさしいです。

ただし、(学校によっては複数回の)抽選に通らないと合格できないため、家庭や子どもの実力だけで合格を勝ち取れるわけではありません。国立小学校が第一志望であったとしても、それまでに私立小学校から合格をもらっておきたいところです。

また、国立小学校の位置づけは、「初等教育の研究を行い、その成果を公開して一般小学校教育に活用する」というものであるため、あくまで小学校の教育も研究の場ということになります。教育熱心な先生が集まりレベルの高い授業が展開される一方、教科書通りの授業ではないため、学校の授業に加えて、別途自分で教科書の内容を学習しなくてはならないという側面もあります。

私立小学校の場合、年間およそ100万円から160万円の高額な授業料等の費用がかかることになります。学内の施設等を利用した長期間の集団生活、低学年からの英語への取り組み、中学受験に関する手厚いサポート、海外ホームステイといった、各学校の特色を生かしたカリキュラム、プログラムが魅力でしょう。そのほか一貫校であれば受験に捉われずに伸び伸びとした環境で興味ある分野に取り組むことができるなどの点も魅力です。

5 自宅からの距離

私立や国立の小学校であるがゆえ、ある程度通学時間を要するのはやむを得ないところではありますが、通学中のトラブルや事故・災害等緊急時のリスクを減らすためには、なるべく自宅から近い学校を希望するご家庭も多いのではないでしょうか。

子どもが一人であれば、出願時には自宅から距離があったとしても、合格後学校の近隣に引っ越すという選択肢もあるでしょう。しかし、兄弟姉妹の学校や幼稚園、両親の就業先の場所などを考えると、遠方から通わざるを得なくなることも十分にあり得ます。

志望校の優先順位を決めるときや最終的に入学する学校を決めるときに重要な要素かと思います。

我が家の志望校選び

うちの場合は、公立小学校よりも安心できる学校の環境で学ばせたいというのが、小学校受験の一番の理由でした。

そして、小学校を選ぶ基準として最も優先したのは共学の学校ということです。
もちろん女子校/男子校ならではの同性の友人との絆の強さ、といった良さもあると思うのですが、今後ますますダイバーシティが重要性を増していく社会を見据えて、小学校は男子女子両方と生活を共にする環境で過ごしてほしいというのが私の願いでした。

もともと中学受験については子どもが成長する機会であると好意的にとらえていたのですが、先輩パパママから「小学校低学年から朝から晩まで塾に通い勉強漬けで子どもがストレスでおかしくなっている」「中学受験に集中していたら英語を習う時間なんてない」といった情報を聞くにつれて、一貫校、特に早慶をメインに志望することに決めました。

また、中学受験の学校の運動会を見学に行った際に、失礼ながら「迫力に欠けるな。勉強も大事だけどもっと運動を頑張れ」と思ってしまったこともあり笑、子どもには一貫校でスポーツに力を入れて体を鍛えてほしいなとも思いました。

ただし、中学受験校の説明会や学校見学に参加し、学校側の非常に教育熱心な様子を目の当たりにして感動しましたので、中学受験の学校も志望することに決めました。

すべりどめと出願の方針について

いわゆるすべりどめの学校を受けるのか、受けるとしてどの学校をすべりどめにするのかは非常に悩ましいです。

我が家の場合は、最終的に「小学校受験で失敗しても中学受験で取り返すことは可能。本当に行きたいと思える学校しか受験しない」という結論に至りました。

そのため、いわゆる「すべりどめ」というレベルの学校を受験して合格を確保しておこうとは考えず、難関校のみを受験するという方針にしました。

幼児教室の先生と面談をした際に、「こんなに難関校ばかり受けるのですか。1校くらいは入りやすい学校を選ぶ家庭が多いのですけどね」などともいわれました。

夫婦で再度話し合った結果、「一定のレベル未満の学校には通わせたくない。入りやすい一貫校に入れたとして、周りが受験をしないから本人も中学受験をする気をなくしてしまうかもしれない。うちはもし全部失敗したとしても中学受験すればいい」という方針を再確認しました。

ただし、気に入った学校は国立含めて多めに出願するようにして、約10校出願し、日程の重複で受験できなかった学校や志望度の高い学校に合格した後に辞退した学校があり、最終的に6校の受験となりました。

結果的に難関校といわれる学校からご縁をいただけたわけですが、仮に全敗という結果だったとしても、おそらく後悔はしなかっただろうと思っています。夫婦で考えに考えて出した結論だったからです。

もちろん、小学校受験のためにたくさんの費用がかかったので、どうしても私立に入れたい。どうしても子どもが公立小学校の環境にはなじまない。そういったご家庭もたくさんいらっしゃると思います。大事なのは家庭で考え抜いて結論を出したか、だと思います。

しっかり事前に夫婦で考えて話し合っていれば、第一志望が残念な結果になって方針を急に変えたり、受験の日程が重複してどの学校を受けるかで悩んだりということはないのではないかと思います。

なお、埼玉校1校に受験して合格は頂いたのですが、結果的には辞退した後、神奈川・東京の志望校の受験に臨みました(入学金の振込期限は神奈川校が始まる前に設定されていた。ただし2024年度で、振込期限を他校より後に設定してくれている埼玉校があると聞いたことがあります)。
その埼玉校も教職員の方々や教育内容はとてもよくて惹かれるところはあったのですが、自宅のある都内から校舎に行ってみて、学校があまりに遠かったため(片道1時間30分以上かかる)、子どもが通うのは難しいなと判断して、躊躇はあったものの辞退を決めました。

埼玉校のよいところは、各幼児教室を通じて、受験生に対して受験結果のフィードバックをくれることです。子どもが初めて小学校の入学試験を受験し、学校側が評価して結果を教えてくれる。受験生にとってこんなにありがたいことはないですよね。

うちの子どもは、受けてみて不安に思った科目もあったようでしたが、フィードバックの結果がよかったので、自信をもって次の志望校の受験にのぞむことができました。

ただ、何の行き違いなのか、2024年度の合格発表後になって、幼児教室が例年は受け取っていたフィードバックをある埼玉校からもらえなくなったことが判明し、既にその埼玉校を受験していた受験生のご家庭がとても混乱したという事件がありました。来年以降、受験結果のフィードバックは確実にもらえるわけではない、ということは頭に入れておいた方がよいかもしれません。

以上、①中学校以降の進学先(一貫校かどうか)、②共学か男子校/女子校か、③学校の教育方針や校風が自分の子ども・家庭に合っているか、④国立か私立か、⑤自宅からの距離といった視点を考慮し、お子様の成長度合いや学校が開催するイベント等への参加を通じて、ご家庭と合いそうな志望校を決定するとよいと思います。

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