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100日後に退職する47歳を読んだ感想

IT業界で話題になっている「100日後に退職する47歳」を読みました。

業界にいる方なら、「ああ、分かる……」と思ったのではないでしょうか。不具合のあるシステムを、なんとか動かし続けている現場では日常茶飯事のような気もします。

元アプリ開発47歳の視点だけのマンガなので、すべてが正しいとは言えませんが、ロクな人たちがいないなと。主人公も含めて(笑)

久松さんも言及しているとおり、悲喜こもごも・賛否両論の意見が世の中にあふれています。

・主人公が無能だった
・会社は主人公を辞めさせたいと思っていた
・GMが無能だった
・Hさんに言われることで踏ん切りがついたのでは
・こんな会社辞めてよかったですね …などなど

私は主人公に対して、「気持ちはわかるが、もう少しやり方があったのでは」と思っています。

たとえば、Cさんチームが問題にも関わらず、Cさんが怖いという理由でコミュニケーションを取らず、あまつさえCさんから反撃された内容を飲んでしまっています。

その後、退職する前に社長から低評価を受けたり、GMも「彼がいなくても問題ない」と判断されたりしたのは、ここに原因があります。

本来であれば、リリースが遅れた原因はCさんチームです。しかし、16日目のやりとりで、GMと社長は主人公チーム(というか、主人公)がリリース遅れの問題であると認識している可能性があります。

これでは、いくら本人が「自分なりに頑張っている」といっても会社は話を聞かないでしょう。

そのうえで、所属していた会社はあまりまっとうではない可能性があります。

理由はいくつかあります。ひとつは、7日目で5分遅刻しそうになったとき、上司?が「もう少し早く家を出たほうがいいんじゃない?」と予想して、体調不良と嘘をついて半休を取得したことです。

主人公が遅刻常習犯なら別ですが、5分ほどの遅刻で毎回のように注意するのは、マネジメント上、あまり褒められた行為ではありません。毎回、と判断したのは、主人公は遅刻した瞬間、そのシーンを思いうかべたからです。そこから日常的と判断できます。

ふたつめは、部下がいない管理職に据えられ、残業代が出ないことです。名ばかり管理職といっても過言ではありません。

みっつめは、社長から「あれ直せ」「これ直せ」という指示が出ていることです。本当に必要な修正の可能性もありますが、PMが社長の指示を、そのまま主人公に見せていることから、マネジメントが崩壊している可能性が高いです。

以上から、社長がワンマンで、マネジメントが効いていない組織だというのが想像されます。

実際、主人公がボーナスゼロでやる気をなくし、転職活動で休みだすと、Hさんに業務が移行し、GMやPMが「どうするの?」と丸投げしています。こんな現場では辞めたくなるのも頷けます。

とはいえ、主人公が優秀で問題がなかったといえば、そんなことはなく。ただ、今の現場を回すためだけに労力を割き、自分のスキルアップをしてこなかったことが考えられます。

AtcoderやHackerankを知らなかったり、「性能が足りなかったらサーバスペックを上げればいいのに」とルールを無視した発言をしたり(サーバスペックを上げなくても実行できる仕様になっている)。

とはいえ、現場で働いているエンジニアの多くは、こんな感じなのも事実です。自分の業務関連の知識・技術以外まで勉強できるエンジニアは10~20%ほどでしょう(年齢関係なく)。

100日後に退職する47歳は、IT業界の実情に即していますが、読了感はよくないですね。事実なので仕方ないですが、会社も主人公もダメダメ感が強すぎました。

ただ退職ブロクやよく発信しているエンジニアは、「できるエンジニア」が多いので、こういう「普通のエンジニア」の実情が知られることで、業界の問題を考えるきっかけになってもらえれば嬉しいです。

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似非教授
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