![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/38455717/rectangle_large_type_2_92ae808c9ac90970577af1cdbfa535b7.png?width=1200)
まいにち決算⑤【謎の自治体特化サービス企業 ホープ】
大阪大学企業・投資研究会です!
今日は11/9発表のホープの2020年7月~9月の四半期決算を見ていきます!
企業の概要と事業内容
株式会社ホープ
・2005年設立
・社員数167名
・企業理念:自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する
ホープは自治体に特化したサービス会社で、財政難に苦しむ地方自治体の自主財源確保を支える事業を行っています。
事業内容①:広告事業
広告事業では主に自治体の広報誌やHP、協働冊子から広告枠を買い取り、企業に販売する事業を行っています。
140億円もの市場規模を持つ自治体広告市場の例として、HPや広報誌はイメージしやすいですが、中には公務員の給与明細や配布物の封筒などもあり、かなりユニークかつターゲットも明確な広告媒体に感じます。
事業内容②:エネルギー事業
エネルギー事業では「電気もジェネリック」というコンセプトのもと、電力小売サービス「GENEWAT」を運営。
自治体向けに安価な電力を提供し、経費削減を支援しています。
これは2016年の電力の小売全面自由化に関係する事業なので簡単にメモ。
これまで電力は各地域の電力会社(東京電力、関西電力等)だけが販売しており、消費者は電気をどの会社から買うか選べませんでした。
2016年(平成28年)4月1日以降は、電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。
電気の小売事業への参入者が増えることで競争が活性化し、様々な料金メニュー・サービスが登場することが期待されます。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 ホームページ
上記の説明での、新たなメニューを提供する新規参入事業者がホープです。
契約した顧客の使用電力量や気象データから算出されたリーズナブルな価格で電力を販売しています。
事業内容③:メディア事業
メディア事業では、ホープを媒介として官民の連携が進むようなメディア・プラットフォームを運営。
具体的には、
①自社メディア「ジチタイワークス」による自治体のノウハウ共有
②セミナーや調査、営業代行など、民間企業向けのBtoGマーケティング支援
③自治体と企業の協働支援プラットフォーム「HA×SH」
④自治体と地域住民をつなぐアプリ「マチイロ」
などを展開しています。
これらの事業は基本的には企業側からの広告費・マーケティング代行費が主な収入源となっています。
決算:エネルギー事業の成長が会社を牽引
それでは決算書を見ていきましょう!2021年6月期 第1四半期決算です!
株式会社ホープ 2021年6月期 第1四半期 決算説明会資料
前年同期比で、売上高が263%増、営業利益は黒字化しています!
かなり異常な急成長を遂げていることがわかります。
この成長要因を探るため四半期売上高の増加傾向を見ると、エネルギー事業が売上高の94.5%を占めるまでに急成長している事がわかります。
エネルギー事業は昨年から本格始動しましたが、供給実績年数などの要件で電力の入札に制限がありました。しかし今年からは要件を満たす入札が増加したため、大幅な成長につながったと考えられます。
さらにQ1で落札した案件は、電力の供給が10月開始のものが多いと発表しているため、Q2も大きな成長が見込まれます。
各事業のフェーズについてもリリースが出されています。
今期の広告事業の売上高の減少は、規模の適正化によって収益構造を改善するためとわかりました。
メディア事業については、ジチタイワークスのリニューアル効果が継続しており、当面はブランディングの強化に注力する方針です。
エネルギー事業で安定成長する財源を築けているおかげで、着実な投資ができているといえそうです。
スガノミクス関連銘柄?公務員プラットフォーム?
さらなる独自の事業戦略
次は今後の戦略です。
今後についても、Q1で力強い成長を見せたエネルギー事業を軸に企業戦略を組み立てているようです。
本格的なエネルギー利用のソリューション提供のため、子会社を設立。
さらにAIによる家賃予測サービスを提供していたTATERU社と提携。
電力事業の先のエネルギーでの付加価値の創出に先手を打っています。
菅総理が「温室効果ガス実質ゼロ」を掲げたことからも、自治体にクリーンエネルギー対応のサービスを提供していく戦略のホープは今後注目すべき企業となってくるかもしれませんね。
さらなる戦略として、メディア事業でのブランディングを強化して
①自治体市場の顕在化
②自治体データベースの構築・拡大
を目指しています。
こうして獲得した事業における自治体との関係性の深さを、公務員領域にも広げビジネスを拡張していく戦略のようです。
自治体特化型ビジネスならではの参入領域の独自性は見ていて非常に面白いです。
とはいえ、ここについてはまだ明確なプロダクトやサービスの指針は示されていないので参考程度に捉え、Q2で足元のメディア事業のブランディングの成果がどう出たかを追っていくかたちになりそうです。
本日のまいにち決算は以上です!
自治体特化サービスという今まで見たことのなかった業態とビジネス展開がかなり興味深く面白かったです。
電力自由化の仕組みについても学べましたし…笑
(途中で引用した電力自由化のページにはこちらをクリックしたら飛ぶことができます!)
競合を生まない独自性は、個人的に重視している要素でもあるので今後も注目していきたい企業でした!^^
本日も読んでいただきありがとうございました!
決算書の読み方を簡単に習得するにはこの本がおすすめです!
人気なのでたまに売り切れてますがしばらくは大丈夫かと)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?