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まいにち決算③【「食べログ」の復活と生き残り戦略はどうなる?】

大阪大学企業・投資研究会です!
今日は11/5発表の株式会社カカクコムの2020年7月~9月の四半期決算を見ていきます!

価格.comや食べログなど有名なWEBサービスを運営している会社ですね
前期はコロナの影響を食べログが大きく受け、売上高が33%減になっていましたが、今期はどうなったんでしょうか?

企業の概要と事業内容

株式会社カカクコム
・1997年設立
・社員数1160名(連結)
・ミッション:LIFE with -生活とともに-
 世界にあふれる情報が、一人一人の生活にもっと身近に、溶け込むように
 いつもの生活をインターネットでもっと素敵に

カカクコムは大きなくくりでは①インターネットメディア事業②ファイナンス事業の2つの事業セグメントです。

しかし、カカクコムではインターネットメディア事業をメディアの規模によって価格.com事業、食べログ事業、新興メディア・ソリューション事業の3つに分けているので、今回はそれに従い4つのセグメントで見ていきます。

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意外と知らない間に使っているサービスが多いのではないでしょうか?笑

事業内容①:価格.com事業
パソコン、家電、食品からクレカ、引っ越しに至るまで様々なカテゴリの商品やサービスを比較検討できるメディア「価格.com」を運営。

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ビジネスモデルは①掲載店舗への送客数や販売実績で手数料を得るショッピング事業、②事業者への資料請求や契約に応じて手数料を得るサービス事業、③メディア掲載枠の広告事業から成ります。


事業内容②:食べログ事業
飲食店の情報やクチコミを提供して飲食店の検索とネット予約ができるメディア「食べログ」を運営。

自己満足制作物

ビジネスモデルは①販促サービスや予約に応じて飲食店から手数料を得る飲食店販促事業、②ユーザーに有料コンテンツを提供するユーザー会員事業、③メディア掲載枠の広告事業から成ります。


事業内容③:新興メディア・ソリューション事業
「求人ボックス」や「スマイティ」などに加えて、子会社が運営する「映画.com」「バス比較なび」など多くのWEBサービスを運営。
ビジネスモデルは広告収入各関係事業者からの手数料収入


事業内容④:ファイナンス事業
オンライン展開を中心とした生命保険や損害保険の募集代理・媒介事業、保険商品の比較コンテンツや保険に関するコンサルなどのサービスを提供。
ビジネスモデルは保険契約の申込みの際の手数料収入


当分は着実な事業展開で回復を狙う…?

それでは決算書を見ていきましょう!2021年3月期 第2四半期決算です!
株式会社カカクコム 2021年3月期 第2四半期 決算説明会資料

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7~9月の業績を見ても売上収益は-20.0%の122億円、営業利益も-34.5%の466億円と減収減益になっています。

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減少の内訳をみていくと、食べログと新興メディア・ソリューションの減収幅が大きく、業績悪化の要因となっているとわかります。

価格.comのショッピング事業も、昨年の同時期が増税前の駆け込み需要が発生していた事を踏まえると、+1.1%の収益を出せているのでまずまずですが、コロナによる大きな特需は落ち着いたとみる方が良さそうです。

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これまでの業績推移やのちに触れる事業戦略上も価格.comは今後の注目ポイントではなさそうなので今回はスルーします。


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肝心の食べログですが、Q2の時点で7割の売り上げまで回復、Go To Eatの影響で、ネット予約数が前年対比で10月の予約数が223.5%まで伸びていることを考えると、意外と回復は早いのかな?と考えています。


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今後の戦略としてもまだまだ食べログに投資して成長を目指す方針のようです。予約に加えて仕入れと発注、お取り寄せグルメのECなど、飲食店の課題解決の範囲を広げていく戦略。

ここに関しては競合のRettyがクチコミを用いた予約・販促領域に特化して、顧客管理・飲食店向け運用型広告を提供していくのとはまた違って面白いなと感じました。
食べログの強みである蓄積してきたデータを活用する戦略を他社にとられてしまうのは少し勿体ない気もしています。

一方で食べログは既に顧客飲食店数もかなり多くなっているので、一店一店の顧客管理などで単価を増やすよりは収入源となりうるメニューを増やす方が全体で見たリターンは大きいのかもしれません。経営の難しさと面白さが表れてますね笑
吉か凶か、今後の食べログとRettyの展開には個人的に注目してます!


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続いて、新興メディア・ソリューションの内訳をみていきます。
ここでも旅行・移動系のサービスで大打撃を受けています。

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人材業界が不況の中、求人サービスが伸びているのが意外でしたが、少し調べてみるとIndeedと同じ求人検索エンジンのようです。求人掲載自体は無料で、クリック単価によって費用が発生するモデルなので、企業の採用が冷え込んでる今の状況でも利用者数の増加に伴って成長したと考えられます。


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最後がファイナンス事業ですが、オンラインによる保険契約が増えたのに伴って増収です。まだ売り上げの規模としては小さいので全体への影響はあまりないですが、着実な成長が見込める事業ですね。


今後の見通しと個人的なポイント

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今後の戦略としては、先ほどの食べログの戦略に加えて、新興メディア・ソリューション/ファイナンスの売上構成比の増加を目指していくようです。

目新しい戦略はなく、各WEBサービスの事業範囲の拡大を着実に目指していく方針のようなので、Go To Eatの特需はあっても当分化けたりはしないと予想します…!!

カカクコムのビジネスのように、クライアントの売上高や利用数によって売上が変動するフロー型のモデルは、コロナやGo To Eatなど外部要因の影響を良くも悪くも大きく受けるという事を実感した決算でした。

カカクコムの今後の鍵は食べログでなく、戦略にもあったように他のWEBサービスを外部要因のリスクヘッジとして機能するレベルまで大きくできるかどうかな気がします。(ある外部要因に対して、悪い影響を受ける事業と良い影響を受ける事業の2つを持っていれば全体ではそこまで影響は受けないという理論)


フロー型のビジネス、ストック型のビジネス(Ex.ミンカブ・ジ・インフォノイド)の読み解き方や決算の特徴はこの本に詳しいです!

本日は以上です!今日も見て頂きありがとうございました!!



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