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まいにち決算②【「みんなの株式」の会社は強かなAI企業⁉】

今日は、数時間前に発表されたミンカブ・ジ・インフォノイドの2020年7月~9月の四半期決算を見ていきます!

「みんなの株式」という投資情報メディアが有名ですが、その背景の技術力や今後の新戦略がかなり面白かったのでまとめてみました。

企業の概要と事業内容

株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド
・2006年設立
・社員数158名(単体96名)
・ミッション:情報の価値を具現化する仕組みを提供する

・ビジョン:情報の網羅性・正確性・速報性を担保する技術力を様々な分野で活用新しい情報提供を実現

ミンカブ・ジ・インフォノイドは、AIの情報自動生成技術と、ユーザーの行動データを集約して利用するクラウドインプットに強みを持ち、それを軸に金融領域で2つの事業を行っています。

事業内容①:メディア事業(BtoC)
みんなの株式」を中心に、14の投資家向け情報メディアを運営。
ビジネスモデルは広告収入課金収入の2つから成ります。

まいにち決算②

「みんなの株式」では「集合知」と称するように、AIのロジック計算やアナリストの株価予想、ユーザーの売買予想データから作成したアルゴリズムを交えて予想株価を提供するなど独自性の高いサービス設計をしています。

ユーザーが利用すればするほど、学習が進んでサービスの質が上がり、新しいユーザーへの訴求となる恐ろしいメディアです。

課金サービスは、現在は投資経験のある投資家向けの「Kabutan」内の「株探プレミアム」(月額1980円)のみですが、事業戦略としては第二の課金サービスの樹立によるサブスクモデルへの移行を目指しています。

事業内容②:ソリューション事業(BtoB)
主に金融機関向けに、顧客のための情報ツール(テーマ株や経済ニュース、株価分析、決算ビジュアルなど)や営業員の支援ツールを提供。
また、子会社のProp Tech plus社がREIT※ 事業者向けに業務効率化プラットフォームやデータベースを提供。

※REIT:不動産投資信託(詳細はリンク先で!)

自己満足制作物

ビジネスモデルは、顧客法人への導入時の初期費用と、導入後の情報提供・保守・運営費の月額費用の2つの収入源から成ります。月額のストック収入が安定した財務基盤の基となっています。


好業績と収益モデルの改善に成功

それでは決算書を見ていきましょう!2021年3月期 第2四半期決算です!
株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド 2021年3月期 第2四半期 決算説明会資料
株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド 2021年3月期 第2四半期 決算短信 補足説明資料

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今期の業績を見ていくと、売上高が+60%、営業利益が+90%と、大きく伸びていることが分かります。コロナの特需が終わってなおこの成長率は凄いですね…

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この増加要因を探るためセグメント別の売上高を見ると、売上高増加分のほとんどはソリューション事業の伸びであることが分かります。
スポット売上(新規導入に紐づく売上)の大幅な増加が特徴的ですが、これにはProp Tech plus社、ロボット投信社の買収でプロダクトが充実したことが関係しているのではないかと考えます。

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次に、売上の向上だけでなく、その稼ぎ方も変化させているという話です。
前期までは、収益の中心はメディア事業の広告収入でしたが、今回ソリューション事業とメディアの課金収入を倍増させることができました。

つまり、景気に左右されやすい広告頼りのモデルから、安定収益が期待できるサブスク中心のモデルへと変わった事を意味します。年内にも主力メディア「みんなの株式」で課金型のプレミアムサービスをローンチする計画との事なのでこの志向はさらに強くなると思われます。


新戦略:基幹AI技術を生かしたソリューション展開

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今期決算でのソリューション事業の成長を支えた業務提携・M&Aによるプロダクトの拡充・AI技術の横展開ですが、「スポーツ」と「選挙情報」という非金融分野へのさらなる進出が開示されました。

従来の金融分野での事業をサブスク化で安定収益が見込める体制に整え、再現性をもって新産業へと事業を拡張していくという、かなり理想的なポートフォリオ経営への移行ではないでしょうか。

AI技術を生かしたソリューション提供を行っている企業の中ではかなり事業展開の戦略がうまくいっているような印象を受けます。

毎回決算資料の冒頭に明記されているように、自社の3つの基幹技術「AIエンジン」「クラウドインプット」「ビッグデータ」とそれをメディアと情報ソリューションで生かすという勝ち筋が定義されていることがM&A戦略の成功や着実な事業拡大に結び付いているように感じました。

今日の「まいにち決算」は以上です!ありがとうございました!


毎度さらっと売上高や営業利益の話をしていますが、基本的な決算書の読み方を学びたい時は以下の本が本当に分かりやすいのでおすすめです!
決算をビジュアルを見て感覚で理解できるようになり、クイズ形式で飽きずに読めます。


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