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兵庫県立美術館/コレクション展他(元永定正展/飯川雄大展)感想

[2022年コレクション展Ⅰ小企画]生誕100年 元永定正展-伊賀上野から神戸、そしてニューヨークへ-/2022年1月22日-7月3日/兵庫県立美術館 常設展示室2

摩耶の山頂に光るネオン。
それがはじまりだったらしい。 
最初期の作品を見る、ちらちらと光っている、小さなそれは、ネオンに擬態している?ミミクリ。ア ナザ ミミクリ。
山の上で。あるいは飛行船を眺めている。

後期の作品で飛行船に乗ったあの小さないきものたちは、もしかしたら、最初からそこにいる。

《作品N.Y.No.1》をちょうど蝶番にして、具体期のアンフォルメル風から、ポップ風のタッチに変わっていくようだった。
山から飛行船へ?地殻運動から、宇宙を経て、スペースシップへ?
摩耶山のミミクリ(擬態)たちは旅を続けている。

こうして初期作から並べてみていると、元永定正作品には一貫して生命的なリズムがあるのかもしれない。地殻-マグマ-河-内蔵-宇宙-大気の系列。

ゆっくり張り詰めて、どばっと破裂する。
具体グループの中で近いのは、意外と松谷武判のビニール接着剤なのかもしれない。

美術館からの帰り道には摩耶山が見える。
なにかそこにいるような気になる。 

在る だからみち ひかれて
来た はなれ る
藤原安紀子『アナザミミクリ』

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注目作家紹介プログラム チャンネル12
飯川雄大 デコレータークラブ メイクスペース ユーズスペース/2022年2月26日-3月27日/兵庫県立美術館ギャラリー棟1階アトリエ1、館内各所

メイクスペース、ユーズスペース、

美術館外壁に紐で描かれた文字は、展示室内の観客の紐の操作と連動して動く。
ところで、“make”と“use”は動くけれども、“space”はどことも連動しておらず、動かないように見えた。
空間はあくまで(ア・プリオリに)不動のものとしてそこにある、ということ?

国立国際美術館と兵庫県立美術館のあいだで、展示されている重いカバンを持ち運ぶことができるらしい。
これも空間は不動のものとして想定されている。その中を動き回るのは観客の方か。

その意味で、国立国際の方で展示中の方は、壁が動く、空間そのものが動くことを示唆するのだろうか?

スペースを作れ、とサッカー少年は言われた。ギャップを作ってパスを出せ。
この時フィールドそのものは不動の基盤としてそこにあるわけだが、では壁が動くとはフィールドそのものの可動性か。
スマブラのステージのように。

メイクスペース、ユーズスペース、

この時空間という形式は最初から前提されているものなのか?その発生を問うてみること、コントローラのCスティックをまわすように。

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