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描く人を応援したかった私が、自分が描くことを許すまで

私の毎朝の習慣は、iPad miniで絵を描くことです。と胸を張って言えるのはここ半年程のことで、その前に毎日のように少女漫画の絵を描いていたのは小学生の頃まで。中高一貫の進学校に進学してからは、美術部でたまに「見栄えの良い絵」を目指して何かを描いていたぐらい。大学生の頃は、「自分は絵を描くより見る専門だから!」と言い切って、自分での制作はほとんどしていませんでした。

私が高校生の時、大学生になった時の目標は「医療とアートをどちらもやる人になる!(そのために今は医学部受験を頑張る!)」でした。無事に大学生になった後、大学2年生の秋頃に「私は医療とアートをやりたいんだった」とようやく思い出し、そこから地域の他大生や美大生たちとホスピタルアートという活動を大学6年生まで続けました。その頃の私は「自分は美大生や美術のプロでは無いから制作自体は出来ないけど、医療や研究との接点を活かしてこの分野に何かしら貢献したい!」と綴っていました。今となっては、プロでなくたって自由に制作して良いんですが、当時は周りにいた美大生たちが眩しくて、とても自分が描きたい作りたいとは思ませんでした。

その私が夫の帯同家族としてデンマークで暮らすことになり、フルタイムの仕事を辞め、2歳になったばかりの娘も保育園に預けられるようになり(私は仕事してないのに、福祉国家すばらし!)、ぽっかりと空いた自由時間を手に入れることになりました。

渡航直後は、この自由時間に「海外からリモートで仕事が続けられるか?」など試みていました。でも時差の関係で日本とのミーティングに参加し続けることが難しかった。さらに、その頃お世話になっていたコーチングをしてくれる先生との会話の中で、「私がこの海外滞在中にやりたいことは…自分が何かを創る、描くことなんではないか?」と気付いたのです。

ずっと「自分は描く人ではない」と思い込んでいたので、自分が描いたものを外に発信することには最初すごく抵抗がありました。でも、instagramでコミックエッセイとして日常を綴っているアカウントを沢山見るうちに、「今の自分にはデンマークにいるという豊富なネタがある、それをまずは描いてみよう!」と思えるようになってきました。

そして、病院の研修用に白衣のポケットに入るサイズが良くて買ったiPad miniにドローイングソフトのProcreateをダウンロード。渡航したのは北欧の暗い冬真っ只中で、しかも娘がまだ保育園に入れる前。初めてinstagramに投稿したのは、「夫は仕事に行き、外は暗くて寒く、2歳児と二人きりで家に引きこもってジブリ映画見てる」というありのままの自分の姿でした。

最初は「この広大なinstagramの中で、誰かが自分の投稿を見てくれるようになるまで一体何回投稿すれば良いんだろう」と途方に暮れていました。しかしinstagramのアルゴリズムは上手く出来ているようで、最初の投稿にも関わらず、同じ頃に同じようなイラストを投稿し始めた人と早速お互いに知り合いフォローし合えるようになっていました。それからは、日常でネタを拾うたびにiPhoneのメモに記録し、空いた時間にイラストを描くように。徐々に自分が描きやすい色味や画風もしぼれてきて、半年経った今でも地道に週2,3回はイラスト(2コマ漫画)を描いています。

イラストを描いていて良かったことは、instagramの投稿を通して人と出会ったりゆるい繋がりを続けられていること。近くに住んでいる同い年の子どものいるママさんと知り合って一緒に遊びに出かけたり、家に遊びにきてくれた夫の友人を題材に描いたら喜んでもらったり。現地の友達を作りたくて週一回アートクラスに通った時も、自分のポートフォリオの様にinstagramアカウントを見せると話が弾みました。

勇気を出して、また絵を描き始めて、人目につくところに出していって良かったなと今では思います。せっかく描き始めたので、本帰国してまた日常に戻っても、描き続けられる仕組みを作ろうと模索しています。仕事と絵を描くことを両立して、日常で見つけたちょっとした感情の動きを、ユーモラスかつプレイフルに人に伝えられるようになりたいな。

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