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ネオサイタマはいまここにある「レイジ・アゲンスト・トーフ」

あなたはニンジャスレイヤーにどのようなイメージを抱いているだろうか?

変な日本語のライトノベル?「アイエエエ」のやつ?

かつて私もそうだった。Twitter連載で話題のライトノベル。ちょうど書籍の一巻目が発売されるころだったから、気軽な気持ちで読んでみた。いきなり「これまでのあらすじ」からはじまるユニークさ(一巻目なのに!)に先制パンチを食らったところに、チーターの速度で匍匐前進するニンジャが現れたところで、久々に文章で爆笑することができた。

「ああ、なんておもしろいギャグ小説なんだ!しかも短編集形式だから読みやすい!」

そんなことを考えながら読み進めていたときに出会ったのが表題作の「レイジ・アゲンスト・トーフ」だった。

あらすじ

勤め先のサカイエサン・トーフ工場の事故で片腕を失った上に職まで失ってしまった墨絵師志望の男、シガキ・サイゼン。ある日入った無人スシ・バーにて、サカイエサンの工場へ一斉襲撃を掛ける計画の存在を聞きつけた彼は、様子見を兼ねて志願する。ニンジャスレイヤー Wiki





「無人スシ・バー?なんだそりゃwwwすべての席が孤立?一蘭かwww」と読み始めて一笑いしたところで、ふと気づく。

(俺はシガキを馬鹿にしているが、高級寿司店なんて行ったこともない、せいぜい回転寿司やスーパーの割引パック寿司を食べるだけ、海外からの輸入品であろうよく知らない魚を食べている自分とシガキはなにが違うのか?まったく同じではないか?)

背筋が冷える思いをしながら読み進める。アメリカ人原作者が描いたありえない日本、ネオサイタマが、自分がいまここで過ごしている場所とどんどん一体化していく!

これまでギャグ小説だと思って読んでいたサイバネティックス技術が普遍化した近未来という、現代とはまったく異なる世界を舞台にしたはずの作品が、極端さはあれど現代を生きる我々を描く物語として立ち上がってきた。そんな予想もしなかった感動をくれたのがニンジャスレイヤーであり、「レイジ・アゲンスト・トーフ」という作品だった。

これ以上詳しい説明はしないから、ぜひ読んでみてほしい。陳腐な表現だが、ニンジャスレイヤーの登場人物は生きている。彼らは確かに2017年の日本人と同じ悩みや苦しみの中で、それでも必死に生きている。

ドーゾヨロシクオネガイシマス!


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