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Interview with NOISE NEST

<Interview date 4.23.2021~5.8.2021>

―時間をとってくれてありがとう。
去年リリースされたSPLIT(w/Libranos Del Mal)を聴いてNOISE NESTのことを知りました。結成の経緯とこれまでのキャリアについて教えてください。
こちらこそ連絡ありがとう。このバンドはもともとVolkan(Vo/Gt)のワンマンプロジェクトとしてスタートした。その後Volkanがドラマーとのデュオにすることを決めてメンバーを探し始めて、Bahaが加わって今の形になったんだ。何度もリハーサルを重ねて新作のリリースをしたんだけど、ライブの方は残念ながらパンデミックの影響で遅れてる状況です。


―なるほど。2人は以前からの知り合いですか?個人的にはメンバーを集めるのは曲を作るよりも難しいと思ってます。
言えてるね(笑)。自分と同じ考え方、同じジャンルの趣味を持ったメンバーを集めるのは大変だよね。私たちは二人とも自分の音楽の目標を探していて、Noise Nestのおかげで出会ったんだ。


―最近ではデュオ編成のパワーバイオレンスも珍しくないですよね。曲を作ってるときにベーシストが必要だと思うことってありますか?

うーん、それはないかな!バンドを立ち上げたのはさっき話した経緯の通りだし、そもそも「少ないことは多いこと」だと考えていて、コンビネーションを組むことで作曲作業は捗るし、2人なら問題も混乱も少ない。将来的にどうなるかはわかんないけど、今の状態には満足してます。


―相性が良かったってことですかね。2人がこれまでに影響を受けたサウンドについて教えてください。
大好きでよく聴いているグラインドコアやパワーバイオレンスからの影響が大きい。バンドでいうとEndless Swarm, Wormrot, Negativ Null, Gets Worse, Warfuck, Henry Fonda, Sakatat, Insect Warfare とか。
時には、もうちょいハードコアなスタイルを取り入れることもある。


ーさっき話に出したSPLITなんですが、パートナーはコロンビアのバンドですね。

そう。最初は新しい単独EPを作ろうと思ってて、リリースのためにレーベルを探してたらThe Hills Are Dead RecordsがLibranos Del MalとのSPLITのアイデアを持ちかけてくれたんだ。彼らはEPをリリースしてからまだ時間が経ってなかったし破壊的で凶悪なサウンドを持ってるからね。この一体感に賛同して、単独作に加えてこのスプリットでも新曲を発表することにした流れだね。

―NxNxの歌詞はトルコ語じゃないんですよね。カセットには歌詞カードが付いていなかったのですが、テーマにしているのはどんな事ですか?
そういや最初のEPを除いてトルコ語の歌詞は作ってないな。歌詞の内容は社会的不公正、反ファシズム、政府や警察のテロ、不服従など社会問題をテーマで、政治や宗教の在り方に大きな影響を受けているんだ。
今イスラム教と政治は与党と大統領によって問題が絡み合っていて、パンクシーンではこれに対して反抗的な姿勢を持ってる人が多い状況です。


ー政治家の
悪い意味の習性は万国共通だと思いますが、トルコでは政治と宗教の関係性が深いの?
AKP(与党)は自分たちのために保守的なイデオロギーで宗教を利用することで、それに敏感な人々に影響を与え、国内の世俗的な人々との間に緊張関係を作り出しています。
調査会社は最近、選挙の可能性に備えて政治的な目的で若い人の意見を調査してるんだけど、イスラム教を利用して人々に影響を与えようとしている与党(特にエルドアン大統領)が若者からあまり票を得ていないことも明らかになっててね。そういう保守的な態度や宗教を利用する政治家はとっくに飽きられてんだよ。


ーなるほど。例えば日本には、大衆的な日常生活に影響を与えている宗教がないんです。トルコの若い人たちにとってイスラム教はどの程度生活に溶け込んでいるんですか?

年配者とは違って若い人の多くは世俗的な人生観を持ってるし、無神論者も増えてきてる。多くの若者の考えの中にイスラム教は存在しないね。もちろん全員ではないけど、昔に比べればはるかに多くの人がそうだと思う。
私も一般の生活に溶け込んだ宗教を持たない方が常に良いと考えていて、というのも、もし宗教が統合されてしまうと人々はそれだけに頼ってしまって社会生活や法律のレベルで多くの紛争が発生するかもしれない。



ー音楽の話に戻るんですが、アンカラにはNoise Nestのようなグラインドコア/パワーバイオレンス系のバンドは多いですか?
そうだね。キラーバンドもいるし、最近では新しいプロジェクトも増えてきてるよ。
Sakatat、Ultimate Blowup、Subjugation、Neglectedとかは昔から活動してるし、最近新譜を出したRektal Tuşe、Glabrezu、Ketum、Kuaför Cengiz、Sapık İnek、Urban Carnageとかもカッコいいよ。


ーSakatatやUltimate Blowupは僕も大好きです!例えばアンカラが拠点だったらどの辺までツアー行くんですか?西ヨーロッパ方面はちょっと遠いですかね。

どうだろ。色々整っていればそっち方面に行くのもそれほど苦労しないかな。近くないけどそれほど遠いわけでもないし。
実際最近では日本とかアメリカに行ったアンカラのバンドもいる。


ー日本に来たアンカラのバンドってあれかな。THRASHFIRE?
そうそう。去年大阪で開催されたTrue Thrash Festに出たんだよね。
それ以外にもウクライナやロシアなどの東欧やアジア方面にツアーをすることもあるよ。

ーバンドの他にレーベル、ショップ、ライブハウスなどで老舗があれば知りたいです。
バンドだとSelftorture、Sakatat、Cenotaph、UCK Grind、Chopstick Suicideなど、様々なジャンルのバンドがシーンにいて、さっき話したように今でも活動しているバンドもいます。
Mevzu Recordsは勤勉なレーベルでたくさんのギグを行っているし、KadikoyにあるAkmar Music Shopは種類も商品も一番多いショップだね。あと、Karga(イスタンブール)、Telwe(アンカラ)、Upstage(イズミル)とかハコもあって、普段はいいイベントやってるよ。


ーいいすね~。いつか行ってみたいな。最近は世界的にアナログフォーマットでのリリースが多いですよね。トルコではフィジカルアイテムの需要ってどんな感じですか?
ストリーミング配信のおかげで物理的なコピーを購入する人が減っているのは確かで、トルコもその影響を受けてる。だけど実際にはリスナーがリリースにたどり着きやすくなったとも思う。こっちでは年齢問わずフィジカルコピーに興味を持つ人がまだかなりいるから別に悲観しているわけではないんだよね。今はパンデミックの影響で不可能だけどライブ中の物販需要はすごく大きくて、レーベルもディストロもバンドもライブ会場でブースを設置して賑わってるんだ。


ー最近よく聴いているアルバムと、人生で一番好きなアルバムは何ですか?

結構色々聴いてるよ。
Volkan:Jornada Del Muerto、World Peace、Cave State
Baha:Meshum、Ulcerate、Kriegsmaschine
「人生で一番好き」と呼べるようなアルバムは難しすぎて挙げられない(笑)

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ー日本では夏ごろからワクチンが広まる予定ですが、トルコでのコロナの状況は?
トルコは最近コロナの患者が最も急増している国のひとつで、ワクチン接種は始まってるけど患者の増加は高い確率で続いています。こうなった最大の原因は正しい戦略を立てられない政府にあると言えるだろうね。私たちはスーパーに行くことしか許されてなくて、それ以外はいつも家にいて、本当に寝るだけの生活なんだ。


ーくれぐれも安全に!今後の活動もチェックしてますよ。
サポートに感謝しています。No way to fascism!
誰もが平等に、そして穏やかに暮らせる世界を望んでいます。ご安全に!