カジュアル面談のトリセツの感想文

技書博5と技術書典11での新刊、カジュアル面談のトリセツ を読んでみました。

本の構成としては二部構成となっています。

まずカジュアル面談を50社以上受けてみたという、とても物好き(失敬)な著者の体験をもとに、スムーズかつお互いにとってより良いカジュアル面談とはなにか?を体系化してまとめた第一部と、それでもなお偏ってるかも?と考えた著者が、6人の寄稿者にそれぞれの考えるカジュアル面談についてを寄稿してもらった第二部という、とても豪勢なものになっています。

著者は多彩な経歴をお持ちで分析力が高く、興味深い本に仕上がっています。

転職したい人、採用側としてカジュアル面談を開催したい人など、より良い採用について興味ある人は、立場を超えて全員が読むべき本だなーというのが僕の結論です。

この本はカジュアル面談そのものについても良著なのですが、それだけではなく、エンジニアの面接について応用範囲の広い本となっています。

カジュアル面談とは

もともと2013年頃から生じた概念のようで、最近になって件数も増えてきたものです。

読んで字のごとく、カジュアルに面談を行うもので、会社及び求職者の情報交換の場です。

この本でも解説されていますが、営業で言うところの「リード」を生み出して育成するプロセスです。この場合、自社のプロダクトが商材です。採用活動を行っていると、自分たちの会社ってあまり知られてないなー?と思うことありませんか?カジュアル面談はまさに自社のプロダクトという商材を知ってもらうためにあります。

また、求職者としても、日本に数多ある(大企業と呼ばれる会社で1万、中小で400万社あるんだとか)会社の中で、どの会社が自分にマッチングするか?というのは、中々に難しい問題です。

合わない会社に就職することは、不幸を生み出しがちです。

カジュアル面談で、会社及びプロダクトについて知り、自分の情報についても知ってもらうことで、相性の悪さを、面接に進む前に弾くことができるというのは、大きなメリットです。

ちなみに「面談」であって「面接」ではありません。採用側が合否を出すための場ではないことに注意しましょう。

直感は大切

著者の川原さんご本人や寄稿者の方が言及しているワードが一つあります。「直感」です。

採用側にせよ、求職者側にせよ、ある程度の情報を交換していると直感が働くものです。

そして、そういった直感というものは馬鹿にできるものではありません。これは僕の経験上でもまったくもって同意見です。

カジュアル面談という、双方にとってハードルが低いプロセスを用いることで、この直感で、相性の悪さをフィルタリングできるのです。

カジュアル面談はコストが低いのか?

書類選考を経ていないため、無駄になる可能性はあります。ですが、面接でよく言われる「自分たちの会社のファンになってもらう」という活動だと思えばいいでしょう。その人の知り合いが釣れるかもしれません。

場合によっては冷やかしのような人が来る可能性もないとは言えません。

採用側から見れば時間はコストです。必ずしもその人が応募してくれるとも限りませんし、自分たちの求めている人物像にマッチするかもわかりません。

ですが、組織の拡大、採用をしていくのならば、何かしら活動しなければならないことには変わりません。

カジュアル面談というプロセスを使わない場合でも、結局応募してもらわないことには、話は始まりません。

まずは自社およびプロダクトに、ほんの少しでも興味を持ってもらう必要があります。リードを生み出し育てる必要あるのです。

様々な意見があるかもしれませんが、僕はこの本を読んで、カジュアル面談はアリだなと思いました。

この本の良いところ

この本は、採用に関してノウハウが固まってないようなスタートアップや、採用活動が硬直化している大会社にとって、カジュアル面談というプロセスを使う・使わないを抜きにしても、良い示唆を与えてくれます。

求職者にとっても、オンライン時代のいま必要なこと、心構え、求職活動にとって大切なことが書かれています。

お互いが不幸にならないための本であり、採用活動をより良く、スムーズにしてくれる本だとなというのが僕の感想です。

カジュアル面談に興味のある人も、ない人もぜひ読んでみてもらいたい一冊でした。

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