終わりの季節、始まりの季節――子供部屋の手記

作家ワナビとして振り返る――自家中毒と自己模倣と無計画の一年

 この度、カクヨムで連載していた小説「トプカプ戦記」の連載になんとかエンドマークを打つことが出来、同時にOVL文庫で二次予選落ちした小説「少女環状線」の公開分もそろそろエンドマークまで近づいている。

 正直言って現役編集者のお悩み相談でネット連載を勧められて、とある短編賞の没作を使いまわした「トプカプ戦記」は自分では初めての20万文字超えの小説となったが、僕の脳内プロットに対して執筆速度や細かい作劇ややる気がついてこず、評価も実績もついてこない、空回りばかりで、中身も他作のアイディアぶっこ抜きや継ぎはぎの多い微妙な作品となってしまった。
 それでも熱心な読者さんが出来たり、小説連載の計画を立てる重要さと僕自身の文章の欠点(あっちこっち見せようとしてバトル長くなりすぎ、拘りすぎ、うまい文章や描写の出力に時間をかけすぎ)を何かと意識させられた一作だった。

「少女環状線」はこれまたエンタメにおける自分の欠陥――バトルが長いわりに動きが少ない。得意だからと言って心情描写を織り交ぜすぎて冗長。キャラ分けこそ出来ているが、キャラ立ちが良い意味でも悪い意味でも微妙。社会性に振りすぎた――という欠陥を教えてくれた作品だった。
 正直二度ほどブラッシュアップを重ねて結構自信があった作品だったので二次落ちは少し残念ではあったが、一方で考えればまあ仕方ないかなと納得もできる結果だった。

 電撃大賞を一次落ちした路面電車百合モノも実際はかなりボロボロなものを無理やり組み上げたような作品だった。
 あれは正直箸にも棒にもかからない方がおかしい一作だと思う。
 僕の売りであるモノと百合要素と社会性を詰め込んだ結果、自己模倣と自家中毒に陥っていた作品だった。

 情景描写と心理描写の精緻は一応自分の売りの一つだし、「うみまち鉄道運行記」は僕の作品の中では一番熱の籠った作品なのだが、そればかりの自己模倣と自家中毒に陥るのもいけない。というのが、振り返ってよく分かった一年だった。

 細かいプロットや企画応募に関しても結果は出ずじまいで終わっている。
 こっちに関しては山もオチもなかったり、自分のアンテナの低さゆえに今の流行ブッチしてたり、面白く見せられなかったりというのも大きいと思う。

 インプットも総量はだらだらとしたアウトプットとSNSや愚痴の書き込みに時間をひたすら費やしていたせいで正直微妙という次第だ。
 しかも資料本ばかりで小説はそこまで読めていない。
 アニメや漫画、ゲームに関しては葬送のフリーレン(珍しく単行本で追っていた)やブルーアーカイブという一つの『流行の解』を見つけられたものの、それ以外はボロボロだ。

就職を目指しての一年――就活戦線惨敗中

 翻って下半期から始まった本格的な就職活動に関してだが、こっちもズタボロのボロ。受ける会社受ける会社書類委選考落ちで、たまに面接まで進んだり初手面接だったりしても、結局ダメという状況が続いている。
 兼業作家をやっていきたいという想いが面接官に悪い風に伝わってしまっているのではないかとか、職歴の真っ白さ(なんせ就職失敗、作家としては年一冊出るか出ないかの超絶寡作。バイト経験は大学時代だけなのだから)とか、僕自身が素直すぎる(人を傷つけない優しい嘘を咄嗟につくのが苦手)とか……理由はいっぱいあったりする。

 2024年問題なんて言葉が出るくらい人手不足職があるのに、発達障害の併発とかいう難儀な脳ではその人手不足職に就けもしないし、就ける仕事は倍率過多なのだ。

 この先どうやっていくか。結果待ちの応募を待ちつつ相談員の人と話しながら、早く就職できれば良いな(ついでに就職後にできるもんなら社労士さんに頼んで障害基礎年金をもらえれば良いな)ということを考えていたりするのである。

始まりの季節――今年残り一カ月、そして来年どうしていくものか

 現状僕の今年のアウトプット計画はほとんど終わりを迎え、12月はインプットと来年に向けたプロット組みに充てる予定となっている。

 ネット連載はしばらくはお預けとする。
「デイブレイク・チェイサー」のようにカクヨムで書きたい物語も幾つかあるが、もう暫くは連載はこりごりだという気持ちもあるし、書くにしてもストックや調査を重ねなければいけない。
 それに加えて、たぶん反応が散々すぎてまたげんなりしそうなのもあるからだ。

「トプカプ戦記」で自分は作風的にもキャラクタ作り的にも体質的にもつくづくWeb連載には向かない気がすると思ったし、次に出すのはたぶんカクヨム大賞か本当に思い立った時だろう。

 しばらくは新人賞応募のプロットや下地作りに専念して、年明けーー1月半ばあたりから本格的に書き始め、春の賞にとりあえず一つを応募しようと思っている。
 正直冬場の執筆は冬鬱を併発するし、今年の初旬に電撃大賞向けの作品で冬鬱に加えて話が書けなさ過ぎて常に死ぬ死ぬ言ってたのを鮮明に覚えているのであんまり気乗りはしないが、「トプカプ戦記」に時間をかけすぎたり、プロット組みや下地づくりをサボってきたのが原因で今進んでないのだから仕方がない。

 出来れば次の季節に書いた物語はぜひ新人賞を通って、新生・伊佐良シヅキの作品として読者の皆さまの目に留まってくれればと思い、今僕は資料を読みつつプロットとキャラクタと設定を組み立て、キャラ絵を描いている。

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