TAKABUN Interview
2023年8月10日、12日に仙台SHAFTにて行われたパーティー「odd flocks/148」。仙台のクラブカルチャーを次世代につなげるべく行われた本企画の試み、人のつながりをアーカイブスとして残すとともに、クラブビギナーやユースたちにとってのガイドブックを作成することを目的として、本インタビューシリーズは立ち上げられた。今回は仙台にて長年DJ
として活躍するTAKABUN(以下、Tと略記する)にお話を伺った。
(インタビュー日:2023/10/5 インタビュアー:N.Yuhei 文:Morizo)
―DJを始めたのはいつですか?―
T :「高校2年の冬に機材を買ってスタートしました。1996、97年あたりだったと思います。DJ歴は25年くらいになります。」
―いろんなライフイベントもある中で、25年続けるのは、純粋にすごいなと感じます。―
T :「長くDJを続けている方はプロの方が多いので、私のように趣味で25年やっている人は珍しいと感じますね。」
―それでも25年続けてきたのは愛ですかね―
T :「LOVEですね。」
―クラブに行き始めたのはいつですか?―
T :「もともと中学のときから日本語ラップを聞いていました。
特に洋楽コンピシリーズのMAXやNOWなどに収録されたUS/UK、TOP40が好きで聞いていて、中1の入学祝いで買ってもらったパナソニックのカセットウォークマンにマイベストを録音していました。DJはその延長だったかもしれないです。
クラブに初めて行ったのは、仙台の文化横丁にあったDepthというキャパ50人程度の小箱でした。今みたいにライティング設備も少なく暗かったので、めちゃめちゃ怖かった。いる人がみんな怖い人に見えました。」
―初めて行ったのはどんなパーティーでしたか?―
T:「箱自体がヒップホップの箱だったので、ヒップホップのパーティーでした。その当時はハウスやテクノというジャンルには殆ど触れていませんでした。」
―当時、クラブの情報はどうやってキャッチしていましたか?
T :「97年当時は全部紙媒体で情報を集めていました。仙台のタウン情報誌にクラブやイベントのスケジュール情報が載っていてクラブスナップやレポもありました。昼のパーティーもありました。」
―90年代にクラブが盛り上がっていたという話は聞きますが、雑誌などを通じて自然とクラブの情報が入ってくるような状況だと、確かに盛り上がるなと感じました。
―
T :「ヒップホップだけの話でいうと、90年~2000年代はめちゃめちゃ人が入っていました。東京からゲストが来るときはオープン前から何10人も箱の前で並ぶような光景や、フロアの最前列でゲストが始まるまで待機するなどのこともありましたね。
私が若いころに出演していたイベントは300人くらい入ったこともありました。酸欠で倒れた人もいたくらいでした。
シーンの盛り上がりに加えて情報量が少ないために、ちょっとしたイベントでも沢山人が集まっていました。今みたいにサブスクが無いので、リリース量は今に比べると少なかったが、全部情報を取りに行かなければという意識があった。その分ヒップホップのパーティーで同じ曲が2回、3回かかることもありましたね。
個人的な感覚では2010年前後くらいから、ヒップホップについては少し熱が落ち着いた気がしていますが、最近若い世代の盛り上がりを見ると、当時のことを思い出しますね。」
―SHAFTで開催されたゲストJUMADIBA(98年生まれ、東京にて活躍するMC)のパーティーや、7月のRETREAT(仙台SHAFTにて開催されているヒップホップ主体のパーティ)の際も、かなり若いお客さんが集まっていたと聞きますが、若い人の盛り上がりはもっと伸びていきそうだと感じました。
T:「以前とはアプローチの仕方が違うと思いますが、元気なフォロワーが増えてきたと感じます。JUMADIVAのパーティーの際にも9時の時点で若者が集まっていましたね。
この盛り上がりの流れは2、3年前くらいから来ていました。
近年の『THE HOPE』、『POP YOURS』のような大型フェスの開催を見ても、以前に比べてヒップホップのフォロワーが増えたと感じています。」
―DJキャリアの中で、転機になった出来事はありますか?―
T :「第一の転機がタンテを買ってラップグループを結成したときです。
高校の時にラップグループを作って、ストイックに活動していました。ライブ以外にDJもさせてもらっていましたが、鳴かず飛ばずで長くは続かないと思っていました。そんな中でラップトップを買ったことで第二の転機が訪れました。ラップトップでDJができるソフト『SERATO』の登場によりジャンルの幅も広がり、DJが楽しくなりました。それがなかったらやめていた可能性も大きかったと思っています。」
―TAKABUNさんはどんなジャンルでもかけられるDJだという印象がありますが、それにはラップトップの登場が大きかったということでしょうか。―
T :「そう思います。DJ CASINさんが、アナログで日本語ラップのアカペラとドラムンベースをミックスしていて、それに衝撃を受け、自分でもやってみたいと思いました。その矢先2010年頃にSERATOが出ました。次に2011年ごろベースミュージックのムーブメントが始まり、ベースミュージックに食らって、ヒップホップとベースミュージックを両方かけるDJスタイルが固まりました。」
―最近気になるパーティーは?―
T :「若い子のパーティーをSNSでチェックしているとフライヤーがカッコいいですし、パーティーのブランディングが面白いと感じます。
ryuuくんがオーガナイズしている『理由』はいつもアグレッシブなムーブをしていると感じますし、inoccoさんのパーティー『impromptu』も、毎回面白いアクトで熱量を感じます。」
―今後のDJライフの展望を教えてください。―
T:「DJをやり続けるためには、有益な情報を常にキャッチし続けなければいけないと感じています。
そのためにはクラブで遊ぶことによって一番得るものが大きいので、現場で体感し続けないといけないと感じています。」
―若い人への思いを聞かせてください―
T:「若い人がこうすべきだということはありません。シーンをつくっているのは若い子ですし、自分も若い子に影響を受けています。今活躍している若い子はコロナ禍で活動を広げた人が多いと感じます。コロナの影響で閉店、休業、DJをやめる人がいましたが、その一方で、新しい世代が入ってきて、現場で鍛え上げられて層が厚くなったと感じています。
お客さんも明らかにコロナ禍よりも戻ってきていますね。
若い子にはクラブあってのDJということに感謝しながら、初期衝動を大切にしてプレイしてもらえたら嬉しいです。」
―最近注目のDJを教えてください―
T:「1つ目に、Ahadadream。 Boiler Roomがめっちゃよかったです。」
あと、バイレファンキが好きで、Dj Kingdom。 NTSがよかったです。
ヒップホップは曲単位では聞くけど、ミックスはあまり聞かないですね。おすすめのミックスが
あれば教えてください。」
―仙台のクラバー向けおすすめフードを教えてください!―
T :「ウキヨバナレ、何食べてもおいしい、良心的な価格。クラブ前に30分、1時間でいくには最高のお店ですね。一閃閣、すしざんまいはクラブ抜け出しで行っちゃいます!」
TAKABUN DJ Mix
助成(公財)仙台市市民文化事業団
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