Life|小さいからこそできる世界観
10月末から11月初めにかけて、鹿児島県東部、大隅半島の東側にある小さな町、大崎町に2度、計5日間滞在する機会を得た。
黒潮海流が大隅半島から高知へと潮が流れる海の道で、ぽっかり懐を開けて迎えるのが志布志湾で、穏やかな海で風待ち、潮待ちにちょうどいい場所だったのでしょう、湾の沿岸には1500年以上前、この地を治めた豪族を祀った大きな古墳がいくつもあります。ちなみに、大崎町には、九州で2番目に大きな前方後円墳、横瀬古墳があります。
おそらく、大陸と海で繋がっていたであろうこの湾は、薩摩(鹿児島)を治めた島津藩も要所と見据えていたようで、薩摩藩の財政の屋台骨を担っていたという説もあるそうです。
大崎町は、平成の市町村合併の最中で旧志布志町、有明町、松山町との合併の計画がありましたが、2004年5月16日に行われた住民投票の結果、単独が4616票、合併が4597票というわずか19票差で合併計画から離脱することになりました。
大崎町は、高額な建設費用がかかる焼却炉の建設をやめ、27品目のゴミに分別することでゴミを資源にし、焼却炉の建設費用を浮かせたばかりか、資源を売ることで益金を上げるまでになりました。リサイクル率は80%を超え、12年連続で日本一だといいます。
生ゴミは発酵させて堆肥化し、田畑にかえし、そこから生まれた農作物、畜産物をふるさと納税の返礼品に当て、税金だけでは賄えない分を確保しながら、若い人材のUターンを推進する奨学金制度を設立するなど、未来に投資する螺旋状の循環型経済を作ろうとしています。
ふるさと納税を、マーケティングではなく、本来の支援という意味でのクラウドファンディングのように使いながら、小さいながらも個性的な町作りをしているのです。
合併によって大きな自治体になるメリットと単独で小さいまま続けるメリットをどう評価するかは分かれると思うのですが、今回、大崎町の「サーキュラーヴィレッジ大崎町」というビジョンを掲げて、町内でのエコサイクルシステムを構築させているのを見て、「小さいからこそできる世界観」というものがあると強く感じました。
ホントは、小さくても大きくてもどっちでもいい
この「小さいからこそできる世界観」は、たとえばBASEのようなD to Cプラットフォームだったり、noteのようなクリエイターのプラットフォーム、もっといえばYouTuberというスターを生んだYouTubeなども、小さく始められる活動を支援するものですよね。
こういったプラットフォームができたことで、数の勝負から個性の勝負へと移行がすでに始まっているわけで、あえて大きくならず小さいまま、強く個性的でいるからこそできる価値観も生まれてくるわけです。
もちろん、大きくいからこそできる世界観ももちろんあると思うのですが、そうすると「たくさん売る」必要が出てきて、世界観が既存のものに均一化してしまい、あまり価値の差が出なくなるのも事実です。
携帯会社なんかもそうですよね。昔は、それぞれのサービス内容によって会社を選んでいましたが、今はほぼサービス内容が一緒で、価格競争とメディア戦略で選んでいるような状況になってきています。
携帯電話の市場が大きくなりすぎていることもあると思うのですが、この先、技術進歩はあると思いいますが、個性で選ぶような分野には戻ることはないのでしょうか。もちろん、大きいことで黎明期とは桁違いの利益が出ているとは思いますが。
大きい方がいい、小さい方がいい。その答えを出すのはそもそも無理なことで、あまり意味のないことだと思います。それよりも、自分はどちらの価値観、世界観を好むのかを知っていること必要なのではないかと思います。
僕は、やっぱり「小さいからこそできる世界観」が、インディーズ感があって好きだなぁ。
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明日は「Art」です。
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