note|小早川 胡桃さんのnoteを読んだ
毎週土曜日に更新しているマガジン「note」では、1週間で読んだnoteのなかから心に残ったものを紹介しています。今日は、小早川 胡桃さんの「ショートストーリー イカスミパスタ」です。
浮遊感のある場面設定が心地よい
すごい方に出会ってしまった。そんな感じです。
料理写真もイラストもない。言葉だけで、食卓を描く豊かな表現。それだけで驚きなのに、そんなショートストーリーを毎日書かれているんです。
書き続けられたショートエッセイに何度も出てくる「私」は小早川さんなのか、架空の存在なのか、創作なのか、リアルな生活なのか、あいまいで、行ったり来たりするような舞台設定はとても魅力的です。
この現実なのか架空なのか、グラデーションな世界から、僕はフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》を思い出します。
この少女は、実在する人なのか、フェルメールは、だれか具体的なモデルを用いたのか、それとも架空の人物なのか。ターバンや大きな耳飾り、黄味がかった衣装は当時としてはオリエンタルな装いで、絵のなかからこの少女がどんな人物なのかは情報がすくなく伝わってこない。
フェルメールが懇意にしていた少女なのか、顔の形だけを借用して、ターバンや真珠の耳飾りなどを自由につけて、架空の少女を作り出したのか。
その浮遊感のある少女の存在は、小早川さんの食の風景の設定に、どこか通じるものがあるように思います。
毎日読むのが楽しみなクリエイターさん。そう、これぞ創作!とすごく気持ちのいいひと時を楽しませていただきました。
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明日は、1週間のClubhouseでお話したnoteのまとめになります。
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