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ISLAND アニメ記念版

魂のこもったSFの傑作。でも正直、人を選ぶ作品ではあると思う。緻密なSFを求める読者ではなく、ロマンチスト向けの作品。――これは、“せつなとえいえんのおとぎばなし”である。
SF、しかも時間が関係してくる系列となると、考察的な側面が大きくなる作品がほとんどです。
ですがこの作品の場合、考察という意味ではそこまで深い場所まで行くことはできません。というのも、明かされていない部分が多すぎて考察というよりも妄想の域に至ってしまうからです。
なので、緻密なSFと考察を求める読者にはあまり合わないかもしれない。
けれどもこれを一つの「物語」と捉えることのできる人ならば、これは名作を上回る傑作になり得るでしょう。そういう意味では、従来のSF好きではなく、ロマンチックな物語が好きな人にこそ読んで欲しい物語です。
“せつなとえいえんのおとぎばなし”とはそういうことですね。

アニメ化前の駆け込みでプレイしましたが、どんでん返しの連続や感情面での振れ幅などが非常に大きな作品、という印象でした。
基本的には開示された情報は何一つ信用できないので、先を読みつつもジェットコースター感を味わいつつキャラ萌えするのが、この作品の全てを楽しむコツなのではないでしょうか。
伏線面に関してはほとんどがきっちりと回収されているので、安心して読むことができます。
個人的にはロマンチックなお話が大好きなので、同じSF系の名作であるシュタゲやクロスチャンネルよりも好きなほどです。私はたまたま波長が合ったのか、異様に感情移入してしまって読後の反動がヤバかったです。
全て読了した後は、一週間ほど立ち直れませんでした……

ちなみに設定面では、同じごぉさんが書いた「ひまわり」や、「SILENTWORLD」も合わせて読んでおくとより楽しめること請け合いです。SILENTWORLDを介してISLANDとひまわりが結びついている、という構図ですね。
SILENTWORLDは電子書籍版が出ているので、ISLANDの余韻の中で読んでおくことをオススメします。こちらも紛れもない名作です。セツナらしき人物も出てきますし。





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