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大河ドラマ『光る君へ』を100倍楽しく見るために

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大河ドラマ『光る君へ』は平安時代中期を舞台としています。日本史の授業で習ったあの頃の歴史や文学について、もっとくわしく丁寧に知ることで、ドラマもより楽しめるのではないでしょうか。…
このマガジンは、毎週1~2本記事を更新します。平安時代の歴史や、『源氏物語』などの文学について、今…
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#読書感想文

■歴史は勝者が描く―『藤原公任 天下無双の歌人』

2024年の大河ドラマ『光る君へ』。 1月7日に初回放送も始まり、私たちの期待以上の物語が展開されています。それを繰り返し見ながら、来週への期待に胸を膨らませていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 そのなかで「藤原道隆公」をガチ推ししている私。放送開始前、井浦新さんが演じられる道隆公のお写真を見て、パトラッシュと一緒に天に召される勢いで沸き立っておりました。 が、実は、それを上回る高揚感をくださったお写真があったのです。それがこちら。 町田啓太さん演じる「藤原公任

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■1000年前のラグジュアリーを最新の研究から学ぶ―『紫式部と王朝文化のモノを読み解く』

大河ドラマ『光る君へ』は平安時代中期の物語です。年代で言えば、西暦1000年前後。今から約1000年前の時間を舞台にしています。 もちろん、同じく「日本」という国で暮らしていますから、1000年前と言えど、共感できるところ、身近に感じるところもたくさんあると思います。たとえば、春の桜を愛でる気持ち、あるいは、新年を迎える新鮮さ。そういったものは今も昔も変わりません。 ですが、やはり1000年の時間の隔たりは大きいと感じるところもあるのです。それは、衣食住など文化の具体的な

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■歴史上の人物の日常を垣間見る―藤原道長『御堂関白記』について

今年の大河ドラマ『光る君へ』は、『源氏物語』の作者である紫式部が主人公です。彼女は平安中期、今からちょうど1000年ほど前の時代に生きていまいた。 その時期、最も大きな権勢を誇っていたのは藤原道長です。彼は、四人の娘を天皇の后として入内させ、彼女たちの生んだ皇子たちの外祖父として長く政権を維持しました。現代の教科書で言うところの「摂関政治」ですね。 私たちは学生時分に日本史でこれらのことを学びます。ですが、これ以上のことは知らないんですよね、実は。 紫式部の本名とか(と

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■400年の歴史を支え続けた32人の天皇たち―『平安時代天皇列伝 桓武天皇から安徳天皇まで』

今年の大河ドラマ『光る君へ』は、平安時代中期の摂関政治が全力で領域展開していた時期を舞台としています。 実は、ワタクシ、某国立大学の大学院博士課程後期課程に在籍していた時分に『大鏡』という歴史物語の研究をしていました。 『大鏡』は平安時代後期(院政期)に成立した作品で、藤原道長の栄華の在り様を余すところなく描き出すことを至上命令としています。 『大鏡』については、こちらの記事にくわしく書いていますので、よろしければご参照ください。 さて、その『大鏡』は、文徳天皇から後

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■『紫式部日記』を読むならここから①―『紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』』

来年の大河ドラマは平安時代中期、摂関政治が最盛期を迎えた時代を舞台とする『光る君へ』。主人公は、吉高由里子さん演じる紫式部です。 紫式部が著したもので最も有名なのは『源氏物語』です。しかし、彼女が残した書物はほかにもあります。それが『紫式部日記』『紫式部集』です。 『紫式部日記』は、紫式部の仕えた中宮彰子が敦成親王を出産したとき(寛弘五年)の記録を中心に、中宮に仕える女房たちについてや仕事における感懐などを、寛弘七(1010)年にまとめたものです。 この『紫式部日記』が

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■春の桜を愛でる気持ちはどこからやってきたのか―『100分de名著 古今和歌集』

国語の記事を書くようになって、改めて感じたことがあります。それは「義務教育で教えられる内容の濃さ」です。 たとえば。 今回話題に取り上げる『古今和歌集』。かなり多くの人が、これが平安時代の和歌集であることを知っています。また、 『古今和歌集』に収められている二首です。そのどちらの歌にせよ、歌そのものや歌の意味するところを、多くの人が何となくは知っています。 それって、とてもすばらしいことだと思うのです。 この二つの歌も『古今和歌集』も、どちらもおそらく、教科書に載っ

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■「史実」と「説話」の間にあるものに目を向ける―『敗者たちの平安王朝【皇位継承の闇】』

来年の大河ドラマ『光る君へ』は、摂関政治が最盛期を迎えた平安時代中期が舞台です。初回放送日も決まり、SNS界隈でも少しずつ盛り上がりを見せています。 しかし、「平安時代」の文化や風習、歴史に馴染みのない方も少なくないでしょう。私自身、院生の頃はそのあたりの時代を専門に研究していましたが、知識そのものはそこで止まってしまっています。同じように、学生時代に習った内容が何となく記憶に残っている(気がする)、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そのあたりを踏まえ、現在、

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【読書note】「藤原氏のはじまり」の奈良時代・平安時代を楽しみ尽くす―『図説 藤原氏』

10月に関ケ原で大きなお祭りがありました。我が最愛の推しさまである、名古屋おもてなし武将隊の織田信長さまが、そのお祭りへご出陣でしたので、不肖ワタクシもいそいそとお出かけしたのです。 当日はたくさんのブースの出店があり、ひとりであちこちひやかしながら歩き回りました。なるべく散財せぬようにと自戒しつつ動いたので、さほど大きなお買い物はしなかったのです。 が、どうしても欲しくて、我慢できず購入したのがこちら。 関ヶ原の戦い時分には亡くなってから20年ほど経っていた「織田信長

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