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「センス・オブ・ワンダー」を感じるとき、私はカメラのシャッターを切る

この1年とちょっと自宅にいることがとても増えた。もちろんその理由は言わずともがなだけど、とにかく家にいることが増えた。そして私も写真を撮る頻度がガクッと減った。私の作品をご存知の方は察していただけると思いますが、「緑の中で自然光が綺麗な作品」が私の撮る写真なので、いまの外へ出辛い環境だと気持ち的にも遠慮してしまうことがあったりする。

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この気持ちは去年のこの騒ぎが始まった3月頃からいまもあまり変わらず、緊急事態宣言が繰り返されるたびに「あぁまたかぁ」となるのだけど、ひとつだけ自分を振り返ることができて良かったなぁと思うことがある。

ちょうど1年くらい前、ステイホームが続くなかでSNSでは本を紹介するブームが起きていた。twitter、instagram、facebookと垣根なく行われたおかげで世代や職種、環境など関係なくいろんな人の好きな本を知ることができておもしろかった。そんなとき、私の好きな写真家さんたち何人もが挙げていた本があった。レイチェル・カーソンが書いた「センス・オブ​・ワンダー」。「沈黙の春」を書いた作家と聞けばわかる人もいるかもしれない。

とても薄い本でどちらかというと子供向けで難しいことも書いていないその本は、みんなから「写真を撮る上で大事にしていることが詰まっている」と言われていた。その投稿をいくつも見てびっくりした。私も同じ思いだったから。「センス・オブ・ワンダー」とは「神秘さや不思議さに目を見はる感性」。自然と触れ合って生まれる感性のこと。それは私がシャッターを押す瞬間と一緒で「センス・オブ・ワンダー」を感じた瞬間を写真に収めているんだと言語化してくれた本だった。

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家にこもる日々が続くなかで、それに気づかせてくれたこと、そして写真家の友人たちと一緒にその気持ちを忘れないようにしようねと励ましあったことはとてもありがたい機会だった。

ただ、そうは言ってもなかなか外には出れないし、「センス・オブ・ワンダー」を感じにくくなっている世の中になってしまったなぁとは思っていて、それを自分自身に対しても世の中に向けても何かちゃんと取り組みたいなぁとは思っていた。そして思えば叶うもので、今年の初めくらいにあるお仕事のご依頼がきた。

「銀河高原ビールのアンバサダーに興味はない?ビールと一緒に写真を撮る取り組みだよ」

もともとお酒のなかではビールが大好きで完全に個人的な趣味でまじか!やった!と二つ返事でお受けしたのですが、これがもう運命の出会いだったのではと思うくらいのお仕事だったのだ。

銀河高原ビールのイメージといえば自然に寄り添ったビールというイメージ。HPのブランドコンセプトにはこんな風に書かれている。

人間の感性を豊かにするビール。
都会にいても、自然との繋がりを感じながら生きる。
銀河高原ビールは、酵母が含まれた、自然そのままの何も取り除かないビールです。
喉を通るたびに、からだと自然が一体になり、忘れていた人間本来の感性を呼び覚ます。
このビールは、そんな瞬間を創り出します。

なんだか私の写真の作品に似ているな……と親近感が増していくばかりだったのですが、はじめて銀河高原ビールの方たちとお話したときに「やっぱり!」ともう頷きが止まらなかった。なんとぜひ参考にして欲しいと挙げてくださったのが「センス・オブ・ワンダー」の本だったのだ。

これにはびっくりしたのと同時に「やった!」と思った。だって、いつも私が撮り続けている内容そのものだったから。そんな商品に寄り添って私の視点で撮影ができるなんてなんとありがたいお仕事なんだろう。

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2月からはじまった「銀河高原ビールアンバサダー」のお仕事は季節に寄り添いながら撮影を進めている。冬の時期から春、そして梅雨から夏に向けてと日々写真を撮っていて、なかなか遠出はできないものの、近所に大きな公園があってそこで「センス・オブ・ワンダー」はどこにあるんだろうと探しながら銀河高原ビールの缶とともにシャッターを切っている。

そして、ファインダーを覗きながらシャッターを押す瞬間、「あ、これいつも私が撮っていたものだな」と改めて感じた瞬間でもあった。

いつも私の写真を見てくれている方なら察してくれるだろうけど、被写体が銀河高原ビールに変わっただけで撮り方も変わらない。

ただ、こうやって「センス・オブ・ワンダー」を感じる瞬間に私は飢えていたんだと思う。銀河高原ビールの撮影のときは仕事ではあるものの本当に心躍るというか、どんな風にしたら光が綺麗に写るんだろう、どうやったら風を感じてくれるだろうとなどなどいつもと変わらずシャッターを押し続けた。写真を撮る機会が減っていたなかで、銀河高原ビールアンバサダーの仕事は私のフォトグラファーとしての人生を繋ぎ留めてくれたとさえ思う。

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それともうひとつ、学びがあったのが、「センス・オブ・ワンダー」が「綺麗」「美しい」というものだけではないということだ。実は銀河高原ビールアンバサダーは他のメンバーもいて、複数名で写真を撮っている。住んでいる場所も違うし作風も違う。共通していることは「写真を撮っている」「ビールが好き」ということ。1ヶ月に一度meet upとしてオンラインで交流があって、そこでお互いが撮った写真をシェアしたり、銀河高原ビールについて学んだり、どんなものを撮りたいかを相談したりするのだけど、みんなそれぞれ「センス・オブ・ワンダー」とは何かが違って面白いのだ。

自然を感じて「怖い」「寂しい」というのも「センス・オブ・ワンダー」だけど、私はいままでそういうものは写真では撮ってこなかたった。でも、そういうものも感性のひとつでそれを私なりの視点で撮ってみようと思えたのもみんなでアンバサダーの活動ができたおかげでもあると思う。

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最初に書いたように「センス・オブ・ワンダー」を感じられるように自分自身にも世の中に向けても取り組みたいという思いは、銀河高原ビールの撮影を通して発信することができているんじゃないだろうか。

まだまだ気軽に外には出れない環境ではあるものの「シャッターを切る瞬間」を忘れずにいられるのは本当に銀河高原ビールのおかげだと思う。

もう少しでアンバサダーの期間も終わってしまうけど、この経験ができたことで外でなかなか撮影ができない状況でも「なんで写真を撮っているのか」「写真で何を伝えたいのか」をいつでも振り返ることができる大事な体験になったと思う。

いつか銀河高原ビールの人たちやアンバサダーのみんなとも乾杯をしたいなって思う。それまで「センス・オブ・ワンダー」を忘れずにシャッターを押し続けようと思う。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。写真展が続けられるようにサポートしていただけるとありがたいです…!