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パンやお菓子はパーツから作り、料理もしつつ作れるものは自作する人。作るのめんどくさいや…

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パンやお菓子はパーツから作り、料理もしつつ作れるものは自作する人。作るのめんどくさいやつが好き。メタル好き。昔はバックパッカー。死ぬ前に地中海沿岸、主に北アフリカの見てない遺跡を巡る

最近の記事

食パンと通った道

食パンほど汎用性の高いパンはない。食パンは何にだって変身する。トーストひとつとっても、バターやジャムと合わせるだけでなく、ハムやチーズ、目玉焼きをのせたり、クレープのようにシナモンシュガーを振りかけて焼いたり、チョコレートやバナナ、生クリームをのせたり、しらすや納豆をのせたりすることもある。ソーセージに食パンを巻いて焼けば簡単なホットドッグになるし、食パンにチーズや加工肉をのせれば5分でピザトーストが楽しめる。王道のサンドイッチにいたっては、可能性は無限大だ。 幼いころ、隣

    • プリンは固めかやわらかめか

      卵、砂糖、牛乳とシンプルな材料で作るプリンは、仕上がりの好みの幅が最も大きい洋菓子だと思う。固めだったり、やわらかめだったり、トロっとクリーミーだったりと人によって好みが異なる。プッチンプリンしか食べないという友人もいる。誰にでも愛されるお菓子だと思っていたら、大人になって「プリンは無理」という人にも複数会った。やはり奥が深い。 昭和の時代、母が作る手作りのプリンには、蒸した時の上面に必ず固めの層があり、全体に固めで中には「す」が入っていた。それこそプリンだと思っていたし

      • にんじんケーキとキャロットケーキの境界線

        子どものころ、何より憧れていたのは、お母さんが家でケーキを焼くことだった。想像するだけでワクワクドキドキが止まらない。家でケーキを焼く。私が当時持っていた児童書の8割には、お母さんやそれに代わる誰かが主人公におやつを作る場面がある。そのような描写がある本ばかりを選んで買っていた。ドーナツだったりケーキだったりプリンだったり、洋菓子に目がない子どもの心をつかんで離さない。 楽しく作って食べる物語とは違い、現実世界では思い通りにいかない。母はそもそも台所に立つこと自体が好きで

        • 甘酸っぱい青春を回想する

          初めて食べたいちごのタルトは中学1年のころ、同級生の家で女子が集まってアニメ鑑賞会をやったときだ。器用で、絵がうまくて、物事全般が丁寧で、容姿まで端麗な敬子ちゃんが自作のタルトをもってきた。いちごの配置が美しく、中1が作ったとは思えない出来で、小2から自力で苦労しながらお菓子を作っていた私は、その場の女子全員が称賛する中、激しい嫉妬に打ち震えていた。敬子ちゃんのタルトは、タルト生地にカスタードクリームといちごから成るシンプルなものであったが、嫉妬心で荒くれた私の脳は「大丈夫、

        食パンと通った道

          誕生日はショートケーキ

          子どもの誕生日といえばショートケーキ。長子である息子が生まれてから「誕生会をやる年までに、ショートケーキを上手に作れるようにならなければならない」と必死に練習していた。 私が子どもの頃は、ホールケーキといえばバタークリームが一般的で、昭和の商店街に必ずあったケーキもパンも売る店で誕生日ケーキを買ってもらっていた。店の名は「リバティ」でクマの絵の青いロゴがあったような気がする。母は「生バター◯号」とか「バタチョコ●号」とか、大人にしかわからない暗号で注文する。優越感のかたまり

          誕生日はショートケーキ

          郷愁のアップルパイ

          幼いころ、昭和の時代、会社帰りの父がアップルパイを買ってくることがあった。よくあったわけではなく、たまに、忘れたころにドンとホールを買ってきて子どもを沸かせる。母がそれをどう思っていたかはよくわからない。会社員時代は「甘いものなんか嫌いだ」と言っていた怖い父が唯一買ってくるケーキで、これは父にとって特別なものなんだなと子ども心に思っていた。大人になってこのパイを焼くたびに、不二家のアップルパイの箱を開ける瞬間を思い出す。 母もアップルパイには特別の思い入れがある。母が中学か

          郷愁のアップルパイ