CIID Winter School Tokyo レポートService Design - Day1
こんにちは。都内でデザイナーをしているうみのと言います。2/10~2/14でCIID Winter School Tokyo の ServiceDesign のコースに参加してきました。そのレポートをまとめたいと思います。
CIID(Copenhagen Institute of Interaction Design)は2006年にコペンハーゲンで創立されたデザイン教育機関。人とモノだけでなく、技術・コミュニティ・社会・環境などあらゆるものごとが相互に作用する(関わり合う)デザインを考える『北欧型インタラクションデザイン』を提唱し、クリエーティブな発想からソーシャルインパクトを創造しビジネスにつなげていくことを目指しています。
トップ企業から優秀な人材が受講するサマースクールを毎年コペンハーゲンで開催したり、ビジネスの中心で活躍するクリエーティブ人材を多く排出するなど世界からの注目度も高い教育機関です。
https://dentsu-bds.com/news/ciid/
イントロダクション
会場は電通本社のスペースでした。初日受付が終わってオープニングが始まるまでドキドキでした。フルーツやコーヒーが用意されていたのでとりあえず食べます。
さてオープニングが始まると、CIID自体やSDGsの説明がありました。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標のことです。
正直なところ、私はSDGsにあまり馴染みがなく、このような各項目に渡る目標が設定されていることは知りませんでした…。
CIIDでは、このSDGsで掲げられているテーマに沿って授業が作られているそうです。
オープニングの後は、コースごとに写真撮影。その後各クラスに向かいました。
デザインシンキング
クラスに着くと、まずはデザインシンキングについては説明から始まりました。
デザイン思考とは、イノベーションを起こすためのツールでありプロセスです。ツールキットのようなもので自分で適宜変えて使うことができるものです。
イノベーションは、人間の欲求・技術的な実現可能性・事業的な持続可能性が重なるところで起きます。ではこれに当てはまるソリューションはどうやったら生まれるのでしょうか。そんな時に以下のような課題解決手法が役立ちます。
これはダブルダイヤモンドと呼ばれる課題解決手法です。
1. 自由にアイデアを発散させる、広げる
2. 収束させていく、エッセンスを見つける、絞っていく
3. また考えを広げていく、できるだけ多く広く
4. 収束させていく
というように、発散と収束を繰り返す方法です。
デザインシンキングは今どこのフェーズにいるのか認識するのが難しいとされています。普段無意識に分析して考えることに慣れてしまっているので、分析せずに案を出し続けるのが難しいのです。自分が今どこのフェーズにいるのか、発散なの収束なのかを意識して議論の進めることが重要です。
デザインシンキングのマインドセット
次にデザインシンキングのマインドセットの説明がありました。以下のような項目があげられました。
USER-CENTRED
人間中心設計で行う
VISUAL THINKING
可視化する
CO-CREATE
協業する
例:インタビューしたりそれを取り入れるなど
REFRAME
見方を変える、根本的な課題を考える
例:ユーザーがボタンが押せない→ボタンではなく機能が悪いかも・サイトの動線が悪いかも
TEST & ITERATE
繰り返す、使ってもらって改善する
HOLISTIC
全体を見ながら考える
サービスデザインとは
ここからはサービスデザインについての講義です。
サービスは、ユーザーとサービス提供者だけが関わっているわけではありません。ステークホルダーは広範囲になるものがほとんどでしょう。また、サービスは人々の生活に密接に関わるものです。
サービスでは以下の2点が大事です。
・Ecology of interactions over time
・End-to-end experiences
企業側はサービスを個で見ていることがほとんどですが、ユーザーはそういう風には見ていません。企業は営業部門、開発部門など分かれた味方をしがちですが、ユーザーは誰が提供しているかは考えていないでしょう。あくまでタッチポイントの一部という認識です。
タッチポイント
上記で出てきたタッチポイントですが、タッチポイントとはサービスが実際にどう提供されるのか・交差点のようなものです。
例として、トイレットペーパーの折り目が紹介されました。
これをみたとき、ほとんどの人が誰かがクリーニングしてくれたことを理解すると思います。見えないものがわかるということです。お金はかからないけど、これによって誰かがここで仕事してくれたことが分かるというタッチポイントの例です。
サービスは使うその時だけでなく、使うまで(before)や使った後(after)もタッチポイントがあります。
ジャーニーマップ
ジャーニーマップとは一種のツールです。流れとしては、ジャーニーマップを作ってブループリントを作ります。
ジャーニーマップにはタッチポイントを整理していきますが、タッチポイントはサービスによって異なるものなので完全な見本はありません。
また、ジャーニーマップを作る際便宜上時間の経過を区切って表現しますが、時間は継続しているものなので無理にどこかの時間に収める必要はありません。
ジャーニーマップには、ユーザーの感情(Positive・Negative)を表現しますが、これはチャネルによってもユーザーによっても異なるものです。複数のチャネルやユーザーの属性がある場合、別にジャーニーマップを作った方が適切かもしれません(ここら辺の話は後半出てきます)
デザインシンキングはユーザーによって受け取りが異なるものであり、それはとても面白く難しい点だと思いました。
ランチ&ジャーニーマップ作成
ここで同じテーブルのメンバーとランチに行きました。その際に上記までの説明を踏まえて、ランチする上での体験・タッチポイントを考えたり記録しながら行きました。
ランチから帰ってきたら、ランチでの体験を簡易的なジャーニーマップに落とし込むワークを行いました。
本来のサービスであれば、もっと詳細なものになりますが、今回は簡易的なもののため項目も最小限で行いました。
ランチする際の体験を「Before」「During」「After」にわけ、またタッチポイントを「Human」「Physical」「information / Screen-based」の3つの軸で考えて洗い出しました。その後、各タッチポイントでのユーザー(今回は自分)の感情をグラフにしました。
絵を使うことで認識が揃いますし、理解の速度が上がります。ただ、絵を使う場合もタイトルとして簡易な言葉での表現を一緒に書いておくとより良いということでした。
インタビュー
ここでインタビューをすることの重要性の説明がありました。
インタビューすることで・実際に話を聞いてみることで初めてわかることがあります。また、話を聞くことで方向性の変更や自信(今の方向性が合っているか確認できる)につながります。自分のサービスで誰かのためになることが実感できた場合には、プロジェクトの目標となるかもしれません。
ユーザーは誰なのか
ユーザーは顧客だけではありません。例えば、患者向けのサービスの場合、患者の家族やナースや医者にもインタビューをした方がいいでしょう。また、ユーザーではない人(サービスを使わない人)にインタビューすることで、なぜ使わないのかを知ることができるかもしれません。
インタビューする際には、年齢や職業ではなく行動でクラスター化すると良いでしょう。そして、1クラスターにつきだいたい5~6人インタビューすると良いです。クラスターの数が多すぎるときは詳細に落としすぎている可能性があります。最大でも合計25人くらいまでが良いとのことです。
このインタビューは、インスピレーションを求めるために行います。統計的な結果を求めるわけではありません。自分の直感や知識を使っていくが重要です。
当たり前なこともよく見て観察する
自分では当たり前と思って居ることも人からみたら当たり前じゃないことがあります。視野を広げて広い範囲で考えることが重要です。
インタビューは積極的に行う
インタビューでは、相手が言ってることをちゃんと理解して次質問することを考えなければなりません。
こちらの聞きたいことを言わせるのではなく、話したいことを話させるように心がけましょう。相手の言いたいことが全部言い終わるまで待ちましょう。また、ボディランゲージをよく観察することも重要です。ボディランゲージを感じた際には、違った方向からその話題を質問をするのも良いです。
デザインサイコロジーは感覚的なものでアートに近い
これは、経験で身につけていくものだそうです。
インタビューを何回も繰り返しても、フォーカスポイントが明確化しない場合、この方向で合っているのか?と怖くなってしまう時もあるでしょう。また、リサーチにしっかりと時間をかけられない場合も多いです。
インタビューの極意
・どう思う?どうしてこうなの?相手の言葉を引き出す
・質問が思いつかない時はなんで?と聞く
・Yes/noで答えられる質問は質問者の欲しい答えに誘導する可能性があるので、できるだけ避ける
・答えがわかってるつもりでも質問する、自分で決めつけない
・なぜ?どうして?を聞く
・一番悪い体験/一番良い体験はないですか?
・明確に問題点を言わないかもしれないが、話を聞くことで同じ人間としてインスピレーションは受けられるはず
・数字は得なくていい、「なぜ」に繋がるなら意味がある
今回のテーマと実際のインタビュー
ここでこの五日間で向き合うテーマが発表されました。今回のテーマは以下のようなものでした。
Design a service that improves the health and well-being of elderly people in Tokyo.
-東京の高齢者の健康と幸福(well-being)を向上させるサービスを設計する
さっそく外に出てインタビューを行うことになりました。インタビューは4人チームのなかで2人ずつに分かれて行います。4人でインタビューすると相手に対して威圧感を与えてしまう可能性があるので2人で行います。
上記のテーマを元にトピックがいくつかあり、その中からペアと興味深いと思うトピックを選んでインタビューすることになりました。
トピックは以下の5つが上げられていました。
• Relationships
• Mental health
• Physical health
• Mobility
• Food & nutrition
私たちは「Relationships」のテーマを選択することにしました。選んだ理由は高齢者の生活に興味があるというのと、聞きやすそうだから、でした笑
インタビューする際は1人がインタビューをし、もう1人はメモや写真を撮ります。インタビューをする際に、何をしているかをあまり具体的にいう必要はありません。「健康や栄養、生活についてのプロジェクトをやっている」とかでも良いでしょう。あと、学生設定で行うと比較的やりやすいそうです🤣
実際にインタビューに行く前に、ペアとインタビューガイドを作成しました。インタビューガイドは、自分が何を聞きたいか事前に考えておくものです。ガイドと全く同じようにインタビューする必要はありませんが、聞きそびれないためにも事前に作成しておくのが良さそうです。
私のペアは「Relationship」というトピックを選びました。インタビューガイドは以下のようなものを考えました。
インタビュー6人するまで帰れまてんが開始しました。
まずは銀座に行ってみました。1人インタビューに成功し、10分程度お話しました。しかしその後なかなかインタビューすることができず、場所を浅草に移しました。そこから1時間〜1時間半程度かけて5人インタビューしました!!途中心が折れそうになりつつ、なんとか6人インタビューできました。その後ペアをインタビュー内容を軽くまとめて解散になりました。
初日はここまで、帰宅したの21:30ではやくもくたくたでした…
2日目に続きます!
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