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素直さ

素直さには、時間的制約が存在しない。放たれた瞬間、だれかに観測されたが最後、その人間の中には永遠と残ってしまう。たとえその言葉が第三者に向けられたものであれ。そんな観測者のことなどいざ知らず。その熱光線は、並大抵の嘘や悪態ならば優にどこかへ葬り去ってしまうほど強く、冷えて不感症気味な心でも太陽の日差しでまろやかに溶かされるほど温かい。それと同時に、この閃光のようなストラボは、見ていた者の目を見事に眩まし、この周辺の記憶すらも完全に消し飛ばす、そんな危険性をもまた孕んでいる。

史上最も醜く吐き出されたこの無様な一言には、「綺麗に飾られたものの美しさに惚れるのは一時の気の迷いである」ということを証明してもなお余りあるほどの説得力がある。そう、この不格好さには、何にも勝ることのない雄弁なる真実が秘められているのだ。全く説明をせずとも、すべてを知らしめる力がある。その響きで、音で、温度で、波で。ひとりだけではなく、聴いている者すべての人間の心を打つ。ともすると、だいぶ後になって忘れた頃に。時を超えて。その者が気付けるほど熟されるまで、土壌の下で今か今かと片時も目を離さず待っている。そんな素直さが、どこかに植えられてもない種とまたその眠らされた種が、わたしは憎くて堪らないのだ。

どうも〜