見出し画像

「ありがとう福島 また会おう!」いつまでも変わらない 故郷への想いを感じた 2曲のアンコール(2021/10/3 福島・南相馬)


DEAN FUJIOKA さんの Musical Transmute Tour 2021 福島公演について書かせて頂きました。世界で活躍するDeanさんですが、福島県須賀川市が生まれ故郷。私は震災後初めて福島県を訪れましたが 来てみて感じる事がたくさんありました。このnoteを皆様に読んで頂ける機会を得られました事に感謝いたします。4000字と長文ですが最後までお付き合い頂けましたら幸いです。


【ふたつとして同じ Musical Transmute は、ない】

緊急事態宣言解除後の一昨日、熱狂の渦へと観客を巻きこんだ神戸公演を終えたDeanさん。今回は 全く違う種類の温かい雰囲気の中、故郷 福島への想いが溢れたライブが行われました。Musical Transmuteは、何処で体験しても 2つとして同じものはなく、それぞれが唯一無二の宝物だと改めて思いました。

木の香りがする 響きの美しい会場、南相馬市民文化会館「ゆめはっと」の客席は1つおきと贅沢な間隔。A列B列を潰しており 実質C列が先頭。開演まで当日券も販売されていました。私の位置である I(英字のアイ)列(7列)ほぼ中央、(Deanさんとの距離は歩いて10歩くらい)から報告させていただきます。


【思いがけず2曲目からスタンディング】

Deanさんのライブは老若男女楽しめるので、他の方の迷惑にならない範囲では、立ちたい方は立って、座りたい方は座って、踊りたい方は踊って、オーディエンスがそれぞれ自由に楽しめるのが良いところだと思います。

今日は2曲目からオーディエンスが一斉に立ち出すという、今までのスタンディングでは最速という出来事がありました。

実は前方の列にいる複数の先輩ファム友さんから「今日は2曲目から立ちたい」との熱意を開場待ちの時間に聞いていたので、周囲の方の迷惑にならないのであれば協力する心づもりだったのですが、実際は2曲目のイントロが始まった途端に、前列からかなり多くの方々が一斉にドミノのように立ちだして、圧倒されました。知っていたのに鳥肌が立つくらい凄かったです。

Deanさんはその後の曲で笑顔で頷いておられたので、今日はこれで大丈夫そう!?地元の方々が初めてDeanさんのライブに来て驚かれたかもしれませんが、見渡す限りでは6割くらいの方々が2曲目からスタンディングのまま Transmute を楽しんでおられたので、順応性の高さに感動しました。

しかも「ゆめはっと」の客席は傾斜が急で 席の間隔は全て1つおきという贅沢な空間だったので、座って鑑賞される方々にも充分配慮ができたと思われます。その後スタンディング状況は9曲目で8割、Runawayで9割くらいでしたが、じっくり聴く曲は着席するスタイルが継承されました。

何回かMusical Transmuteを体感していると曲順も覚えてきて、次の曲から皆が立つかもとか、一時退場したDeanさんがそろそろ出てくる頃合いだわとか、何となくプログラムのタイミングのようなものが身体に蓄積されて 少し早めの反応ができるので、数多くTransmuteしているファムの皆さんが 場内の雰囲気作りに貢献しているのかなと改めて気づかされた福島公演でした。

コンパクトな会場の中で、全体的には最後まで観客の反応が良く、メリハリの効いたステージだったと思います。Deanさんの思い入れが伝わり、初参加の方々も順応性が高かった事が勝因かもしれません。改めて福島凄いと思いました。

”Runaway”でのDeanさんは、神戸ほどではないですが少し溜めた後で「また会おう、福島で」の言葉に力がこもっていました。


【最初のアンコール】

まず1曲目のアンコールは あの特別な曲。福島公演ではピンスポットの下で、DeanさんがYAMAHAのアコースティックギター1本で 弾き語りするスタイル。最初わずかに聞こえていた手拍子はいつの間にか静かになっていました。

Deanさんは何も言わなかったけれど、求められた「間」が確かにあって、 神戸に引き続き、LaLaLa…を4小節、戸惑いながらも口元5センチくらいで小さく合唱するオーディエンス。

Deanさんは ギターがあるからちょっと体勢が斜めだけど、頭をぺこりと下げて「ありがとう」と一言。その一言の「ありがとう」に とろけるオーディエンス。なんだかとても温かい雰囲気になりながら、ジャカ ジャカ ジャカ ジャカとDeanさんがアコギをかき鳴らしてその特別な曲は終わりました。


【そして特別なアンコール ”Fukushima” 】

鳴り止まない拍手の中 Deanさんはこう切り出しました。

「Musical Transmute Tour 2021 福島公演、皆さん今日はお越し頂いて本当に、本当にありがとうございます(拍手)。皆さんどうでしたか?(拍手)色々と新しい試みを楽しんで頂けましたでしょうか(拍手)。ありがとうございます(拍手)。

本来であればここでおしまいなんですけど、最後にもう1曲だけ(拍手と控えめな歓声)。皆さんご存知の通りここ福島は、私の生まれ故郷、ふるさとです(拍手と控えめなどよめき)。ありがとうございます(拍手)。

M78星雲で生まれました(笑いと拍手)。これは福島の人ならわかるよね(笑いと拍手)。はい、そんな ふるさとを思って作ったこの曲を聴いて下さい」(拍手)


ここで アコギを ストラトタイプのエレキギター” History”に持ち替えて「”Fukushima”」とタイトルをひと言。

スポットライトに照らされたDeanさんひとりで、”Fukushima”の演奏が始まりました。家の中で弾くみたいに、コード進行をボローンと進めるシンプルな弾き方が 心に沁みます。

夕日のようなオレンジ色の照明が加わって、ギターのストロークがノスタルジックにリズムを刻むなか、Deanさんの優しい声が 会場に響き渡ります。さっきここへ来るまでに見てきた 黄金色の稲穂が揺れる光景や、震災後いまだに癒えない傷ついた情景も思い起こされました。

CDよりも ずっとゆっくりしたテンポで 噛み締めるように歌いあげるDeanさん。目を閉じて歌っている事も多かったです。ふるさとの情景を瞼に思い描いていたのかもしれません。

「未来へと吹く風に 思い出す嗚呼 ふるさと」の4小節はアカペラで。そして続く最後の歌詞「頬を撫でて」を丁寧に ギターのストロークでまとめ上げて、とても情緒的な ”Fukushima” の演奏は終わりました。

曲が終わると さざ波のような拍手が次第に大きくなって、会場いっぱいに広がりました。

片手を振り、両手を振り、最後両手を握りしめて頭上に挙げ、感慨深げな表情で拍手に応えるDeanさん。

そして最後に「ありがとう福島、また会おう!」と笑顔でひと言。


緞帳が完全に閉まってから、また新たな拍手が沸き起こったのは、福島が初めてでした。

その鳴り止まない拍手に込められた気持ちは、きっと緞帳の向こう側のDeanさんにも届いた事でしょう。お互いに感謝の気持ちを交換できた、そんな温かい余韻のあるステージでした。

Musical Transmute、それぞれ違うラストシーンには いつも胸が熱くなります…。


【福島での「初めて」】

①アンコール2曲

②"Fukushima"を弾き語りで演奏

③緞帳が閉まってからの新たな拍手


【福島公演データ】

2021年10月3日(日) 晴れ

最高気温 27.2℃  最低気温 14.5℃

南相馬市民文化会館 ゆめはっと 大ホール(定員1109人)

座席は1つおき

開演 17:35

終演 19:26 (規制退場あり。2階席から順次後方より退場)

髭なし。爪ピカピカ。(爪に透明マニキュア塗っていたとの情報あり)


【Deanさん語録(メモできた範囲で)】

「ただいま、福島。やっと会えたな」

「最後まで盛り上がっていこうぜ」

「今日も最後まで楽しんで行こうぜ」

「準備はいいか、福島」

「Let’s go!」

「ありがとう、福島」

「また会おう、福島で」

「福島ーっ!」

「ありがとう」

「Musical Transmute Tour 2021 福島公演、皆さん今日はお越し頂いて本当に、本当にありがとうございます。皆さんどうでしたか?色々と新しい試みを楽しんで頂けましたでしょうか。ありがとうございます。本来であればここでおしまいなんですけど、最後にもう1曲だけ。皆さんご存知の通りここ福島は、私の生まれ故郷、ふるさとです。ありがとうございます。M78星雲で生まれました(注)。これは福島の人ならわかるよね。はい、そんな ふるさとを思って作ったこの曲を聴いて下さい」

「ありがとう福島、また会おう」

(注)「M78星雲で生まれました」の意味

M78星雲はウルトラマンの故郷。Deanさんの生まれた福島県須賀川市は円谷英二監督の故郷であった事から。


【追記:故郷 福島への想い】

まず、福島県南相馬市でライブをやると知った時は、Deanさんの故郷福島に貢献したいという強い想いを感じました。

今年で震災から10年経ちましたが、まだまだ復興途上にある福島。

私は今回 震災後初めて福島を訪れて、思ったよりも まだまだ自分にもできる事がありそうな気がしました。やっぱり実際に足を運ばないと現実は見えて来ないと感じましたし、これからもアンテナを高くしておきたいと思いました。

Deanさんは10/3の福島公演と10/8のワールド ロボット サミット 福島大会(WRS)という2つの仕事を立て続けに南相馬市内で行いましたが、10/8にご自身の楽曲”Fukushima”のLyric Videoを発表しました。予定外だったのを急遽公開したとのことでした。ふるさと愛を感じました。以上追記いたします。

DEAN FUJIOKA ”Fukushima” Lyric Video

https://youtu.be/E0tKD-1z93c