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わたしはあなたにお会いしたことないのですが。

先日、職場で訪問介護の話になり、横浜で訪問介護をしていたときのことを思い出した。
私の中では、ダントツで強烈な今でも思い出してしまうある一件のお宅。

週に2日の訪問のうち、1日は同僚と週変わりで訪問していたYさん(女性)。
若干の気分の浮き沈みがあるもののしっかりされた方だった。
確か80歳代だったと思う。

職場の先輩である同僚のHさんのことを大変気に入られており、同行訪問で一緒に話しをされていてもそれが伝わってきた。
だが、Hさんにとっては毎週同じ曜日の同じ時間に訪問することが他に代わりに行けるスタッフがいないため負担になっていた。

ということで転勤してきたわたしが。

ということになったらしい。

Yさんは人の好き嫌いがありこだわりも強いため慎重にということに。
そのために1ヶ月以上の同行訪問を繰り返した。

初めて訪問したお宅なのに、大きめでこぎれいなお家なのに何か嫌だと直感的に思った。


大概、直感的にこういう感じがした訪問って後々何かある。

1ヶ月以上同行訪問をしていただき、慎重に関わってきたはずだったが、わたしが一人立ちしてたった2回で私のYさん宅への訪問は中止になった。

何でか?
わからない。今でも。

何となく思うのは週代りでHさんと私が交代で訪問するようになり、Hさんと会える回数が減ったのが不満だったのだと思う。

Yさん宅で行うこと。
状態観察。
ストーマがあるので、便の量やパックの管理。
尿道カテーテルが挿入されていたので、その管理と尿の観察、必要があれば、尿の破棄。
車椅子への移乗の見守りと足浴。など。

トータル1時間30分の訪問。
ゆっくりゆったりとYさんのペースに合わせて行ってきたはずだった。
粗相がないように、ちゃんと教えてもらったとおりにしたはずだったし、する事よりもYさんとの会話が重要な訪問だったと記憶している。

娘さんとの二人暮らしで、訪問すると気を使ってか息抜きか必ず留守だった。
キッチンからリビングに続く部屋に置かれたベッドで一人臥床されていた。

一人で長時間ベッドにいるのってどんな気持ちか。
話し好きのYさんにとってはわたしはつまらない人に映ったかもしれない。
わたしは話しが上手くない。
けど、聞き役はきっとできると思っていた。

わたしは娘さんには一度もお会いしたことがなかった。同行を含めて2ヶ月以上も訪問していたのに。

娘さんからの苦情の連絡があったとHさんから聞いたのは一人立ちして2回目の訪問後まもなくだった。

Hさんから『Yさんのことなんだけど、○○とか○○をしなかったと連絡があったんだけど本当なのですか?』とあり、そんな事実は全くないことと、Hさんに教えていただいたとおりする事はしっかりしてきたと伝えた。
ただ、同行していた時より会話が弾まなかったと言うことも一緒に話した。

その後、上司とHさんがYさん宅に謝罪を含めて訪問に行ったところ、
娘さんに
『人選をちゃんとしてください!!』と
言われてきたとのこと。

聞いた瞬間、悔しいとか以上にびっくりした。

私、娘さんに一度もお会いしたことないんだけど。


一度も会ったことない人をそんな風に言えるもんなんだな。人って。

人を一方向からだけみて判断するのは危険だと教えてもらった例だった。
悔しいとかショックだったとかもあったけど、このことでその後のモノの見方が変わった。

それ、本当?
相手は?
向こうは?

想像力って大事だよ。

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