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村田沙耶香『信仰』を読んで

“信仰”を持たないものはいない。

8つの短編集の1つ

『信仰』


”現実”を信仰する人。カルトに騙された人、騙して金を得たい人。
自分の信じる何かで、自分や他者を救いたい気持ちが、力強く、気持ち悪く描かれている。

ここ数年、どういったカテゴリ分けをしたらいいのか分からないが、日本人作家で、賞を取って、存命の方々が書かれた作品の、後味の悪さについて。私は「今、これを読むべきだったのか」と、思う時間が非常に多く、そして悪い余韻が長い。また、頭の中で世の悪について考え、自己の善について、確信めいた何かを思う。
ほっこり、ライトな感覚が欲しければ、ティーンエイジ向けを読んでおけと言われそうだが、そこすらも、昨今、非常に重い作品を選んでしまっている。現実を突きつけられる重さは、今の時代の流行なのかもしれないと、感じる。
学生の頃に読んだ、乙一や森博嗣、恩田陸に森見登美彦。私は豊かな妄想の世界に住めていたし、今も読書にそれを求めてしまう。

私が読書に求めるこれも、この作品の中では、ある意味『信仰』なのだろう。



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