大タカの王子様と賢者華恵~ミッツィ・ウインの章~
「良い天気だな」と髪をかきあげながら華恵はわらいます。しかし、福は不満そう。
「もう、華恵。僕お腹が減ったよ。なにか食べに行こう❗️」と、ぼやいています。
「あー!そういえばそうか。緊張して気が付かなかった」
「あの小島に行こう。あそこには料亭クラシックと言うレストランがあるのだ。ホンニの世界の料理が揃う一応三ツ星レストランさ!」
「良し、そこに行こう!」髪を切り、服を着替えた華恵はまるで全くの別人のように元気でハツラツとしていました。
お店のドアを開けようとすると、いきなり内側から開き驚きました。黒髪を後ろに流し整えたウエイターが
「いらっしゃいませ。お客様。こちらへどうぞ」と、言って黒い燕尾服に身を包んで中央の席に2人を通しました。店には特にお金持ちそうなマダム達で賑わっています。ピアノ協奏曲が静かな音で流れていました。百合の花がテーブルに飾ってありました。
メニューを開いた華恵は
「何にする?福、私は中華の海老チリにしようと思う」と言うと
「僕は紅茶とソフトクリームでいいや」と、答えました。すると、華恵は嬉しそうに
「あ!コロッケがある。ウインにお土産に買って行ってあげよう」と笑いました。
「エー!面倒くさい。先に進もうよ」と、またぼやく福です。
「まあまあ、考えあっての事です」と、華恵は福の肩をポンボンと叩きました。
そして間もなく、ウエイター は熱々の料理の乗った皿をいくつか運んできてテーブルクロスのうえに並べました。そして
「チップを…」と、言いました。
「ああ、そうか」と、華恵はつぶやき五百円を差し出しました。ウエイターはとてもよろこび
「いつでも、何度でもお声をかけてください」と、言いました。そしてあとから冷たい烏龍茶をサービスに持ってきてくれました、
「とても、美味しい」と、二人は楽しみながらご飯を食べていました。
すると、
そとの廊下の床の部分をモップで一生懸命掃除している一人の少年がいます。丸い眼鏡をかけていて、一応調理師な服をきています。華恵達がジーッと見つめていると、その少年は一人でズルっと滑って転んで尻もちをつきました。華恵達と、目が合うとバツが悪そうに頭を掻いてフン!
「ごめんなすって!」と言ってそっぽを向きました。華恵は元気良く
「ねえ、あなたは清掃員の人?それとも調理師さん?」と、聞きました。少年はムッとして
「当然調理師だ。まだ見習いだけれど。まかないくらいは上手く作るよ。ごめんなすって!」と、膨れました。
「じゃあ、あなたの夢は?」と華恵が聞いてみると少年はパッと明らめて
「もちろん世界中を旅していろいろな料理が出せる料理店を持つことさ❗️でも、現実は月給750円です。ゴメンなすって。」と、しょぼくれました。
「ねえ、もし、良かったら私達の船の調理師になってくれない?私達、今、ホンニ中の海を廻ろうと思っているの!」と、言うと
「え?」と、少年は少し興味を持ったようでした。
「でも、親方が何と言うかなあ?それにまだ見習いだし…」と、小さな声で何か言いながら楽しそうに髪をかきあげました。すると、華恵は
「ウエイター!」と、手を上げて
「総料理長を呼んでください」と、言いました。少年はビックリしたようです。ウエイターも
「お客様、何か粗相でもありましたでしょうか?」と、心配しました。
「いえ、」と華恵が応えるとウエイターは
「ハイ、プリンセス。少々お待ちください」と総料理長を呼びに行きました。
数分後
「こんにちは。いらっしゃいませ。お客様。」と、総料理長らしい人がやってきました。調理師帽には金の刺繍が三本入っています。
「あの、私は華恵といいます。実はあちらで掃除をしている見習い
の調理師を私の船にやといたいのですが。彼はホンニの海を旅する事を夢みているようなので…」と、言うと総料理長は真剣な顔をして腕を組み換えさせたました。そして
「ミッツィ」と、見習いの調理師の名を呼びました。ミッツィと呼ばれた少年は背筋をピンと伸ばして華恵たちの方へ歩いてきまさた。総料理長は、ミッツィの肩にてをおき
「ミッツィ、今のはなしは本当か?」と、聞きました。
「あ、はい。デモ…」と言うと総料理長は首を傾げてから、ニッコリ笑って
「行っておいで!ミッツィ!これはまたとないチャンスなのだ。チャンスの神様前髪しかはえていないのだよ」と、言いました。
「でも…」
「お前は前からみんなに大きな夢を語っていたじゃないか。やはり夢は語れば語るほど叶うのかも知れないな」としげしげと言いました。
「やったな❗️ミッツィ」
「良かったなあ」と、なかまの調理師たちも集まってきました。皆優しくこえをかけてくれました。
「はい、行ってきます。ゴメンなすって!今まで御世話になりありがとうございました。」
華恵と福は嬉しそうに笑いました。
ミッツィが荷物を纏めると総料理長は退職金と特別ボーナスだと言って10万円もくれました。
「こんなに?」と、ミッツィが驚いていると、
「いいかい?ミッツィ。外の海に出たら楽しいことばかりではないかも知れない。そんな時はとにかくわらうのだ。そうすれば人からすかれる。お前の人なつっこさは長所だ。行っておいで。私は御前の親のつもりでいた。いつも、おまえの幸せを、願っているよ」と言うと大きな腕でミッツィをだきしめた。
「親方ー!」と、ミッツィは泣いていました。愛のある別れでした。華恵たちも貰い泣きをしました。
そして、1時間後、華恵達の船は無事出発しました。ミッツィは赤い開襟シャツと短パン姿に着替え
「これからはよろしく」と、頭を掻きました。華恵はミッツィに
「私達は伝説の鷹の王子正様を探しに行く旅をしているのだ。もちろん、グリーン城にも行くつもりなのだ。」と言う趣旨を伝えました。すると、グリーン城の話に触れたとたんミッツィの顔色が変わって
「ゴメンなすって。行ったは良いが帰った人はいないと聞いたことがある」と、言いました。
華恵は
「そんなに疑心暗鬼になってもしょうがない。なるようになるさ。心を明るく持とう」と、笑いました。
「ヒュー!賢者らしくなって!」と、福はわらいました。すると、華恵は気がついたように
「そうだ!コロッケをお土産に買って来たのだ」と、言うとミッツィ
訳がわからないらしく
「それ、どうするのだ?」と聞きました。
「実はもうひとり、仲間に引き入れたい奴がいるのだ。この船で全ての海を廻るには海に詳しいものが一緒でなければいけないのだ」
「なるほど、クジラのウインだ!」と、福は笑いました。
「いきなり、仲間が二人も増えたら幸先がいいなあ」と、ミッツィはおどおどしながらもドキドキしてきました。船は洞窟に戻ってきました。福の懐中時計はカチカチと音をたてています。
ところが、クジラのウインは大きな体をしているのに昼寝中でした。福は
「ウイン、ウイン」と、声をかけると鼻提灯がパチンと弾けウインはパチリと目を覚ましました。
「あれ?みんな、どうしたのだ?」と聞くと
「ウイン、また会えたね。嬉しい!君が欲しがっていたコロッケをお土産に持ってきたよ!」と、華恵が言いました。
「わあ!本当に嬉しい!ありがとうね。華恵」と、喜びました。しかし、ウインの体は大きすぎてコロッケは一瞬でなくなってしまいました。
「うまかった~!ありがとう」と満足そう。
「そこで本題なのだ。ウイン。私達と一緒に正様を探す旅に同行してはくれないだろうか?我々の船には航海士がいないのだ。私達にとっては未知の世界なのだ。ウインなら海の生き物だから海の危険や豊かさなんかにも詳しいだろう?」と、華恵が言うとウインはうむとかんがえて
「まあね。でも、全ての海を廻ったことはないのだ。うーむ。それに、親父さんが何というか?」とおどおどとしはじめました。
「私達のたびに同行するのに、ダメとは言わないだろう」と、華恵は笑いました。
「オイラが、まだ4つの時、父ちゃんと母ちゃんと一緒に大海原を泳いでいたのだ。そこで突然、大雨にあってオイラだけはぐれてしまったのだ母ちゃんの声が遠くに聞こえたけれど、もう、どこを見ても渦の中で、そしてようやく落ち着いたかと思ったら近くにサメが泳ぎはじめていて…。その時に、親父さんに助けられたのだ。だから親父さんはオイラの親のやようなものなのだよ。まあ、聞いて来ようか?」と言うとウインは鷹の王様のほうへ泳いで行った。
「親父さん。ウインです。親父さんに助けて頂いてもう、30年になります。オイラも華恵やフク達と、共に旅に行っても良いでしょうか?必ず帰ってきますので。」と、びくびくしながら聞きました。すると、王様は
「よい、行ってきなさい。楽しんでおいで。息子よ」
「ハイ、ありがとうございます。親父さん」と、ウインは涙目で言いました。そして、30分後笑顔で船に戻り
「オイラも一緒に行くよ❗️連れていってくれ!」と、はしゃぎました。屈託のない明るい笑顔でした。
福は
「良し、さあ!行こう!と言って船は大海原へ動きはじめました。クジラのウインは先頭をおよぎました。赤い星が1つ輝いていました。
~第2章 ミッツィ .ウインの章 完~
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