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見えない黒

ここのところ時間と余力があるときには、色鉛筆の練習をしている。マンダラを描き始めて9年ほどにもなるのに今さらなぜ?というと、より立体的で存在感のある模様が描けるようになりたいからだ。

私の絵は独学だから基礎は何も無い。何度か習おうとしてみたのだが諸事情により叶わず、ただ経験を重ねるのみだった。

最近SNSなどで、写真と見まごうほどの写実的な色鉛筆画に出会うようになった。調べてみると描き方の本なども出版されている。(以前は無かった)

それらの中で自分に合いそうなものを選び、現在少しずつページを進めている。超基礎の部分でも「今までやってなかった!」塗り方などがあって面白い。

ある程度出来るスキルは飛ばして写実的な方法へと進むと、とあることに気がついた。当たり前のことなのだが、どの絵を描くにも必ず「影がある」のである。

これまでマンダラの模様を描く際は、ほとんど「黒」を使わなかった。

私のマンダラは命あるものをモチーフとして入れることが多く、死が感じられる「黒」は避けたかったのと、黒以外のグラデーションで十分に立体感を出せると判断していたからだ。


写実的な方法で色鉛筆を塗るとき、物体の持つカラーより先にまず「濃い灰色〜黒」で影を入れる。その後、本来の色を重ねる。するとビックリするくらい本物らしく見える。

これには驚いた。なぜなら、その絵には全然「黒」を入れているようには見えないからだ。


あるものの存在は影(黒)が際立たせる。

見えなくとも影(黒)は在る。

"あるもの"の影(黒)を描くとき、それは「異なる存在」ではなく「同一のもの」としてそこに在る。

影(黒)の在り方によってはより美しいものが生まれる。



どことなく一面的でふわっとしていた私の模様は(良いところはそれなりにあった)さらなる深化を求めている。

塗り方を学ぶことでどう変わっていくのか、自分でも楽しみだ。