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洞爺湖サミットで世界に発信された、佐渡金剛杉が棲む原生林は半端なかった


きっかけは佐渡リトリートを
一緒に主催しているNanakoさん(姉さん)だった。

わたしはいつもNanakoさんのことを
“姉さん“と呼んでいるから、
ここでもそう呼ばせてもらうことにする。

一昨年2019年、佐渡発酵ツアーを主催し、
佐渡の発酵施設を巡っていたときのこと。

どぶろくや麹のおちち(ノンアルコールで超美味しい!)
で有名な佐渡発酵さんの事務所に、
“ある”杉の写真が飾ってあった。

帰り際、その写真の放つエネルギーに
ただならぬものを感じた姉さん。

「何これ!?すごい!!!」

と、大興奮。


ちなみに、姉さんは人やモノのエネルギーが見えたり、
これまでに何度も時空を越えたことがある
タイムトラベラーでもある。

わたしからすると、とんでもない特殊能力の持ち主。

そんな姉さんの手はセンサーで、
高いエネルギーを感じると、
ビリビリしてくるらしい。

姉さんのゴッドハンドがまさにビリビリと反応したのが、
佐渡発酵さんに飾られていた杉の木の写真。

それがまさしく洞爺湖サミットの会場でも飾られた
佐渡金剛杉の写真だった。

1日15人の入山規制、場所も明かされていない山へ入る

「来年はぜひともこの杉に会いに行こう!」
と、その場は大いに盛り上がった。

けれど、昨年は世界が一変し、
佐渡リトリートも中止することに…。

今年も状況は大きく変わらない中だったけれど、
今までのリトリートよりもさらに人数を少なくして、
開催することにした。


原生林のある山は、
環境保護のため1日15名までという入山規制があり、
杉がある場所も明かされていないという神秘の森

これは、有名になった金剛杉を一目見たいと
無許可入山者が相次いでいる現状から、
原生林の保全を第一に考えての配慮。

両津側から入る内海府ルートと
相川側から入る外海府ルートがあり、
どちらも予約申し込みが必要。

佐渡エンジョイプランから申し込みができる。


金剛杉に会えるのは、
外海府ルート
ということで、
そちらに申し込む。

8時半集合で16時半解散のツアー。

まる1日、神秘の森に入る日が決まった。


===

要事前申し込み

・参加者全員の名前、生年月日、緊急連絡先

・ツアー代金8000円/人の支払い
・ツアー3日前までに誓約書の提出が必要


いざ、金剛杉!神秘の森へ入る

入山場所までは、
途中にゲートありのでこぼこ山道を
車に乗って向かう。

両脇から草が伸び、
車一台がギリギリ通れる
もうこの時点で相当なサバイバル道。

車も必死でヒーハー言いながら登ってくれた。

少し開けたところに車を止め、
いよいよ森へ入る。

一列になって。
先頭と最後尾にはガイドさんが付いてくれた。

本格的なトレッキングは初めてのわたし。

のっけからハードに感じる箇所もあり、
何より暑さで汗が吹き出してくる。

長袖長ズボンの暑さ、
お弁当と雨具と大量の水が入ったリュックの重みが
日ごろ運動不足の体にのしかかる。

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そんなわたしとは対照的に、
ガイドの桜井さんと土井さんの
軽快な足取りはすごかった。

これまでに何十回もこの山に入ったというお二人。

山がとても似合う。


そんな最初の暑さや心配を吹き飛ばしてくれたのが、
この子。

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関の大杉

それまでの植林で植えられた杉たちとは、
明らかに異なるオーラと迫力を放っていた

圧倒的な存在感だった。


まるで千手観音、金剛杉の世界観

ガイドさんから
「あと◯分くらいで金剛杉」
と聞いてたから、ある程度心の準備はしてあった。


ふわっと開けた場所。

まだ遠かったけど、わかった。
距離にして50mくらい先。

金剛杉だ!!!!

距離を一歩一歩詰めていくと、
写真で見たお姿がすぐ目の前にやってきた。

太く逞しい幹、
そこから細い枝が何本も伸びて、
象牙のように枝先が真上に向かって伸びている。

正面から見ると、まるで千手観音のよう。

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すごい。

姉さんの手も反応しまくる。

「すごい感じる!」
と、杉に向かって手を伸ばす姉さんを見て、
ガイドの桜井さんは興味津々。

「ぼくは一度も感じたことないなぁ…」

と、なんだかうらやましそうな感じが
かわいいと思わせる少年のようなピュアさを漂わせる桜井さん。
(桜井さんの推定年齢は50代)


念願の金剛杉に会えた感動は大きかったものの、
その場に行ったからこそわかる
別の感動もあった。

金剛杉もさることながら、
周りに鎮座しておられるその他の杉も
これまた引けを取らないほどすごい。

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そんな樹齢何百年級の杉たちに囲まれていると、
ほんとうに自分の人生なんてちっぽけに思えてくるし、

数百年生きている杉の人生と
たかだか数十年の自分の人生に
こうやって接点が生まれたことが
とても尊いことなんじゃないかと思えた。


個性しかない名もなき杉たちのお姿

その後も強烈な個性を放つ杉たち
出合いまくる。

ほんと金剛杉だけじゃない。

あれもこれも、どれもこれも、

「君には何が起きたんだい?」
「どうなったらそんな形になるんだい?」
「え?これどうなってるの?」

と頭も首もひねらずにはいられないほどの
猛者杉ばかり。

これまでに石名天然杉遊歩道の杉たちには
何回も会いに行ったことがあったけど、
それはそれですごいと思ってきたけれど、

ここに来るとそんな遊歩道の杉たちが
どれもかわいいと思えるほどの別世界。

まだ名前を与えられていない、
名もなき杉たちの異次元レベルの存在感。

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何百回も四季をくり返し、
その長い年月の中で自分で考えながら
生き抜いてきた杉たちは、
唯一無二の姿、形となったんだろう。


ガイドの桜井さんと土井さんも
「起きたドラマを想像するしかない」
と前置きされた上で、

「たぶん…この木は……」

と一本一本解説してくれた。


不思議なもので、
自分の意思でここまで大きくなった杉は、
なんとなく性別が感じられたり、
動物の顔のように見えるところがあったり、
一本一本が神様のように見えてくる。


昔はこの山道が生活道だったという衝撃の事実

驚いたのは、
この細く険しい山道が
昔は生活道路として使われていたという話。

衝撃だった。

昔の人たちは、この山道を歩いて、
海産物などを売りに行ったりしていたらしい。

この話を聞いて、
「布が語る佐渡の暮らし」講座とつながった。


昔は、『山へ行く=仕事に行く』 を意味して、
『山着=仕事着』と呼んでいたという話が
スコンと腑に落ちた。


ということは、
昔の人たちはこのすごい杉たちをいつも目にしていて、
そんな昔の人たちのことを杉たちも見ていたというわけだ。

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昔の日本人が持っていた自然と共に生きる感覚や
多次元世界を行ったり来たりできたことは、
なんだかすごく当たり前ことのように思えてきた。

そりゃそうなるよね、と。


手つかずの原生林が残されたエリア「王様の小径」

この山は生活道として使われていたくらいだから、
場所によっては木々を伐採し、
生活や産業に使われていたエリアも多い。

伐採された木々は、
相川金山の坑道の支えや家屋、和船、燃料などにも
使われたそう。

けれど、
林道をつくることも運び出すことも
困難な環境にあった一部のエリアは、
大規模伐採などの影響を受けず、
ほとんど手つかずのまま残されるかたちに

それが「王様の小径」と呼ばれるエリア。

人の手が加わっていない、
まさに自然のままの状態が今なお残っている。

歴史を遡ると、
江戸時代は、幕府直轄の山林として管理され、
明治23年には、皇室の御料林として、
大正13年には、新潟県の県有林として、
昭和30年になると、県有林の一部が新潟大学の演習林となって
現在に至るのだそうだ。

江戸以前についてはわからなかったけれど、
数百年もの間、人の手が入らずに、
まるで奇跡のように守られ、残されてきて、
今があることを知った。

佐渡金山が幕府直轄であったことは知っていたけれど、
山林も金山にとっては重要な資源の場であり、
幕府が厳しい管理をしていたんだなぁ。


大日如来の石像と逸話

トレッキングルートの途中に、
言われなければ見過ごしてしまいそうな
石像が3体置かれているところがあった。

土井さんが
大日如来が置かれた理由、
昔の逸話を語って教えてくれた。

全部をここで書いてしまっては、
これからこのツアーに参加する人の楽しみを
奪ってしまうことになりかねないので、
ここでは“内緒“にしておく。

3体のうち大きめの2体の大日如来さまは、
隣同士で並んでおられたけれど、
生きている世界(おそらく次元)が
違うということを土井さんは語っておられた。

◯◯界と◯◯界。

3回くらい同じ名前を言ってくれたのに、
やっぱり下界に降りてきたら
どっちも忘れてしまった。

聞いたとない“界”だったことはたしか。

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===

今回一緒にトレッキングしたメンバーの中には、
屋久島の杉ツアーを経験済みの人もいた。

その人いわく、
「佐渡の杉は葉っぱがトゲトゲしてなくて、丸みがある」
らしい。

これはきっと、
佐渡には野生の大型動物(熊、猪、鹿など)が
いないことが大きく影響してるんだろう。


今回も長々と書いてきてしまったけれど、
これを読んで

「興味がわいた」
「ちょっと行ってみたい」
「申し込んでみようかな」

と思ってくれる人がわずかでもいたら
わたしは幸せだ。

ほんとうにおすすめ。
ぜひ一度、佐渡の原生林に足を踏み入れてもらいたい。

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最後に、
山といえばおむすびでしょ!
の話をしておきたい。

今回特別に無理を言って、
原生林近くのお宿「民宿 海府荘」さんに
おにぎり弁当をお願いした。

入山前に受け取りに行くと、
なんとおにぎり弁当だけではなく、
おやつ用にと名物プチパンと塩ゆで新じゃがも
用意してくれていた!

天才的な塩加減で茹でられたじゃがいもの優しい味、
できたてほやほやの自家製梅干しの入ったおむすびの
疲れた身体に染み渡る美味しさといったらもう。

たまらん。

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ご主人、女将さん、ありがとうございました!!!


リュックの重みは減ったけど、
お腹の重みがグンと追加された、
それがダイレクトにわかるほどのボリュームだったけど、
ぺろりでございました。


【原生林ツアーのお申し込みはこちらから】


【ツアーに参加する際のおすすめお宿】

本格的なフルコースが味わえる海府荘さん
絶品です。


入山前のお手洗いでもお世話になるかわぐち荘さん
ほっこり癒されます。

どちらのお宿も原生林からすぐ近く。

【トレッキンググッズのレンタル】

今回もお世話になったF.WAVEさんにお任せ!
本来はダイビングが専門。
それにも関わらず、今回イレギュラーなお願いに対しても
めちゃくちゃ親切に対応してくださった。

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