🇩🇰デンマークの大人の学校『フォルケホイスコーレ』🇩🇰

2016年10月にデンマークを訪れました。
その際見てきたこと、感じてきたことを
レポートにまとめました。
レポートを作成したのは2016年11月になります。

ラジオ感覚で聞ける音声コンテンツもあります（有料）↓

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森の幼稚園、義務教育
とデンマーク教育について
お伝えしてきましたが、

まだまだ続きます、
デンマークの教育事情。笑

どうか、
お付き合いください。

今回のお話は、
日本にはない”大人のための”
学校の話になります。

『フォルケホイスコーレ』
と言います。

何回聞いても
言うときに噛みそうになったり、
言い間違えます。

なんと、
こちらの学校は18歳以上であれば
デンマーク人じゃなくても
誰でも入ることができます。
（英語が一定レベルできることが条件）

この学校には、
成績も評価もありません。

なぜならこの学校は、

『人生を学ぶための学校』

だからです。

大人に
こんなにも贅沢な時間の
過ごし方が許されるなんて
すごい！

そんなふうに感じました。

ぜひぜひ、
また『大人の学校』を
感じてみてください。

今回もまたまた
長い文章になってしまいました。

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フォルケホイスコーレは、
現在デンマークに
66校あるそうです。

この学校は、
フリースクールとしての扱いで、
同じ理念をもった人たちが集まり、
グループで申請すると
認可が下りて、

学校に対して補助金が
もらえるのだそうです。

校長先生も選挙によって
選ばれるという、
民主主義を貫いた
学校です。

私が作りたいフリースクールに
似ています。

今回のデンマークツアーでは、
フォルケホイスコーレの生みの親である
「グルントビー」が建てた
伝統的なフォルケホイスコーレと

インターナショナルな
フォルケホイスコーレの
2つを見学して話を聞くことが
できました。

1849年、
デンマークで初の参政権が
誕生しました。
（女性の参政権は1915年）

民主主義の始まりです。

それまであまり教育を
受けてこなかった人たちも
自分たちの国について考え、
自ら選択する力を身につける必要が
生まれました。

そこで、
グルントビーは、
民主主義の誕生に合わせ、
大人になってから
きちんと学べる場所が必要と考え、

1856年に
フォルケホイスコーレの
第1校をつくったそうです。

民主主義をするなら、
国民にちゃんと考える力、
判断する力を身につける『教育』が
必要と考えたそうです。

すごい人です。

なので、
フォルケホイスコーレと民主主義は
ほぼ同じ時期に誕生し、
同じように歩んできている
というお話でした。

また、
フォルケホイスコーレは、
それぞれの学校が地域に根ざした
教育を展開しているそうです。

地域に根ざしながら、
それと同時にくらしについて考え、
自己について、
他者について、
深く学んでいく学校が
フォルケホイスコーレ。

この考え方が
どのフォルケホイスコーレにも
共通する基本理念
だそうです。

入学も卒業も試験はなく、
18歳以上なら誰でも
入ることができます。

キャリアの構築が目的ではなく、
人生、社会、民主主義を学ぶ
学校になります。

各フォルケホイスコーレには
それぞれに特色があり、

例えば、
アート系だったり、
スポーツ系だったり、
ヘルシーな生き方だったり、
グローバルな視点だったり、
哲学系だったり、

フォルケホイスコーレによって、
強みが違うそうです。

なので、
アートが好きな人は、
アート系のフォルケホイスコーレに。

哲学が好きな人は、
哲学系のフォルケホイスコーレに
行くなんていう選択ができます。

フォルケホイスコーレは
寄宿舎制で、
学生も先生も
学校と併設されている
宿舎で生活をします。

視察させてもらった
グルントビーのフォルケホイスコーレは、
音楽、芸術、文化コースがあり、
学生は好きなコースを
選択して学ぶそうです。

見学に行った時は、
外の敷地で、
学生たちが芸術大爆発な
絵をグループで
描いていました。

コースに分かれるといっても
朝は毎日全員が講堂に集まり、
歌を歌うのだそうです。

これは、
どのフォルケホイスコーレでも
行われる習慣だそうです。

毎朝歌う歌を集めた
「ソング ブック」
なるものが存在し、

この「ソング ブック」は
デンマークでは聖書に次ぐ
大ベストセラー商品だそうで、
デンマーク人のバイブル的
存在だそうです。

どんな歌が入っているかというと、
デンマークの歴史、
四季、自由、愛…などなど。

歌によって、
異なる国籍の学生がいても
心を一つにするのだそうです。

ちなみに、
この「ソング ブック」の
ほとんどの歌を
グルントビーが作詞
したそうです。

このフォルケホイスコーレの特徴は、
先生が自由にカリキュラムを作る
ことができるところです。

先生が言ってはいけないことや
タブーとされていることは
ありません。

教科書や
この内容を教えなければならない
といったものも一切ありません。

”政府の介入がない”
学校になります。

なのに、
政府はフォルケホイスコーレ
に補助金を出してくれます。

『お金は出すけど口は出さない』

この政府のスタンスは、
ツアーメンバーも驚愕でした。

なぜ政府がここまでしてくれるかというと、
政治家になっている人のほとんどが
このフォルケホイスコーレに
通った経験があり、
この学校の価値を理解している
からだそうでした。

ちなみに、
大人の学校である、
フォルケホイスコーレも
学費は無料です。

生活費や住居費は
別途必要になりますが、
みんなバイトなどで
稼いでいるそうです。

日本と大きく違うかなと
感じたのは、
親からの援助は一切ないこと。

デンマークでは、
親の扶養義務は18歳まで。

それ以降は、
国が保障してくれ、
国が生活費やお小遣いを
出してくれます。

それでも足りない場合は、
自分で働いて稼ぎます。

そう言われてみると、
スーパーのレジや
コンビニの店員さん、
レストランのウェイター、ウェイトレス
の方はみんな若かったです。

きっと、
国から生活費やお小遣いを
もらいながら、

自分のやりたいこと、
旅や学びのための費用は
バイトをして稼いでいたのだと
思います。

ここまで読まれて
もしかすると？？？と
なっている方がいるかもしれません。

大学卒業したら、
デンマークの若者は
バイトするの？

と。

実は、
デンマークでは、
大学を出てすぐに就職するという流れは
あり得ないことなんだそうです。

受け入れる企業にとっても、
社会経験の全くない学生を
いきなり雇用するということは
すごくリスクが高いと考え、

デンマークでは、
大学卒業した大人に
モラトリアム（猶予期間）が
与えられています。

だいたい
23歳〜29歳までの
期間がモラトリアム期間に
なります。

なので、
デンマークの人たちは
堂々とこのモラトリアム期間に
世界を旅したり、
フォルケホイスコーレで
人生について考えたり
することができ、

社会全体がそれを認め、
その時間を過ごすことに価値を置いている
のだそうです。

ただ、
これは課題も抱えていて、
働き出す年齢が29歳〜と
遅くなることで、

結婚も遅くなり、
それに伴い
出産も遅くなり、
なかなか
出生率が上がらない
と話されていました。

けれど、
2校目に訪れた
インターナショナル フォルケホイスコーレの
校長先生はこんなお話をしてくれました。

「フォルケホイスコーレの卒業生に
3年ぶりに再会したりすると、
”この学校での経験が人生を変えました”
と10人中9人が話す」

と。

ここで過ごしながら、
他国の友達のことを自分ごととして考えるようになったり、
自分を知り、自分を理解する時間をもつことは、

かけがえのない
人生の貴重な時間に
なるそうです。

今回、2つのフォルケホイスコーレを
見学させてもらいましたが、

どちらの学校も
時間の流れ方が
とてもゆったり、穏やかで
ここだけ別次元のような
場所に感じました。

ここでは、
日々対話を元に
信頼が構築されている
ようです。

人生という時間をどう使い、
どう過ごすのか、

考えさせられる
経験となりました。

大人にも
自由な
学校が必要なのかもしれません。