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「クルドって退屈だ〜」@Befircan


久しぶりにSerdarがオムレツを作ってくれた朝ごはん。妹のDîlanと3人でいただく。ご飯のあと、チャイを飲みながらSerdarがギターを弾いて歌ってくれる。そこへ連日チーズの仕込みで忙しいお母さんが一仕事を終えて「お腹すいた」とやってきた。

「こうやって歌ってると、徐々にお母さんも歌い始めるよ。見てて」とSerdarがささやく。お腹がすいているお母さんはしばらく黙々と食べていたが、少しずつ口ずさみ始める。

Serdarが声のボリュームをあげて煽ると、お母さんも本格的に歌い始めた。力強く澄んでいて部屋全体に共鳴する素晴らしい歌声。Colemêrgの民謡を2人でたくさん歌ってくれた。

お母さんも素晴らしい歌声で歌い始める



「もう年寄りだから声がよくないよ」と笑いながらお母さんは言うが、全く老いを感じない、特別な歌声だ。母と息子の素晴らしいデュエットを聴くことができて本当に嬉しかった。

来客があってしばらくバタバタしたあと、山の方へSerdarと散歩に出かける。この草は根っこがおいしいよ、羊のフンを大きく固めて冬に燃料として使うんだよ、など歩きながら目に入るものを説明してくれる。羊たちを集めておく囲いのそばに簡易なテントがあり、Şivanが夜の間ここで過ごすんだよ、と中を見せてくれたり。

SerdarとAlîが歌いながら歩いていた道
Şivanの小屋



YouTubeにSerdarと太陽神Alî Tekbaşが2人で歌っている動画が2本アップされているのだが、それらが撮影されたのが、まさに散歩していた場所だったらしく、はからずも聖地巡礼がかない感動する。

散歩から帰ると、干し草づくり、お母さんのチーズを埋めて熟成させるための穴掘り、村の仕事はなかなか重労働だ。

干し草づくり



ひと段落して、隣の家の庭でみんなでチャイをいただいていると、「子どものころによくやったボール遊びをしよう」ということになり、村の子供のための小さな学校の校庭へ行く。

仕事を終えて帰ってきたBero、Serdarのお姉さんNejla、妹Dîlan、同世代くらいのいとこたちが12人くらい集まってくる。大人がボールをぶつけ合って走り回って本気で遊ぶ。私も大勢のいとこと遊びながら育ったので、昔を懐かしく思い出していた。明後日は確実に筋肉痛だ。

大人が本気で遊ぶ


ヘトヘトになって、Beroの家に帰ると、お兄さんのAzadが今日も庭で火を起こして鶏を焼く準備をしていた。「おかえりえりか。今日はえりかとBeroで鶏を焼くんだよ」と託される。焼き上がった鶏は今日も絶品。Azadの味付けも天才的にうまい。

焼き鳥



Geverで用事を終えたSerdar、Naîm、いとこのOnurがやってきて、チャイタイムが夜更けまで続いた。家族の結婚式のためにあれやこれやが必要だ、衣装はどうする、何もかも高くて大変だ、毎日のようにいとこ同士で集まってわぁわぁ言っている。

「退屈だー結婚式も退屈だークルドって退屈だー」と言い合っていて、吹き出してしまった。

「えりかー!クルドって退屈だよー!」

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