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クルドの葬式 3日目

朝起きて身支度すると、しばらくサズを弾いてすごす。するとSerdarの妹が部屋へやってきて、一緒にサズを弾いたり歌ったりして遊ぶ。彼女の声は本当に美しくて、聴き惚れてしまう。

「サズは何年くらい習ったの?」と尋ねると、「習ったことはないよ。自分で練習したの。Serdarもそう、最初は独学だったんだよ」

親類にも楽器を弾いたり歌ったりする人がとても多いから、きっと自然に音楽に触れるようになるんだろう。妹からたくさん素敵な曲を教わった。ここに滞在中に練習しようと思う。

さて葬式3日目、最終日。皆で再び墓地へ向かう。故人の墓を囲み、故人の娘がお祈りの言葉に節をつけて唱える。その傍らで息子が涙を流している。祈りの言葉にのって静かに悲しみの波が広がり、押し寄せてくる。

実は昨日また近所の人が亡くなったとのことで、女性たちと一緒にお悔やみを伝えに故人の家へ向かう。

しばらく応接間で祈りの儀式を行い、暇を告げて、先ほどの故人宅へ戻る。3日目の食事の準備が始まる。

お悔やみを伝えたあと家に帰る道 美しい村と美しい女性たち

食事の準備、配膳、片付け、チャイの準備、配膳、チャイのおかわり、片付け、と女性たちに休む時間はない。

サラダ作り
来賓の晩餐
来賓へのチャイ
今日は来賓室ではなく台所チームに加えてもらう

昨日は来賓室でご馳走になったが、今日は世話係の台所晩餐に加えてもらう。本当にみんなよく食べる。10kgの羊肉の煮込みが一瞬で消える。来賓から「肉まだある?」と言われ、残り物をつついていた台所のチームの羊肉が持ち去られる。さようなら、私たちの羊肉。

食事のあと、モスクでの儀式を終えたSerdarに連れられて、アガ(部族の長)のお宅へ挨拶に向かう。前日に外観を見せてもらってその広大さに驚いたが、中はさらにとんでもない豪華さだった。アガは政治家で、来客が多い。部族同士の諍いや争い事があった時、両者が集い、和平のための会合が行われるという。

応接間のうちのひとつ こういう部屋がいくつもある
こういう応接スペースもいくつもある

村の高台にあるアガの家からはGeverの街が一望できる。こうして、たいていの世界で、一番裕福な人は高台から庶民を見渡している。

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