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行列の目利き

JR新宿駅構内のお蕎麦屋さんに行きました。
目的地は上野だったのですが、時間も中途半端だったので、新宿で待ち合わせした友人と、サクッと立ち食いそばを。

普段は山菜そばを好んで食べますが、ちょうど春菊天が写真付きでオススメされていて、おいしそうだったのでそちらをと、割と数秒で決定。

外に発券機が2台並んでいて、友人は空いている方で食券を買い、私はもう1台の使用してる人の後ろに並びました。すると驚いたことに、友人の後ろに続けて4人が並んだんです。私の後ろには誰も並んでいないのに。

友人が食券を買い終わると、1人また1人と、次々と食券を買っていく中、私の前の人は、選んでは取り消し、選んでは取り消しを繰り返していました。

私も少々後ろから圧をかけましたが、ヘッドホンをしていて、何も感じていないようでした。そうこうしているうちに、隣に並んでいる女性がチラチラと私の方を見て、心の中で(大変ねぇ)と言っているような表情だったので、順番を譲ってくれるのかなと少し期待しましたが、そんなことはあるはずもなく、(お先に)と言った感じで、先に食券を買っていきました。ようやくヘッドホンのお客さんは、なにかしら1200円分の食券を買い、店内に入って行き、私はやっと空いた食券機で、10秒くらいで購入し店内へ。

私はなぜか、先ほどの女性に興味を惹かれました。

「春菊天そばです」と、店員さんの声がけに、先ほどの隣にいた女性は「はい」と取って行きました。次に「冷たい春菊天そばです」と、店員さんが声を出すと、次のサラリーマン男性は僕じゃありません。みたいな仕草になって、20秒くらい(あれ?だれの?)といった空気が、以下、並んでいる人々と店員さんの間で流れていました。

すると、先ほどの女性が戻って来て「あれ、私冷たいのです! すみません、食べてはいないんですけど」と。サラリーマンの方は少し時間が経っていたけれど「これでいいですよ」と快く引き取って行きました。こういう時「いいですよ」って言っちゃいますよね。
その女性とサラリーマンはお箸を取る場所で、もう一やりとりをしていました。

女性は自分が取ったお箸をそのサラリーマンの方に「あ、これ使います?」と差し出していました。
流石に断っていましたが。

根からのいい人なのかもしれない、この方は。と思いました。発券機のところで、もう少し私が社交的だったら、この女性は、どうぞとしてくれたかもしれません。同時に常識的な人でもあって、女性の後ろにはもう1人男性が並んでいたから、その人の手前、譲らなかったのかもしれません。

わかりませんが。決して譲って欲しかったわけではないですが。他人ばかりの空間で浮上してきた思いやりの応酬にむず痒さを感じました。

それにしても、あの春菊天そばのポスターは大成功ですね。答え合わせをすると、あの時食券機に並んでいた7人中少なくとも4人は春菊天そばを頼んでいたわけですから。美味しくいただきました。

2024.6.20

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