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シノヘ歴⑭(芸歴2年目・8月)

暑すぎて溶けちゃいそうな8月は色んな感情がぐるぐると渦巻いた月だった。
総合的に判断すると”楽しい”の一言なのだが、要所要所で自分自身に辟易とすることがあった。


⑭-1.2023年8月1週目

月明けて8/2(水)、早速のMEKKEMON
この日は翌週に控えたM-1グランプリにむけて2分ネタの調整。

実に1年ぶりのMEKKEMON。
芸歴3か月目くらいだったか、お客さんが10人ちょっとしかおらずライブ全体を通して一組もウケなかった逆 神回を経験してから万利休として出演はしていなかった。

しかし今回は、開場すると平日なのに沢山のお客さんがいる日で温かく、非常に楽しくネタをやり切れた。
いつも来てくださっている方々、本当に感謝です。ありがとう!

今は再び出待ち禁止だけど、僕はライブ終わりにお客さんと話す時間も含めてライブを楽しみにしている節がある!
笑いながら喋りかけてくれたら面白かったんだろうなと思うし、苦笑いしていたら「これはしまった」と感じて反省している。

ほかの日々は安定のバイトバイトバイト。
淀川花火大会なんかに目もくれず、たくさんのクレーム電話を処理し続けた。

⑭-2.2023年8月2週目

⑭-2-1.M-1 予選 (8/9)

さてこの週はというと年一の特大行事 M-1 一回戦予選。
マジで一回戦を特大行事と認識しているレベルでは話にならないのだが、

そんなこんなでバイトからのネタ合わせのループ生活から、予選当日

我々の出番はDブロック、昼過ぎと比較的早め。

Cブロックには同居人のナックラー。
同じDブロックで2つ前の出番には、NSC時代アシスタントだった1期上の山椒魚さん。
そのため控室(というか控え廊下)での緊張感は、ほぼ0だった。

かつ本日予定していたネタは、結成して日は浅くライブも少ない中では比較的ライブにかけていたネタだったため、落ちる気なんてほぼ無かったのだ。

そんな中であれよあれよと出番は進んで舞台袖待機。

出番2つ前の山椒魚さんは爆ウケ。袖まで大きく笑い声が響く。
これは翌々日に分かるのだが、この日の114組中 1位での通過だった。

そんなもんを見せられた後、次のコンビは面識こそないが吉本の大先輩29期&36期のファンクラブにゃんちーさん。元 雷鳴のOKIさんのコンビだ。

いざ始まると、というか袖から見ていたがめちゃくちゃキャラが入ったネタで、悲鳴に近い笑い声が会場から聞こえた。種類の違う面白いが2連続で続いたので、さすがにちょっとビビってしまった。

いざ我々の出番、、「はいどーも!!!」
普段よりお腹に力を入れて、強さを意識し声を出す。

売れない芸人は、普段キャパ100を下回る小劇場にしか立たないので、久しぶりの大きくて広い舞台だとセンターマイクまでの10mで疲れてしまう。

ただ暖かいのが8月の大阪予選のいいところ。
欲しいところでは、ぼちぼち笑いも返ってくる。

このまま走りきるぞとネタを進めるも、途中から明らかな失速を感じて消化不良の2分終了。

手ごたえとしては5分5分。
でもこういう予選の5分5分は、実質 8割5分敗退。

なんとも歯がゆい感覚のままシェアハウスに帰宅し、のんきにインスタライブ。めちゃくちゃノンキだった。ビールとか飲んでた。

ノンキに過ごしていると結果発表が始まり、これまたノンキにインスタライブをしながら視聴。

このころはノンキさにアルコールがプラスされて、正月にハワイに行くやつくらいフワフワしていた。

M-1の結果発表は、出番順に発表されるのでだいぶ序盤。
あれよあれよと進む中、当然のごとく山椒魚さんが読み上げられ、シノ・りゅ~は忘れられたかのように呼び飛ばされた。

これがもうゾクゾクして気持ち悪いのなんの。
いや落ちんのかい、ハズいな!!!

人生で一番ぼーっとした感覚になり、気づいたら自転車にまたがって、気づいたら梅田を超えて知らないところまで走っていた。

こんなことしても何にもならないなと思って彼女の家に帰ろうとするも、現実を直視したくなさ過ぎて、気づいたら公園でストロング缶を片手に極太カルパスにむしゃぶりついていた。

あぁなんて情けない。こんな大人になってはいけないと思いながら24時ごろまで公園で一人で拗ねてお家に帰った。

翌朝は普段通り朝9時からコールセンターのバイト。
イジけてサボるような不良でありたかったが、きちんと出社した。チェッ。

⑭-2-2.ポプ漫 (8/12)

「シュールに逃げるな」を念頭にネタを書いているので、お笑い界でここ何年も流行りが来ている 闇の漫才スタイル a.k.a 敵連合 ではなく、ポップな漫才で戦っている芸人に対してめちゃくちゃリスペクトがある。(本当は闇の漫才スタイルに憧れているが僕にはできない)

そのうえでポップな漫才師だけで、みんながずっとハッピーな、悪くないネタだけで構成された1時間を見てみたいなと思っていた。

そんなこんなで見てきたこのライブはかなり楽しかった。

ネタもそうだが、合間でのトークもポップで皆がニコニコだった。

出演者からもお客さんからも元気をもらった1時間だった。


⑭-1.2023年8月3週目

9/14 吉本所属になってから、正式に2組目のコンビを結成した。

厳密にいうと、ようやくコンビ結成申請が通った。

というのも、M-1も出ている「シノ・りゅ~」というコンビ名で 8月初旬に会社に申請を提出したところ、類似のコンビ名が既にいらっしゃるとのことで再検討を提案されたのだ。

正直 僕はそうなるだろうと思っていたので、りゅ~ちゃんには伝えていたのだが、「シノ・りゅ~でいこう!」との回答だった。

あまりにも真っ直ぐ悪意のない目をしていたので流されてしまったが、ダメだったと伝えたときに返ってきた「まぁ、そうだろうなと思ってたけどね」という返答に関しては、完全になんやコイツと思った。

そこからはコンビ名に悩む日々、沢山提案した。
 ・ビートルズの曲名にして、その曲をいずれは出囃子に
 ・ブルーハーツの曲名にして、(以下略)
 ・縁起がよさそうな耳心地良いワード
 ・かっこよくもダサくもない無機質なカタカナ語

ネタ合わせ中に会う先輩方にも相談をした。

◆41期 前田ステーションさん
 「衣装が赤と緑なら、あかみどりでええわ」
 「(天晴れを提案したら)同期に面白くない天晴れってのがいたからNG」

完全に参考にならない。この人の意見はだめだ。

◆43期 ドライブドライブ たなぴーさん
 「(色々聞いてくれて)なるほどな、ゲロまんじゅう」
 「(それ以外でお願いしたら)それやったら、ゲロまんじゅう」

初めてきちんとご挨拶したのにゲロまんじゅうという終わってる提案をしたのちに、ジュースを買ってくれた。コンビ名を聞くには参考にならないが確実に良い人だ。

相方の八旗 遼さんは提案こそしてくれなかったが、こんなにカッコよかったっけと思うくらいカッコよくて、オシャレだった。

しかも、よく思い出したらジュースを買ってくれたのは遼さんで、たなぴーさんは勝手に頼んでもないのにお茶を買ってくれただけだった。コンビ名を聞くには参考にならないし変な人だ。


迷って迷って迷って迷って、決まったコンビ名が!

ハイテンションゲンキマンズ

人間というのは考えすぎるとおかしくなる。
後輩たちにはコンビ名は、もっと直感で決めたほうがいいと伝えたい。

⑭-3-1.MEKKEMON (8/18)

そんなコンビ名をひっさげて挑んだ、正式結成後 初の舞台 MEKKEMON

この日は何か見つかればと思って、正直めちゃくちゃなネタをした。

しかもそんな日に限って、たまたま上げていた告知を見てSNSからDMで置きチケをとってくれた女子大生の2人組が客席に(偶然 僕の母校の大学の後輩で、2人ともメチャクチャ可愛い美人)

いつも来てくれているお客さんは、今日は変なことをしていると分かったうえで見てくれるのでいいのだが、初めてネタを見たのがあれだったら怯えると思う。

正直好き勝手なネタすぎて当日のことは覚えていない。

僕の記憶に確実に刻まれているのは、終演後の出待ちで喋ってくれた上述の女子大生2人組は気を使いすぎてネタのことに関しては一切言及してこなかった。

聞かれていないのに、普段はこんなネタはしないんだよと弁明までしてしまった。

ぜひまた来てください。本当に!!

⑭-4.2023年8月4週目

この週は僕の夏休み。
週5でフルタイム勤務しているコールセンターで初めての三連休を取得し、東京に遊びに行った。

ディズニーランドに行きたすぎたためだ。

若手芸人というのは、ちょっと売れている人よりも絶望的に売れていない人間のほうが逆に十分にバイトをしているのでお金があったりする。

その悪い例が僕で、僕の生活スタイルを見て100人中100人が芸人とは言わず、派遣社員と断言するだろう。

この3日間は疲れたが楽しすぎて、8月に感じた嫌な気分や鬱々しい気持ちをすべて吹っ飛ばせた気がした。

帰阪後は、これまでと同じようにバイト to ネタ合わせの日々を過ごして8月を終えた。


【総括】
今月はトピックも多く、久しぶりに読み応えのある月になったのではないだろうか。

9月以降も読みごたえのある月間シノヘをお届けしていきたいもんだ。

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