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いろんなお米

(今回はゆうじさんの文章です)

酒蔵でとても刺激的だったことの一つはいろんなお米に触れる機会があったことです。

米農家なので毎日毎食、外食以外は自分のつくったお米しか食べません。
見ることも触ることもほとんどありません。
考えてみたら9年近くそんな状態でした。

しかし、酒蔵ではいろんなお米を見て、触って、味わうことができました。
山田錦、強力、玉栄などなど。
精米された米粒を観察し、蒸した米の硬さを指先で潰しながら感じ、口に中に入れて味わうのです。
どれも一つ一つ個性があります。

また蒸し上がったお米は麹室でほぐしながら拡げたり、醪(もろみ)を仕込むため拡げて冷まします。
品種によってベタついてバラしずらかたったり、逆に捌(さば)けが良かったりもします。

そして実は、蒜山耕藝の亀の尾でも少量仕込みました。

蒸し上がった亀の尾はしっかり固くて捌けが良く、爽やかさをイメージさせる手触りでした。
噛むと味わいがじわーっと出てきて、飲み込んだ後もしばらく味と香りの余韻がつづきました。
去年の夏の田んぼの風景や匂いが一気に脳裏に蘇ってきます。

「あぁ、米を見て田んぼが見えるってことがあるんだ」

自分が管理していた田んぼだから当たり前なのですが、他のお米を触っても頭にイメージは浮かんでいたのです。
もちろんイメージなので合ってはいないと思いますが、どのお米も頑張ってなんとか夏を乗り越えた!という印象でした。

このお米たちがどんなお酒になるんでしょうね。

お酒になって、それを味わった時にどんなイメージが浮かんでくるか。
とっても楽しみです。

いつもの世界から少し踏み出して、新しいことに触れることって大切ですね。


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