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家族再生の物語

こんばんは。
1日で読み終えた単行本です。

『四十九日のレシピ』伊吹有喜さん

初作家さんの作品です。
映画化もされていますし、読み応えがありそうだなと思いながら
お借りしました。

一人目の妻は娘の百合子が2歳のときに亡くなり、
二人目の妻の乙美(おとみ)も
心臓発作で亡くなってしまう。
一人きりとなった夫の熱田良平。
抜け殻のようになっているところに、
乙美の教え子だったというイモトさんがやってくる。
四十九日が終わるまで、面倒を見るということで乙美から頼まれていた…。

乙美が残していた暮らしのレシピ。料理や掃除の仕方などが
イラスト付きで描かれていた。
これをもとに、四十九日の法要は大宴会のように楽しく
執り行うことになる。

百合子と夫との関係。子どもがいないことで
伯母に責められる。
子どもをなかなか授かることが出来ないでいる中、
夫の不倫・浮気が発覚。離婚危機となる。
東京の住まいから実家の愛知県に戻ってしまう。

四十九日の法要に向けて乙美の年表を作成。
実の子どもを生むことがなかったからといって
空白が多くなることはなく、
教え子や同僚などに愛されていたことがわかる。

女性は子どもを産んで一人前といった考えは
どうなのだろうか。
乙美は家族への愛情としての料理を作り、
ボランティアで訳ありの子たちの自律・自立のサポートもしていた。

良平が乙美と結婚しようと思ったのは、
日々を鮮やかに彩る何か。
心を動かす美しい何かを感じたこと。
父親から百合子への夫婦再生への後押しのメッセージ。
テイクオフ・ボードの考え方。

この小説は再び生きる力を与えてくれて、
家族が再生していく物語。

伊吹さんの別小説も読んでみたくなりました。






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