75年の時を超えて|映画『スパイの妻』
「お見事」そう、言いたくなります。
ベネチア国際映画祭の銀獅子賞を「スパイの妻」の黒沢清監督が受賞した。日本人としては17年ぶりの快挙としてニュースを駆け巡る。
この映画の公開を知ったときから楽しみにしていたが、公開前の受賞の知らせは「はやく観たい」という期待を募らせるには十分だった。
公開してすぐ映画館に潜る。舞台は1940年。日本で戦争があった時代の中で圧倒的なリアリティをもってフィクションを描き、嘘みたいな出来事が往々にして起きる現実の中で真理をつく映画表現に真髄