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2023皐月蟠り

手を開いて、空気が触れる。

横になって、思考がわだかまる。
寒い。暑い気もする。リラックスしながら興奮してる。肌に何もまとってなくて、且つ裸でない。刺激や情報が流れて、通り抜ける。イライラしながら落ち着いて、不安になってる。目の前が行き止りになって、輪郭が額縁になって、中が覗けなくなる。ブラックアウトとホワイトアウトとグレーアウトを起こす。

よく分かる。詳しくなる。深く知る。理解する。知ってる。知っている。わたしが知っている。わたしは私のこと知らないから、つまりほとんど全部を知ってる。解釈なんてしないし出来ないし、それが何かを考える場も用意されてない。知ってて、あと、理解しかけてる。理解が同じところを走り続けて走り切らない。

今って、何時くらい?
からだの置き場が分かんなくなる。うつ伏せと上下とあお向けが一緒になる。舌があるかないか分からなくなる。見てないけど見てる。見えない、が見える。見ることができるし、見えちゃってる。見られてるし、見てる。

昔のことを思い出して死にたくなる気がする。明日でかけるのが不安になる気がする。気がするだけ。脳みそが半身浴してお湯のコンクリートが固まって半分以上が考えることに使えないから。海馬の中に手を突っ込んで探れないし、扁桃体も応答しない。

流し聴きしてるラジオの、ついさっきの内容が思い出せない。さっきから今までの記憶がない。今の記憶もない。今から少しあとの記憶もない。今からしばらくして、今を思い出すときの記憶もない。次の今の記憶がない。全ての記憶が無い。でもだけど、ぜんぶ知ってる。無知について知っている。私が無知だから知っている。

足の裏がムズムズする。膝が痛い。お腹にかかる重力が強い。僧帽筋が固い。目が痛くて頭痛がする。自分が運営してる身体が安いボロいデッサン人形だとか、壊れたマリオネットだとか、トイストーリーだとか、ひっくり返った死にかけのカエルだとかカメだとか、そういうの。

感覚がする。感覚と印象がする。わたしは昔、感覚だった。でも今はときどき感覚じゃないわたしもいる。感じることと感じようとする私の各々と感じられようとされる者と感じられる感じが、それらが感覚になって、感覚をやっている。私が感覚になっている。

クリシェで言うならマトリックス、巷でいうとVR。いや、いやいや、変な余計な観念が浮かんできちゃったけど関係ない。わたしが感覚だったから。肉の模型を誰が動かしてるかは多分関係ないから。肉の塊はわたしのものだけどわたしではないから。

そう思うと吐きそう。瞬きする度にノイズが走って私と私の体がバラバラになりそう。黒が薄くなってきた外の白闇に融けそう。吐きそう。吐きそう。吐きそう、吐きそう。カショクオートがチラつく。嘔吐はいいんだけど嘔吐に揺らぐわたしが気持ち悪い。

あー痩せたいやせたい痩せたい

追記:きつい。

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