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御茶ノ水・神保町ラスト散歩

私は学部生時代の後半だった2010〜2011年を御茶ノ水・神保町で過ごした。早いもので、もう10年以上が経っている。

大学生だった当時は、今するような神保町の過ごし方はしていない。友達と一緒なら大学のラウンジでお金を使わないで何時間も過ごせたし、口にするものなんてなんでもよかった。
たまにはカレーランチをするとか、老舗の喫茶店でお茶するとか、大学の先生にくっついて山の上ホテルでランチをご馳走になるとか、先生行きつけのバーでお酒を飲ませてもらうとか、そんなことはあったが、あの界隈にはむしろ、社会人になってからの方が足繁く通ったと言っても過言ではない。

御茶ノ水駅の聖橋口に井上眼科がある。学生の時からコンタクトの処方箋をもらうために受診しているのだが、ここは夏目漱石にゆかりがある。地下にある眼鏡屋で明大生割引がなんといまだに継続されているので、コンタクトが切れそうになると通院を続けている。
(以前、学割は打ち切られたように思っていたのだが、先日久しぶりに行ってLINEに配信されたクーポンを提示したら「明大生割引があるのでそちらは併用できないんです〜」と言われてびっくり仰天した)


ニコライ堂 しばらく会えませんね


6月10日に里帰り先の病院で34週の検診を受けた。そのあと一旦帰宅して、そのまた一週間後からずっと実家で暮らしている。最後の一週間はやり残したことを消化するために毎日電車やバスに乗っていた。

13日、眼科を受診しコンタクトを購入。ついでにランチと書店散歩。
14日、観たかった映画「怪物」を鑑賞。
15日、担当の美容師さんにあいさつがてら、美容院で髪染め。

13日は産前最後の御茶ノ水ということで何を食べようか本当に迷った。カレーなのか、タイ料理なのか、それともパン屋の二階でゆっくり過ごすのか。
選べなかったので、ずっと行ってみたかったのに行ったことのないホテル龍名館に併設されているレストランでランチすることにした。メニューがどれもあまりにも魅力的すぎてここでも選ぶのに難儀した。



開放的な気分で食べるキーマカレーランチ


とてもおいしかったのでまた来たい。今度はだれかと一緒に


濃厚抹茶ジェラート(もはやアイスクリーム)。大森静佳さんの歌集をおともにして


その後、三省堂書店(臨時店舗)、東京堂書店、古本屋街を散歩して本を数冊買った。岩波文庫のブックカバーがもらえるフェア目当て。東京堂はいつ行っても台湾推しなイメージがある。ついに一冊購入。


澤口書店で買った古本は有島武郎「宣言」


途中、和菓子屋の「ささま」に立ち寄って松葉最中を買った。この数日前に、平野紗季子さんのポッドキャスト「味な副音声」でささまの最中が登場したのだった。久しぶりに食べたけど、確かに「歯がすべる〜!!」ような気がする。


帰省土産にしました


すっかり満足して、名残惜しみつつも帰宅。

夫にご飯を用意する時間も、産休に入って以降は私が半分以上担うようになった洗濯も、部屋の掃除も。仕事してるときはダル重〜って感じだけど、一日一日が貴重に思えるから現金な性格だ。
我が家にはS&Bのタコスシーズニングとガパオシーズニングが常備されている。最近全然気分じゃなくて拒否していたタコライスを作ったらものすごく喜んでいた。

そして迎えた金曜日。午後を半休にしてくれた夫と、慌ただしく家を出た。我が家よ、しばしお別れですね。実家で暮らすのは楽しみだったはずだけど、やっぱり夫との生活がすっかり私の日常になっているのだと実感する瞬間だった。
実家で夫と過ごした金土日、毎夜こっそり泣いた。
日曜日見送るとき、こらえたけどちょっと泣いた。
母は寂しがる夫を見て「子どもみたいね」と笑っていたけど、そんなふうに言わないでほしい。

里帰り出産をする妻をもつ夫は、最後の一人暮らしをエンジョイするものだという一般論がある。でも私の夫にはそれが当てはまらない。一人で暮らすのはもう寂しいんだって。夫/私がいつの間にか、私/夫にとってかけがえのない家族になっていたんだなぁと思うと嬉しい。
育休の開始タイミングだって私が実家から戻ってからでもよかったはずだけど、ややこの成長を生まれたそばからややこの成長を見たいと、私の実家で暮らすことに夫はなんの躊躇いもなかった。

なんというか、夫と結婚してよかった。再会する前に手紙でも綴ろうかな。

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