Nostr / Damusで完全に「ノス廃」になっている話
Twitterで凍結や仕様変更の嵐に見舞われている皆々様、いかがお過ごしでしょうか。Nostrが日本で急激に流行り始めてから2週間以上が経ちました。私は今、こういう状況です。
これ以上やると廃人です。ツイ廃ならぬノス廃です。どうしてこんなことになってしまったのか、ことの顛末をかいつまんでご説明したいと思います。
これまでの話
私自身、別にTwitterというものはそこまで熱心に書き込んだり読んだりする人ではありません。ニュースがあればちょこちょこ感想を書き込んだり、漫画の感想を書いたり、日常をツイートしたり、まぁ割と標準的な使い方をしておりました。なので別に凍結リスクとか、度重なる仕様変更とか、言うほど不満はありません。日常の中でもごく一部を占めるものなので、多少不便になろうとも使い続けると思っていました。実際、2017年頃にmastodonが登場しても、そこまで惹かれるものではなくほぼスルー状態でした。
Nostrの発見
きっかけはおそらくこのツイートだったと思います。
NFTがどうとか、正直あんまり好きではないのでなんでこのツイートに興味をそそられたのか、今となっては分かりません。なんにせよ、サクッとインストールしてサクッとアカウントを作成したわけです(マストドンも、確かどこかのインスタンスで登録だけはしたはず)。
最初に目に入ってきたのは、Damusの公式アカウントだけがある、とても静かなTLでした。今時のSNSってこんなことありえなくて、ある程度誰をフォローすれば良いとか動線があるものです。しかたなく壁に向かってしゃべっていました。
そこへ、急に返信が返ってきました。しかも日本語で。この時は本当に嬉しくて脳汁が溢れました。自分の言葉が誰かに届くことがこんなに嬉しいことだとは思いませんでした。
なるほど、フォローして、積極的に返信をしないとこの世界では自分の言葉は誰かに届かないぞと。文章の検索機能も(当時は)なかったので、誰かに偶然発見してもらえるなんて甘いことを思っていてはいけません。Globalという中国語のスパム渦巻く濁流の中で日本人を見つけ次第とにかく絡みにいくこと、これがまず最初の関門です。現代のTwitterに生息しているだけでは絶対にありえないマインドの変化でした。
コミュニティの形成
日本人をフォローし、その方のフォロイー/フォロワーから日本人を探して芋蔓式にフォローして交流していくと、少しずつコミュニティが形成されていきました。実は、フォローされたことへの通知機能が(少なくともDamusの場合は)ないので、自分を認識してもらうにはこれまた自分で絡みにいくしかないのです。ファーストコンタクトから積極的であれば、その後の関係も積極的なものになり、やりとりも増えるものです。
そうして現在、フォロー数170人を超えそれなりに賑やかなTLを眺めていて、なんとなく同質の人たちが集まっていて居心地が良いな…という感触を抱きました。
でも正直、こんな現状を最初から知っていたら間違いなくビビって手を出してないな…と思わせる事件が何度も起こっています。この際正直に話します。
Nostr事件簿
1. フォローリストが平気で吹っ飛ぶ危険SNS
Nostrにも、他のSNSと同じくソーシャルグラフ=フォロー機能があります。私もこれを使って日本人をフォローしまくり、なんとか使い物になるタイムラインを形成したわけです。Twitter、そのほか大多数のSNSの使用者は、ある日それが突然消え失せてフォロー数がゼロになるなんて思いもよらないはずです。Nostrではそれが起こりうるのです。実際、1000人以上フォローしておられた方のフォロー数が急に250人まで激減しました。なんの自慢にもなりません。
技術的な話なので詳細は省きますが、Nostrはリレーと呼ばれる複数のサーバーに書き込みやフォローしたリストを保存していきます。このサーバー群は運用者が様々で(だから「分散型」)、内蔵されたソフトウェアのバージョンもまちまちです。古いバージョンのサーバーはフォロー数が上限250となっており、これ以上フォローしていると、ボン!の可能性があります。
それを見かねてか、こういうものが生まれました。フォローリストをバックアップして、回復させるツールです。
2. HTMLを直接ぶち込める自由すぎるSNS
ことの発端は、タイムラインが<marquee>タグで盛り上がっていたことに始まります。私自身あまり詳しくはないのですが、これはHTMLに埋め込むと文字が左へスクロールしていく効果があります。過去Internet Explorerが独自に実装した、現在は非推奨の負の遺産のようです。
投稿を <marquee>こんなふうに</marquee> 挟んでインターネット老人会が昔を懐かしんでいると、とあるクライアント(Twitterでいうサードパーティアプリ)から投稿を見ていた方から驚愕の報告が入りました。文字が左へスクロールしているというのです。まさか、投稿したHTMLタグをそのまま解釈しているのか…!?驚いたタイムラインの連中は半分恐る恐る(あと半分は悪ノリで)他のHTMLタグをつけて投稿し始めました。
<marquee>
<h1>
<font style="color:blue">Bluesky</font>
のいう
<i>自由なSNS</i>
ってこういうことだったんだな
</h1>
</marquee>
こうなりました。
このクライアントの脆弱性を疑い始めたTLは、秘密鍵(パスワードのようなもの)が漏れる可能性なども検討しつつ、開発者とやりとりしながら修正を続けています。圧倒的スピード感。
ギークの遊び場としてのNostr日本人コミュニティ
実例をご覧になってなんとなく察せられるものがあるかと思われますが、はっきり言って未完成SNSです。例えばTwitterやInstagramのように企業が参入して広告活動をするとか、そんな段階ではありません。自分のプロフィールと投稿を守るのでいっぱいいっぱいです。ある意味、貴重な経験ではあります。
しかし、ここで得た有益な知見があるとすれば、「未完成だけどちょっと面白そうなシステムを作ってばら撒けば、技術者たちが自然に寄ってきて面白いコミュニティが出来上がる」といったところでしょうか。彼らの手によってすでにNostr上にいろんなものが生えてきています(たった2週間で!)。
ありし日のFavsterのようなものや
便利な日本語投稿検索アプリ
まさかのBBS風クライアント
「あやしいわーるど」風クライアント
もうここまで来るとよくわからないですが、Nostr上にWikiまで立ってしまいました。
ここでは紹介しきれなかった素晴らしいツールやクライアントが山ほどあります。私はただの一般人なのでそんなに凄いことはできず、ただただ技術者の皆さんをリスペクトするばかりです。ただ、モチベーションが高まる場所であることは確かで、ここ最近はWeb開発のテキストばかり読み漁っており、少しでも皆さんの知見を理解しようと苦闘しております。
Nostrについて知りたい方はこちらのScrapboxをご参照ください。紹介しきれなかったツールに関する記事を含め、日に日に充実しております。
ネット上におけるコミュニケーションの今後
未来予想を語るようで少し青臭い話にはなってしまいますが、日本では一強SNSだったTwitterの行き先がよくわからなくなった今、MastodonやMisskeyなど、ActivityPubのような新しい提案が生まれるのは当然でしょう。それらに比べるとNostrはまだまだ発展途上で完成度も低いですが、私は「実験場」のような場所だと思っています。今後Nostrでなくとも、新しい形のプロトコルやサービスが開発される時(例えばBlueskyのような)、ここのコミュニティの苦闘が参照されたらいいな、と少し思うわけです。そこで宣伝です
2023年02月22日の22時22分から、Nostrの勉強会が開催されます。YouTube Liveで配信予定ですので、ぜひお気軽にご参加いただけると幸いです。開発者の方はぜひご登壇を。
これを言いたいだけの記事でした。最後に、日本人のフォロー探しに役立つかもしれないので私の公開鍵を貼り付けておきます。
npub17syr9cntr5f03gnhz7mqdxtt4mmgh39khpky5dw2sflkl09l2y0qra94wl
検索ボックスに入れていただければ、私のフォローリストが見えますのでそこから芋蔓式にフォローしていけば、なんとなくコミュニティの存在が見えてくるはずです。あるいは、こちらのリンクからでも辿れます。