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 Teenager Forever

どんよりとした暗い雲から大きな雨粒が落ちていた。
2月の雨は重く冷たい。
それなのに、周りの人々は喜々としてその歩みを止めない。
あまりの人の多さに傘を閉じている人もいたくらいだ。

King Gnu Dome Tour 「THE GREATEST UNKNOWN」

「これがGunの群れか」なんてことを考えながら、私自身もその一部になり
会場の中に吸い込まれていく。

初めてのドーム。
圧巻の大きさである。
「ドーム何個分の大きさ」という表現が成り立つ意味を理解した。

幸運にもSS席のチケットだった。それでも、遠い。
背が低いのもあり、人の頭の隙間からステージが見えるか見えないか。

「見えない、見えた!」
「シルエットだけでもめちゃくちゃかっこいい」
「ギター!ギター!」
「みえないー」
「このおと!!」
「声、声質、声!」
「かくせいきー、ぎゃあ見えた」
「このノイズ最高」
「うねるーベース」
「ドラム、ドラム、かっこいい」
「鳴りやまないで」
「鳴りやまないで」
「鳴りやまないで」

ライブが思わって1か月ほど。
正直、忘れてしまっていることばかりだ。
そして、感じたことを言語化しようとしてもうまくいかない。
ただその音が鳴りやまなければいいのにと、何度も思ったことは確か。

ライブ自体に行くのは、なんと6年ぶりくらいだった。
結婚、子育て、ライフステージの変化で音楽を聴くことさえ難しくなって、自分のことをどこかに置き去りにしていた。

そこに、すっと隙間を縫って骨の奥まで浸食してきた「King Gun」
音楽を聴く。ライブに行く。その音に溺れる。
楽しい。ただ楽しい。

ああ、そうだ、そうだ。ありがとう。
King Gun

音楽はいつだって鳴りやまないんだな、とか思ったり、ね。


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