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episode.9 A little book for Christmas

 クリスタルのオブジェに光が灯る頃、

彼は今朝の約束通りに、ゴゥジャスな音と共にやって来た。

 同時に貴腐ワインの甘い香りも近づいてくる。

黒い革ジャンがとても寒そうで、とっさに立ち上がると隣の椅子に置いておいたアンゴラのマフラーを彼の首に巻きつけた。

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