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呪術廻戦?いやいや今期の覇権は”体操ザムライ”だろ!【ネタバレなし】

お久しぶりです。

一度だけクソみたいなポエムnoteを投稿したまま読む専と化していた一般アニオタ学生、ちゃむです。

今期はアニメ視聴のモチベが高く12作品ほど継続しているのですが、今回紹介しようとしている「体操ザムライ」、実は2020秋アニメ公開当初は全くのノーマークで存在すら知りませんでした。

この謎のオリジナルアニメとの出会いは、たまたま用事で立ち寄った池袋駅の広告。Twitterで検索をかけてみるとどうやらユーリ(ユーリ!!! on ICE)やゾンビランドサガ、ひいては今期大人気の「呪術廻戦」の制作会社MAPPAが担当しているとのこと。

「まあよくわからんけど呪術廻戦1話すごかったしついでにこれも1話観てみるか…」

そんなノリで観始めたこのアニメ、実はとんでもないバケモン作品でした。


※このレビューに評論要素はなく、基本的にここが良いよ!という推し要素によって構成されています。逆張りオタクは嫌われるよ!ビックバード!

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ストーリー

それではまずあらすじから。

(紹介の都合上、1話のネタバレを若干含みます)

時は2002年。かつては強かった日本男子体操界。体操に人生を注いできた元日本代表、荒垣城太郎(29)は、思うように演技ができなくなっていた。それでも練習を重ねる日々を送っていたが、ある日コーチの天草から「引退」を勧められてしまう。悩む城太郎。それを支える娘の玲。だが、ある『出会い』によって荒垣家の運命は大きく変わっていく。

”体操”というタイトルの通りスポコンアニメなのですが、最近では珍しいおっさんが本気でスポーツと向き合うアニメです。高校生がガチで部活に取り組み全国大会を目指す…なんてのは少年漫画でやりつくしていて、マイナースポーツにまで目が向けられたり。
しかしながらそんな現代の流れに逆らうように、しかもオリジナルアニメだというのでなかなか挑戦的だなと当初は感じていました(本当はオリンピックが開催されるはずだったからおそらくそれに合わせたのでしょう)

本題です。
主人公である城太郎は過去に個人銀メダルを獲得したこともある国民的体操選手。長身を活かしたダイナミックな演技に定評があり、その特徴的な髪形から「サムライ」と呼ばれ、メダルを獲得したときには日本中にサムライ旋風を巻き起こしました。そののちに大女優と結婚し一人娘をもうけ、幸せな生活は永遠に続くはずだった…のですが、娘がまだ幼いころに奥さんが交通事故で亡くなってしまいます。城太郎はそれ以降トレーニングも大会の演技も上手くいかず、一世を風靡したサムライブームは過去のものとなってしまいます。
思うように結果が出せず、ついにコーチにはっきりと引退の提案をされて動揺する城太郎。彼はいわゆる天才タイプで、感性だけで体操をしてきたため指導者としてはてんでダメ。彼にとって『引退』の2文字は[体操から完全に身を引くこと]と同義です。

「俺の体操が大好きな娘を悲しませたくない、肩さえ治ればまだまだやれるのに…」

思い悩む城太郎の姿を見て、心配する娘の玲。気を遣わせてしまったと感じた城太郎は、母の代表作である忍者映画にちなみ、気分転換も兼ねて2人で江戸村の忍者を見に行こうと提案します。
その忍者村で玲に引退を告げようと考えていた矢先、エージェントに追われる謎の忍者と遭遇し......?

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ここから物語は大きく動き出していくことになります。

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(ござる…!!)


それじゃあ魅力を伝えていくでござるよー!

なかなかに攻めたタイトルを書いてしまっため、どうにかしてその魅力を伝えねばならない責任を負っているわけですが、この作品を語るうえで外せないポイントを羅列していきたいと思います。

◎アニメであることを最大限に活かした脚本

当たり前ですがアニメというのは映画と異なり、各話23~24分、リアルタイム視聴では次の話は1週間後という縛りがあります。特に深夜アニメは1クールないしは2クールで話をまとめなければならず、何年も継続的に放映している国民的アニメを例外として、各話の完成度というのが非常に重要になってきます。
多くの深夜アニメは(原作が漫画であることが一般的なので)3~4話で区切りを迎えるのですが、盛り上げ箇所が足りず”箸休め回”と呼ばれる話がどうしても存在しがちです。
その点においてアニメを前提として作り上げているオリジナルアニメは自由度が高く(往々にしてハズレ作品も多々見かけますが)、思わぬダークホースになることもあります

”体操ザムライ”はその典型的な例であり、毎話何かしらトラブルや登場人物の葛藤を解消していく形で物語が進んでいきます。トラブルといっても安易なギスギス展開や本筋を大きく外れた回がなく、それでいて主要キャラの掘り下げが丁寧なので観ていて飽きるということがありませんでした。

(完成度高いってのは分かったけど結構真面目なスポコンアニメって感じがして観るの疲れそうだな…)

いやわかる。気軽にアニメ観たいのにそんなガチガチに評価高い正統派アニメ観るのは気合がいるというか、ウォッチリストに入れたはいいけど1話を見始めるのに少し勇気がいるとか身構えちゃうとかそういう感じ。

たしかに大筋の話はそうっちゃそうなんですけど、実はコメディ要素強めのアニメなんですよね。
城太郎はめちゃくちゃ能天気でマイペースなせいで他の体操選手たちのピリピリした状況を持ち前の空気の読めなさでぶち壊したり、重い話が始まったかと思いきやビックバード(荒垣家で飼われている日本語堪能な謎の巨大鳥)が横から茶々を入れて怒られたり、主人公周りの人々はユーモアのある、というか癖の強い人ばかり。

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(グエ-死んだンゴ)

そのような人物構成となっているため、なにか話中でトラブルがあっても視聴者を不快にせずモヤモヤを残さない(各話の中で解決へ導く)というふうに、シリアスとコメディのバランスが非常によくとれた作品になっています。

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(チャラ男とギャルと忍者。なんだこれ)


◎CG作画がすごい!呪術に進撃、体操ザムライ。MAPPAって過労死しないの?

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体操を主題としたアニメなのでもちろん体操の作画がダメダメだったらガン萎えっすよね。あとは純粋に後半につれて作画の質が落ちるのも深夜アニメにしては珍しくないことです。

だがしかしこの体操ザムライはそんな不安もなんのその、体操作画はまるで本物の選手を見ているかのような、リアルと見間違うんじゃないかってぐらい繊細に描かれているので驚きです。
ぶっちゃけ自分は作画の知識は聞きかじった程度なので主観でしか物語ることができないのですが、作画にはちょっとしたことで違和感を覚えてしまうタイプなので安心して観れるというのは非常に大きなメリットでした。

気になるって人はとりあえずこのPVの後半見たらわかると思います。
いやわかってくれ!そしてそのまま1話見てくれ!!(過激派)



◎声優もガチ!実況もガチ!どっから金出てんの…?

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この作品、ベテラン声優をちゃんと起用しているおかげもあって声を張るシーンなんかは本当に迫真でスカッとするんですよね。特に小山力也さん演じるオカマちゃんとか、ただ面白おかしいだけじゃなくて小山さんくらい腹から声出せる声優じゃなきゃいけない理由があるんですよ。(最終話参照)
オカマちゃんはじめ、出演しているサブキャラたちにも必ずと言っていいほどちゃんと役割があってなおかつ不用意な掘り下げをしないので全11話という短い構成でここまでバランスが取れているのだと思います。

実況もいいんですよね~。実際のアナウンサーを起用しているためリアルの体操実況解説に引け劣らないクオリティの高さ、臨場感、選手の演技がどうすごいのか丁寧に説明されるのでガチの体操シーンでも十分に楽しめるんですよね。ぜひそういう点にも着目して観てもらえるとより楽しめると思います。

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(選手の技の難度について解説しているシーン。体操の得点には馴染みがないのでわかりやすい解説があると非常に助かる)


◎えっそれ伏線だったの!?幾重にも張り巡らされた伏線、そしてラストシーンにはかの有名な洋画のオマージュが…?

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脚本の話に被ってはしまうのですが、伏線回収というのも作品のクオリティを語る上でとても重要な部分です。
この”体操ザムライ”という作品、伏線の使い方がほんとに上手なんですよね。各話の冒頭の何気ないシーンが後半の真面目パートの伏線になっているようなわかりやすいものから、2・3話といった早い段階で出てきたシーンや台詞が物語終盤にしれっと入れ込まれていて対比構造になっているとか、多くの視聴者がなるほど!と理解できるような分かりやすい伏線と、分かる人には分かるオマージュ的な伏線が入り混じっているあたりが丁寧に作りこまれているなと。
自分なんかはニコニコで毎週観ていたので、隠れた伏線に気づいた人のコメントを見てよくアハ体験してました。

匂わせツイートみたいになって嫌なんですが、最終話のオマージュは感動してしまいました。ニコニコのコメントでもそうだったんですが、それを知らない人、特に中高生でなんとなくアニメ観ている子って、理解が追いつかないから「は?」「なにこれ草ww」「だっさw」といった感じで小馬鹿にするんですよね。優越感:不快感=2:8くらいなので正直やめていただきたいものですが、オマージュを認識したのも有識者によるコメントなため一長一短ですね。(オマージュ元作品、めちゃめちゃ良かったです)


◎やっぱり愛!愛でござるよ!

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奥さんを無くしたおっさん主人公が新しい奥さんでも見つけるんか?なんて勘繰られるかもしれないですけど、そういう意味じゃないです。

城太郎と玲、そしてレオ(忍者)にビックバードの家族愛、天草コーチと娘の親子愛、レオやてっちゃんが城太郎に抱く感情、タッキーとあゆっち、クラスメイトの男の子、エージェント、それぞれの感情の描写がちゃんとわかるようになっているところからも製作陣の愛を感じます。自分自身のネガティブな感情とどう向き合っていくか、そういった人間の成長物語を見られるのも推しポイントです

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(男の子って単純だぁ…)


まとめ

ここまで4000字ほどの長文にお付き合いいただきありがとうございます。
本当に丁寧に作られた作品なのでぜひとも多くの人に見ていただきたいです。(アリガトウヤデ‐)

私自身が現状一番評価しているアニメ”宇宙よりも遠い場所”(通称: よりもい)もそうなんですけど、神アニメなのにオリジナルだから限られた人しか目にすることができない…なんて作品は往々にしてあると思うんですよね。体操ザムライもその一つで、今期人気作品と比べると圧倒的に知名度も人気もありません。
そのようなもどかしさもあり、気に入った作品を人に語らないと気が済まないオタクでもあるのでこういった活動が作品を後押し出来たらなと、そんなことを思いながら執筆しました。

良い作品ってのは口コミでどんどん広まっていくのでここでひとつ予言しておきましょうか。



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「体操ザムライは1年後、Eテレで再放送されます」





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