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伊勢湾フェリーの窓から

なんにも用事がないので伊勢神宮に行った休日があった。何度も来ているので物珍しさはない。お参りの後、なんにも用事がない故になんにもすることがないので五十鈴川をぼんやり眺めていたら、ふとこの水の流れる先に行ってみたいと思った。海へ行こう。

とりあえず鳥羽や賢島方面のバスに乗った。とはいえどこで降りるかは決めていない。海辺に行けたらいいと思っていて、電車で名古屋方面に帰れるところならと思っていたが、それならいっそ伊勢湾フェリーに乗ってみるのもいいかもしれないというアイデアが浮かんだ。フェリーなら初めてだ。鳥羽から伊良湖岬に行き、あとはバスと電車で名古屋方面に帰る。このルートで休日の午後のコマを進めることにした。

シートの柄がおもしろかった

伊勢湾フェリーは三重県の鳥羽港と愛知県の伊良湖港を結ぶフェリーだ。この航路自体が国道42号線の一部分になっている、海の国道でもある。運賃は大人片道1800円。車や二輪も積める。所要時間60分ほどで対岸に着く、ほどよい時間の船旅が楽しめるフェリーとなっている。

この時は鳥羽丸に乗った。休日の一般席はそこそこの混雑。家族連れの人達も多かったので席を譲って外のデッキに出た。これが意外と楽しく、ずっと景色を眺めていた。

菅島

鳥羽港を出ると北に答志島、南に菅島とふたつの島に挟まれながら進む。答志島の温泉、いつか行きたい。しばらくすると内海を出て風景が外洋っぽくなる。海だ。さっき眺めた五十鈴川の水もどこかに混ざっているのかもしれない。

そんな海のただ中のような風景の中を進んでいくと、もうひとつ島が見えてきた。神島だ。人口300人ほどが住んでいる島で、船からも住宅が並んでいるのが見える。三島由紀夫『潮騒』の舞台となったところらしい。民宿が数軒あるので宿泊可能。こういうところに泊まるのもいいかもと思う。

神島

神島を通り過ぎると伊良湖岬がすぐそこに見えてくる。三河湾のどこかから出港したコンテナ船がのそりと通っていく。重そうだ。

唱歌ではないが海は広い。大きい。この風景を眺めていたらなにかすべてが開かれている感じがしてきた。どこへでも行っていいような気にさせる。

伊良湖港が見えるとすぐに入港。車を乗せているお客さんが多く、入港前は準備で少しバタバタする。歩きの人間は徒歩で船を降り、60分の船旅はあっという間に終わった。鳥羽丸は次の旅客を乗せて鳥羽港に引き返していく。
久しぶりの船旅はやっぱりよくて、いい気分転換になった。伊良湖港からは先ほどの神島行きや篠島・日間賀島・知多方面のフェリーも出ているので、次回挑戦したい。

またね

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