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London Elektricityのアルバムを聴いている

先月末に出たLondon Elektricityの7枚目のスタジオアルバム『Building Better Worlds』がかなりいい。気分的に、秋や冬はジャジーだったりソウルフルなドラムンベースがハマることが多くて、思えばNu:ToneやFrederic Robinsonのアルバムにハマったのもこの時期だったなとかいうのを、外の乾いてひんやりした空気の感じで思い出すことがある。アッパーで派手なやつよりも、無意識に内省的で優しい音楽を求めているんだなと思います。

London Elektricity(ロンドン・エレクトリシティ)ことTony Colmanは、UK…というかおそらく世界で最も成功したドラムンベース専門レーベルHospitalのボスで、20年以上にわたってシーンを引っ張ってきた大ベテラン。ジャズやファンクを下敷きにしたライブ感のある生音の使いかたが特徴的で、そのサウンドは一貫して彼が掲げる「速いソウル・ミュージック(Fast Soul Music)」というスローガンを体現したもの。

今回のアルバムは、東京在住のイギリス人写真家Ben Beechの作品にインスピレーションを受けて制作されたものだそうで、その多くは日本各地の廃墟がモチーフになっており、実際にアルバムのアートワークやPVに取り入れられている。そのためか、楽曲自体にもこれまでにないメッセージや物語性を感じるところがあって、普段以上にエモーショナルな仕上がりになっていました。UKFのインタビューでも詳しく語られています。

公式にYouTubeでPVが配信されているものがあるので、気に入った曲をいくつかピックアップしてみます。

Build A Better World (feat. Emer Dineen)

8月に先行公開されたこのPVがとにかくキャッチーで、久々に、というか相変わらずLondon Elektricityいいなと思って。ソフトで力強いヴォーカルと優しいリリックが印象的。映像のなかに日本語の看板が出てくるので気になって調べてみると、札幌近郊にある廃遊園地がロケ地のようですね。こんな美しいロケーションよく見つけたなあ!

Final View From The Rooftops (feat. Cydnei B.)

先行シングルカットされたアルバムの1曲目がこちら。これまでの作品と比べて特異なまでに壮大でドラマティックな音で、まずここで今回のアルバムは何か違うぞと思わされる。動画のコメントでも言われているけど、この曲だけ映画のサントラのようだ。ヴォーカルの高音すごいね…。

Time To Think (feat. Inja & The Secretary-General)

わたしが一番お気に入りの曲これです。PVもかっこいい。子供のラップかわいいなと思ったら、The Secretary-GeneralというのがTonyさんの一番下の息子さんなんだって。めちゃめちゃ才能あるじゃん!

曲のテーマも良くて、言われてみると情報の洪水にただ流されがちな現代にあって、立ち止まって考えようというのもハッとさせられるところがある。

The Prescription Is Love

サビのシンセリードがちょー気持ちよくてゴキゲンです。12小節でループする前のめり感がハマっている。確かにDJで使うのはちょっと難しそうだけど、インタビューで本人が語っているように、イントロの48小節で繋げば普通にいけるんじゃないかと思う。

She Slowly Caught Fire (feat. Bulgarian Goddess)

どうにも物寂しい、それこそこの季節にぴったりな歌だなと思います。気怠げな女性ヴォーカルがいい。一般に170bpm以上の速い音楽というと情緒がないように思われるかもしれないけれど、ドラムンベースはそんなことはなくて、わりとこういう喜怒哀楽どれでもないグラデーションのある感情とシンクロすることがあるなと思う。

アルバム『Building Better Worlds』は、下記リンクの通り各サイトで配信中。わたしは例によってGoogle Play Musicで聴いているけど、写真のアートワークが気になるので物理ディスクでも欲しいし、こういうのはレコードのサイズ感ならもっといいなと思います。

なお、London Elektricityは今月22日と23日にそれぞれ東京と大阪で来日公演があるそうで、都合がつけばわたしも遊びに行くつもり。

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