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テクノ新譜試聴メモ:2022-11

少し遅くなったけど11月発売分の新譜チェックです。今月は多い!

Stu Earnshaw - Desire [FLASH]

Florian MeindlのFLASHレーベルから新人のStu Earnshaw。シャキシャキした縦ノリのグルーヴに、エッジの立ったボイスサンプルとギラギラしたシンセの応答が楽しい。シンプルながら一度聴いたら忘れられない存在感のあるトラック。他の曲もなんか攻撃的でロウなハネかたをしていて良い。

Oxygeno - Vertigo [Lost Verses]

スペインのOxygenoによるセルフレーベルからのEP。ヒプノティックでひたすらに重いモダンなハードミニマル。どの曲もかっこいいんだけど、ウワモノが9拍でループする"False Mirages"の漂いながらハマる感じがおしゃれ。

Josh Wink - Mind's Eye [DCLTD]

Josh WinkのDrumcodeのサブレーベルDCLTDからの新譜が良かった。バキバキのアシッドベースにブリーピーなシンセが程よく絡んできて、ブレイクで語りが入ってくる往年のノリ。濃い!

Lidvall - Pose [Signal]

Drop-EのレーベルSignalから、今年はFaut Sectionからのデビューもあったロウ/ヒプノ系注目株のLidvallの作品。全曲パワフルで走っているテクノでかっこいい。個人的にはこの、展開が少なくて暗く直線的な"Pose"のB面ツールトラック感に惹かれてしまう。

Hemissi - Sextuple [Soma]

Somaのフレッシュな6曲入りV.A.はHemissiの曲が良かった。Hemissi最近ずっと良いんだけど、なに!? リバーブのテールが残ったのがうねるような独特の内向的なミニマルなグルーヴ。抜き差しの加減のちょうどよさも熱い。

Ribé - Derramarse [Faut Section]

スペインRibéを初めて知った。夏にPoleGroupからLPも出ていたとのこと。モジュラーシンセ使いだそうで、ハード使う人特有の「かたまり」っぽい音像のクセはありつつも、この曲みたいにダークでシリアスな世界観との相性が特に良さそうだった。抑制の効いた展開が好み。

Planetary Assault Systems - In From The Night (PAS Edit) [Mote Evolver]

これは驚いた! 昔の曲のリバイバルが流行っているのか、今度はP.A.S.のPeacefrogから93年に出たアンセム"In From The Night"のリミックスが出た。BeyerとWebbhaのメジャー感は興味ないんだけど、何と言ってもルークスレーター本人のリワークが2曲入っている。速いグルーヴの熱さだけはそのままに、音色を今っぽく差し替えたような"P.A.S. Edit"はいいとして、原曲を細かくチョップして切り刻んだ"P.A.S. Live Edit"は笑ってしまった。こんなのもう令和のEasy Filtersじゃん!

オリジナル、いま聴いても超かっこいい。Peacefrogは実はこのへんのクラシックスに手厚いのでデジタルも出てますね。

Lewis Fautzi - You Can't Step On the Same Risk Twice EP [Mord]

タイトな低域でぐいぐい引っ張っていく完成度の高いハードミニマル。ファンなので全曲推しです。Mordは同じダーク系でも、最近はもっとエクストリームな傾向のイメージがあったから、わりとこういう捻らずストレートな作品もピックアップしてくれるの意外だなと思っちゃった。見てみたら去年もLewis Fautzi出てますね。

Pause (FR) - L'Ennemi [Postdynamic]

ドイツのPostdynamicレーベルのヒプノ/ディープ系アーティストを集めたV.A.盤から、Pauseの曲が良かった。泥のように沈殿した低域から湧き上がるようにして、モコモコしたウワモノがディレイで広がっていく。ブレイクでうっすら重なっている声が怖い。

Claudio PRC - Challenger Deep [Delsin]

老舗DelsinからClaudio PRCのEPが出てたの見逃すところだった。タイトルに偽りなしの深海ディープテクノ。音数は絞っていても重心は低く、上がりも下がりもしないグルーヴが続いていく。どの曲も捨てがたいなか、B2の"Kaiko"(海溝?)なんかは、様々な異種のレイヤーが重なり合っている感じがして特におもしろい。イマジネーションが広がる。

Pyramidal Decode - Irrational [Warm Up]

ヒプノティックミニマル界隈でじわじわと存在感を高めていたイタリアのPyramidal Decodeを初めてきちんと認識した。ModularzやEdit Selectを押さえながらWarm Upにも来たらそれはもう。空間的な広がり、ブレイクの引っぱりかた超好み。取りこぼした過去作を漁っています。

今月取り上げたトラックはSpotifyのプレイリストにまとめてあります。

「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。通常は楽曲単位での紹介、まれにEPやアルバム単位で紹介することもあります。

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