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教習所日記(2) 仮免前

前回:教習所日記(1) 第1段階の途中|R-9|note

入校から3週間あまり、引き続き通っています。なんだか、今秋から始まるアニメ『PUI PUI モルカー』の第2シーズンの舞台が自動車教習所だとかで、計らずも最前列の臨場感で楽しめることになりそう。

今週は仮免検定前のひと段落といったところで、数日間は技能教習の予約も入っていなくて、乗れる機会がないので逆に落ち着かない。せっかく覚えたことがこぼれ落ちていってしまいそうで、暇をみては脳内でシミュレーションしています。乗りた~い。

仮免前効果測定は早めに

学科教習の10項目がすべて終わったので、仮免前効果測定を受けました。これはまあ仮免学科試験の予備テストのようなもので、まずこの全50問のペーパーテストをクリアしないと第一段階の技能教習のラストとなる「みきわめ」を受ける資格が得られない仕組みになっている。そして、その技能のみきわめをパスして初めて、警察による仮免許の技能と学科の試験を受けることができるのです。

試験は学科の全項目の受講が終わったらいつでも受けることができて、教習所内のテスト室という部屋で手続きをしたあと、PCに向かってマウス操作でぽちぽちと回答していく。回答時間は30分、各問1点で45点以上で合格。

前回の記事でも書いた通り、今は教習所が契約しているMUSASI(ムサシ)というオンライン学習サービスがあって、教習所にいない間もPCないしスマホからログインして好きなだけ予習問題を受けることができます。わたしは教習中もわりと真面目にノートを取って、MUSASIでバリバリ自習していたので、ぶっちゃけMUSASIとまったく同じシステムで展開される仮免効果測定も49/50点で難なくクリアできました。1問落としたのはこういう問題。

【問題】片側に三つの車両通行帯のある道路では、進行している速度の速い車は最も右側の通行帯を通行する。
【正解】×
【解説】三つの車両通行帯のある道路では、最も右側の車両通行帯は追い越しなどのためにあけておき、速度の遅い車は左側の通行帯を、速度が速くなるにつれて順次右側寄りの通行帯を通行します。

これは、車両通行帯が3つある道路の場合に左から2つは「速度に応じて通行する」のですが、最も右は「速度に関係ない」ので×なのでした。追い越し車線はどう考えても相対的に左車線よりも速度が速い車が走行すると思うんだけど、この問題文の聞きかたは完全な引っかけ。言われてみれば同じ問題がMUSASIで出たことあって、そのときどっちが正解だったかな…という記憶があやふやのままだと、またハズレのほうを引くはめになる。こういうのばっかり。

こういう、引っかける気まんまんの問題はかなり決まったパターンがあり、ちゃんと覚えていけば仮にケアレスミスで2、3問落としたとしても合格ラインは行けることになるので、全部回答したあとの見直し大事。

難しいのは路面電車問題で、わが県には路面電車が走っていないので標識もそのルールにもまったく馴染みがないのです。安全地帯って何、えっ路面電車の駅のことなの? みたいな。でこの安全地帯がある停留所とない停留所、そこに電車がいるときといないとき、さらには乗降客がいるときいないときで一時停止・徐行・徐行もしなくてよい、のパターンがあるものだから、もう何もピンと来ない。この路面電車問題がテストに出まくる!

なので、例えば教本に載っている標識や標示も膨大にあって、確かに全部覚えていないと実際に道路に出て困るのは自分なんだけど、そのうちテストに出るのはごくわずかの決まったパターンだけなのですよね。車両通行止めと車両進入禁止とか、一方通行と左折可とか、警笛鳴らせと警笛区間とか…。これはもう、MUSASIをやればやるほど「進研ゼミでやったやつじゃん!」となるので、せめて〇×クイズくらいの軽い気分で楽しみながらやっていくのがいいのかなと思います。

初めて技能でつまづく

一方で技能教習。こちらも当初は順調に進んでいたんだけど、教習項目8「カーブや曲がり角の通行」で何度もつまづいてしまい、この項目をパスするだけに3時限も費やしてしまった。ここ、わたしには難しかった。

この項目がいったい何かっていうと、運転教本のうえでは、ただ単に右左折の際に適切に減速しつつ適切な走行ラインをキープして、曲がったら再加速しましょうねというだけの話なんだけど、実際にはそれ以外の教習項目に含まれている内容も複合的に含んでいるらしいのです。車線変更の際のミラー・合図・目視、右左折した先での再度の右左折を見越した走行ライン選び、見通しの悪い交差点への進入方法…などなど。これが、まだ前輪がどこについているやら、車両感覚も掴めていない段階で一気にワッと来るものだから、もうパニックですよ。

普段から自転車で公道を走っているから、車線変更するときに後方も目視確認するのは身についているし、交差点での右左折もどこに注意を払えばいいかくらいは完璧のつもりだったけど、自動車の運転席に乗ると、もう全然違うんですね。まず、死角が多すぎて見えないでしょう。それでいて、フロントウィンドウと3つのミラーから同時に入ってくる情報量が多すぎる。そして、肝心のハンドル、ブレーキ、アクセルの操作がおぼつかない。

前すぎ/後ろすぎ、左すぎ/右すぎ、早すぎ/遅すぎ、回しすぎ/回さなすぎ、見すぎ/見てなさすぎ…みたいなこう、適切な加減がなかなか掴めなくてですね。根気よく教えてもらいながら。隣で教官の言っていることは100%分かる…理屈は脳では分かっている、ただ、身体が追いつかないのだ! これはもう、年齢的なことももちろんあるのかもしれないけれど、それ以前に身体的どんくささが完全に出てしまっているのです。そういえば学生のころ体育ずっと苦手だったわっていうね。

しかしまあ、世のドライバーのみなさんはこんなにも膨大な情報を0コンマ何秒みたいな瞬時に判断して、複雑な操作を行うものだと感心してしまう。それでいて前方左方に4m、後方に12mだかの死角があって100km出せる乗りもの。80とか90のおじいちゃんおばあちゃんも乗るし、しばしば急いでいたり機嫌悪い人も乗るんでしょう!? 絶対近寄らんとこと思いますね。

ともあれですよ、ゆっくり、ゆっくりと感覚が掴めてきたような気はします。その証拠に項目8をクリアしたあとは比較的するすると進んで、第一段階の山場と思われるクランク、S字あたりは特に引っかかることもなく、意外といけるかもと思い始めてきた。今週末に14、15時限めの技能の予定があり、うまくいけば最短の12時限を3時限オーバーした程度で仮免に挑めそう。果たして。

教官のみなさんの仕事ぶりを思う

ところで、高校出たてとかハタチそこそこでなく、それなりに社会を経験してきてから教習所に通うことのメリットの一つは、教官のみなさんのプロフェッショナルな仕事ぶりを、別の分野のプロ視点で間近で見られるところかなと思います。例えば、自分の仕事をまったく未経験の新人にゼロから教えることになったとして、こんな風に要点をかいつまんで教えることができるだろうかと考えてしまう。しかも自分の仕事って、教えかたに瑕疵があってそのせいでしくじったとしても命にかかわるような仕事じゃないからね。

技能教習の担当教官は、幸いにもここまで変な人に当たったことはなくて、むしろみなさん覚えの悪い自分に根気よく教えてくださるな、と他人事のように感じています。まあ、教官によって互いに矛盾するような教えかたのことも時にはあるんだけど、それもアプローチが異なるだけでゴールは同じだなと思う。

その都度細かく注意する教官もいれば、わたしが気づくまで黙っている教官もいる。パッと、スーっとみたいなざっくりフィーリングどんぶり勘定で教えてくれる教官もいれば、いつどのタイミングで何に注目するかを具体的にロジックで教えてくれる教官もいる。一人の教官にかかりきりにならないような技能のカリキュラムというのは、つまりはドライバーのタイプも千差万別という、そういうことなのかもしれません。

一方、学科は学科で、塾講師みたいなポイントを絞った教えかたの上手さに感心する。学科担当の教官は技能も支障なく担当できるはずだけど、逆は必ずしも当てはまらないんじゃないかなと思う。おそらく、純粋な運転技術とはまた違った適性がある。

といっても、学校教師や塾講師とも違って、決して多くない学習範囲の同じところを繰り返し教えるだけだし、生徒の成長を年間スパンで見守るみたいなこともないわけだから、余計なお世話ながらどうやって仕事のモチベーションを保っているのだろうかと思う。それでいて教習所、朝早く夜遅いし、休みは少ないし、かつ時間にシビアで責任は重くて、大変なお仕事よね。

ありがとうバタイダーGとTPK

そんなこんなで楽しく教習所生活を続けているのですが、通っている教習所とは別にもうひとつめちゃくちゃお世話になっている教習所があるので紹介します。滋賀県の自動車教習所、月の輪自動車講習所の公式YouTubeチャンネルです。

どうにも車両感覚が掴めなくて、なにか参考になる動画はないかとYouTubeを彷徨っていたところ、現役教官が指導する動画として人気だったのがこの月の輪さんのチャンネルで教鞭をとる教習人間バタイダーGと、TPKことトラフィックプロフェッサーKなのでした。なにこの…何!?

完全に今どきのYouTuberのテンポ感、しかし主観カメラとドローンによる空撮を交えたこれ以上ない分かりやすい解説、何より、これが知りたかったというポイントを踏まえた充実したコンテンツで、本当に助かっています。月の輪さんの動画を見ていなかったら、もっともっと技能の進行に時間がかかっていたかも。教習所に通って教わるようなことを、無料で動画で見てしまっていいのかと思うほどです。この独特のゆるいノリも、だんだんクセになるんだ。バタイダーのトンチキのONとOFFの切り替えの早さとか、TPKのテンションとか、もうすごい好きになる。

いろんな世界にいろんなプロフェッショナルがいる。そんなことに思いを馳せつつ、仮免許取得に向けてあと少し頑張ってみようと思います。うまくできなければ、できるようになるまで時間をかければいいのだし。折角なら、楽しみながら進めたい。


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