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テクノ新譜試聴メモ:2023-05

5月にリリースされた新曲より。

Lenny San - Acryl [Planet Rhythm]

Planet Rhythmの新人アーティストLenny SanのソロEPから。BPMは140行ってるけど全体を通してダウナーでダビーな雰囲気がいい。太く潰れたコンプレッション感やほどよくエモーショナルなパッドの空気が、昔のJoel Mullのようなノリで好みです。

Stanislav Tolkachev - Pockets full of lighters [Mord]

MordからウクライナのStanislav Tolkachevの新譜。5曲ともまったく違ったアプローチながら、いつもの個性の強い動的で荒々しいアナログシンセサウンド。呪術的ポリリズムのなかで緊張感を高めるキックドラムの変容の仕方が特にシリアスでかっこいい。

Dave Wincent - Trauer (R/D/V Remix) [Airsound]

アムステルダムのR/D/VことLuca Redivoのリミックス仕事。オリジナルのウワモノをより前のめりなシーケンスに組み替えてぐいぐい引っ張っていく直線的なトラック。

P-ben - La Ora [Molecular]

奇跡的な復活を果たしたMolecularレーベルからフランスの若手P-BenのEP。シャキシャキした909系のハイハットやライドの刻みが熱いロウ・スタイルのオールドスクールなテクノ。

KMYLE - Trajectory [Illegal Alien]

Illegal Alienから出たフランスのKmyleのEP。よく知らなかったけどArtsやSomaからもリリースのある注目株らしい。どの曲も良くて、個人的にはB2にあたるこの曲のずぶずぶ沈んでいく感じが大好き。深いリバーブの効いたアトモスフェリックなシンセパッドとざらついたシンバルが演出する錆びついた宇宙船の内部のようなSF感。

Mike Parker - EM Pattern [Spazio Disponibile]

彼の作風のなかでも特にラディカルな作品の多い"The Devil's Culators"シリーズの3作目が出た。この曲では複雑なピッチモジュレーションが施されたメインリフに、2拍4拍のイーブンで淡々と刻まれるクラップ音が催眠性を高める。8時間くらい聴きたい。

Lemna - N19 [KHIDI]

Samurai Horoからのリリースでも知られる日本人アーティストLemnaによる極上グレイエリア。複雑にレイヤーされたさまざまな金属的ノイズの波間でひたすらに漂う。

Spotifyのプレイリストも更新しておきました。

「テクノ新譜試聴メモ」は、R-9が習慣的に行っている新譜チェックのなかから、気になったトラックについて個人的な覚え書きを残しておくものです。原則としてBeatport上で当月内にEPないしアルバムとして新規にリリースされたものが対象。ピックアップは楽曲単位、またはEPやアルバム単位でも紹介しています。

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