テクノ新譜試聴メモ:2023-08
Beatportの楽曲単価が8月14日から値上げしました。mp3の通常楽曲単体が1.29USD(189円)から1.69USD(247円)へ。2005年のサービスイン以来初めての価格改定とのことで、最近また大幅なサイトリニューアルもあったし致し方なしという感じもありますが、このところの円安に輪をかけて厳しくなりますね。せめてアーティストにきちんと還元されるならいいのだけど。
8月はこんな記事も書きました。
この記事は以前、あるきっかけでハードテクノに関する個人的史観をまとめておきたくて書き始めたものの、あまりに手を広げ過ぎて内容がまとまりきらず、そのまま3年余りにわたって下書きのまま眠っていたものです。このたび、特にハードミニマルに焦点を絞るかたちで数週間かけて全面的に改稿しました。けっこう読んでいただけて、直接感想をくださる方もいてうれしいです。
5年以上続けている当マガジン『テクノ新譜視聴メモ』についてもそうなのですが、わたしはレコード店のバイヤーでも音楽ライターでもないので、全然網羅的に聴いて買っているわけではなく、同じテクノでも普通に好き嫌いがかなりあるし、普段から努めて自分の知らない・興味のないことには言及しない方針でおります。なので、行きがかり上ジャンルヒストリー的な建てつけの記事にはなっていますが、記述に偏りがあるのは自覚しています。あれが入ってない、これが抜けてるはめっちゃある。
とはいえ、それならそれでここをたたき台の一つとして、別の角度でまた次のかたが書いてくれたらいいなと思っています。わたしは自分のフィルターを通してアウトプットしていきたい。テキストだったりDJだったりで。
HearthisにショートDJミックスを上げました。
以下、8月の気になった新曲たち。
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DJ Rush & The Southern - Beat N Da Kids (Rush Vocal Edit) [Kne'Deep]
3曲目。この夏の優勝ハードテクノはこれです。Rushの声はいつも存在感があって大好きなんだけど、この曲のブレイク明けの半拍ずらして入ってくる声の圧よ。本人の最近のDJでもThe Southernエディットのほうをかけてる。おなじみのマイクパフォーマンスもあるし、ずっとかっこいいよね。
Tensal - MA1 [Tensal]
スペインのTensalの新譜。粗くて重いビートの上で発狂系のシンセがビキビキと暴れている。テクノだ。
otttto - Drivel [Flash]
Florian MeindlのFlashレーベルから詳細不明のアーティスト。ヘビーな4つ打ちキックに初期のケンイシイみたいなグニャグニャしたピュアなシンセが絡んできて気持ちいい。他の曲もオールドスクールなミニマルで温故知新の良さがあり、今後ほかのレーベルからも出るのか注目していきたい。
LSS - Oneiric (Sam KDC Remix) [Southern Lights]
Sam KDCのハーフステップ寄りのディープな美しいグレーエリア。次々に景色の変わるアトモスフェリックな反響音と、アシッド・ドローンめいた低音域のうねり。
Lemna - When I was 9 [Reiten]
LemnaことMaiko Okimotoさんによる、不眠と催眠療法をテーマにしたシリーズの新作"Storytelling #2: Spiral Regression"が出た。どの曲でもドラムンベースを下敷きにした確かなビート感と、おそらく生音や環境音を取り込んだ有機的なノイズの表情がスリリングな作品。シンプルに音がめちゃめちゃいい。なかでもこの曲が読経のように瞑想的なグレーエリアでとても良かった。アルバムを通してじっくり楽しんでいます。
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Spotifyのプレイリストも更新しておきました。
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