見出し画像

教習所日記(1) 第1段階の途中

(前回までのあらすじ)
車を運転することは生涯ないだろうと思っていたわたしが、40代にしてある日自動車免許を取ろうと思い立ち、自動車学校の入校手続きをした。

通い始めました

そういうわけで、先週の土曜日から本格的に教習所生活が始まっています。教習所側から提示されたスケジュール案が当初思っていたよりも詰め詰めで、年内くらいに免許取得できればいいかなと思っていたのが、10月末には卒検みたいな流れになっていた。確かに、教習を優先して日中の仕事は夜間や休日にずらすなどで対応できるとは言ったものの、やはりなかなかハードな二足のわらじ生活になりそう。

まず、初回はオリエンテーション。改めて全体的な流れと、技能教習を受ける際の具体的な手順などの説明に続き、マークシート形式での適正検査、学科の1時限めにあたる授業がありました。これがもう、座学のみとはいえ土曜日の朝8時50分に始まり、いきなり3時間みっちりある。

免許取得までの流れ

で一応、今回通う自動車学校における免許取得までの流れを図にしてみると以下のような感じです。全体は大きくわけて「第1段階」と「第2段階」があり、学科(座学)と技能(運転)の教習が既定の時限数、並行して行われる。これは昔から大きな変更はないとのことで、おそらく皆さん同じような流れで免許を取得しておられるはず。

警察による試験が仮免許と本免許の2回あり、いずれも学科と技能をテストされるほか、さらにこの間に小さいハードルとして効果測定という位置づけの簡易的な学科試験がいくつかある。また、技能教習クリアに要する12時限、19時限というのはあくまで最短でのもので、ブレーキだとかカーブだとか、ひとつひとつの項目をクリアできないと次のステップに進めないため、その場合はどんどん追加の教習が増えてしまう。つまり、予定されたスケジュールを円滑に進めるためには、限られた時間内で必要な技能をマスターしていかなければならないのだ…!

わたしのプランの場合、技能教習はすべて教習所のプランナーさんおまかせのため、一日に連続で2コマの教習をスケジュールされた日に受けに行くだけでよくて、加えて、番号の割り振られた学科教習を空いている時間にどんどん進めていく。学科で学んだ知識が技能で必要になることももちろんあるから、とにかく先に学科を早めに終わらせて、あとはひたすら回数を重ねて運転に慣れていくというのがセオリーのようです。

初めて握るハンドル

2日目の技能教習で、さっそく初めて運転席に乗る機会がやってきました。まずはカーシミュレーターから。専用の教室へ入るとゲーセンのレースゲームの筐体…よりも幾分シンプルなシートが4台並べてあり、これはどうも三菱プレシジョン社製のDS-3100であるよう。こういうのがあるんだね。

レースゲームは好きで、なんなら家ではAssetto Corsaの首都高MODをQuest 2のVRで遊ぶくらいなんだけど、いざ実際の運転席に座ったらまず何からどう始めたらいいのかというの、まったく知らなかった。シートを合わせ、ルームミラーを合わせ、シートベルトを締め、ブレーキを踏んでエンジンをかけ、サイドミラーを合わせ、みたいな流れをひと通りやっていく。助手席や後部座席に乗ったときには気にも留めていなかったようなこと。

続いての時限で、いよいよコース上の実車へ。シミュレーターで確認した手はずで準備を整え、まずは外周右回りを教官に言われるがままにゆっくり回って行きます。

いや~…車を運転するのってこういう感じなんだね。この感覚は確かに人生で初体験だ。というかまず、AT車が基本的にブレーキを踏んでないとクリープ現象で「勝手に」動いてしまう乗り物だというのを認識していなかった! 自転車だったら、停車中も常に下り坂のような感じ。みんなこんなヤバイ乗り物に乗ってたの!?

アクセルを踏めば踏んだだけ前に進む。当たり前のことなんだけど、巨大な鉄塊が自分の操作でゴロゴロ動いている実感のなかに、恐怖と楽しさが同時に存在している。そして運転席から見えない死角の多さに慄き、ミラーやメーター類から得られる情報量の多さに圧倒される。アワワアワワですよ。初めて握るハンドルは、それでもまあ、楽しさのほうが少し上回りました。

教室のノスタルジー

学科は、早期に仮免前効果測定を受けるべくバリバリ進めています。今週は特に平日は毎日通ったので、10ある項目のうち既に9項目まで終わった。教本で覚えなきゃいけない内容というのは、普段の仕事で読み込むドキュメントやレギュレーションに比べたら、ごくごく簡単なもの。

なので、内容よりも「決まった時間に教室へ行き、先生による授業を受ける」という、20年ぶりのシチュエーションに強烈なノスタルジーを感じてしまう。特に平日の昼間の枠なんて、見たところわたしを除く全員が大学生くらいの子で、なんだこの…夢で学生に戻ったときみたいな感覚は…となった。あるときは、教本を忘れたのを誤魔化して授業受けていた男の子がガチめに詰められて教室を追い出される場面なんかもあり、懐かしさ倍増。

教習所、混みあっているとあって、さすがに夜間は定員を超えてしまうケースもあるようです。感染症対策で席数を制限しているから、先着をオーバーするとせっかく来てもその教習は受けられない。確かにこれ、時間の都合がつきにくい会社員なんかだと、通うのは大変そうだなと思う。

学科の勉強に関しては、今は多くの教習所で採用しているというMUSASIというオンライン学習サービスがあり、UIは多少…いやだいぶ時代を感じさせるものの、ブラウザベースでちゃんとスマホにも対応したシステムになっていて、好きなだけ自習できる。よく言われる運転免許試験特有の意地悪な日本語問題も、紐解いていくと一定のパターンがあるから、それを攻略すべく空いた時間にこつこつと進めています。

はやく運転に慣れたい

そういうわけなので、自分にとってのハードルはやっぱり技能教習のほう。いま第一段階のうち6時限が終わり、順調に進んでいるとすればここまでで半分くらいなのかな。といっても実際には1日2限ずつ(50分×2)を計3日乗っただけなので、まだまだ全然要領が掴めない。

何が難しいってもう、全部。見えない部分を含めた道路に対する車両のサイズの感覚もそうだし、ブレーキの匙加減、どのくらいのスピードでどのくらいハンドルを回したらどのくらい曲がるのか…などなど。言ってみれば、自分の身体能力を自動車サイズに拡張するようなことなので、義手義足と同様にすぐ慣れるなんてことはないわけですよね。

教官にもいろんな人がおり、世間話を交えてリラックスした雰囲気で進めてくれる人、必要最低限のことしか喋らない強面の人、理路整然と説明してくれる人もいれば、ふわっとした語彙でしか教えてくれない人もいる。自分が大学生だったら、全然知らんおっさんと閉鎖空間にマンツーマンはそれなりにプレッシャーを感じるだろうし、萎縮する場面もあるかもしれない。

でも、わたしの場合はもう自分がおじさんで、おじさんがおじさんに教わっている。このほうが、ハタチそこそこの若者たちに囲まれた学科の教室より落ち着くまである。運転が上手くできないと、そのたびに細かく注意を受けるわけだけど、わたしも教習所の客としてプロの教官の仕事ぶりを見ているから、そのひとつひとつが的を射た指摘であるからこそ教習のありがたみが湧いてくる。現状、できないことばかり!

車の操作、この最序盤で特に難しく感じるのは、右折と左折のハンドルの切りかたの違いです。左に小回りしようと思うとハンドル操作がかなり慌ただしくなってしまうし、後輪が縁石に乗り上げないように(内輪差というやつ!)、遅くもなく早くもなく、ちょうどいい加減で曲がり始めないといけない。徐行に至るまでの減速が十分でないとそのタイミングも変わってしまう。この案配にはやく慣れたい。

週3くらいのペースで進めるつもりが、できるだけ学科を進めようと今週は5日連続で通ったのでさすがにへとへとになってしまった。スケジュールの都合上、朝イチで教習所へ行っていったん帰って仕事して、また午後教習所行ってまた帰って仕事みたいな日もある。とはいえまあ、楽しみながらやってます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?